チームビルディングとは!意味・目的・研修方法を徹底解説【IT企業人事向け】
チームビルディングについて徹底解説しているハウツー記事です。目的やメリット、今日からできる施策など初心者人事の方必見の内容になっています!タックスマンモデルなど方法論も説明しています。
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個人の適性を見極めて役割配分したり、配置換えをしたりしてもなかなかメンバーがパフォーマンスを発揮できないといったお悩みはありませんか?
企業はたくさんの人が力を合わせて成果を出すものですが、チームが上手く機能していないと思うような成果は出せません。
今回は、チームの力を高めて強いチームを作る、「チームビルディング」というテクニックについてご紹介していきます。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT研修での実績をもとに紹介しています。

今回は、チームビルディングに関する内容ですね!

どういう内容でしょうか?

目的やメリット、今日からできる施策について詳しく説明していきますよ!

お願いします!
目次
- チームビルディングとは
- チームビルディング3つの目的
- チームビルディング4つのメリット
- チームビルディングを今日からできる2つの施策
- チームビルディング4つの方法
- チームビルディング5つのプロセス(タックスマンモデル)
- チームビルディングにおいてリーダーが持つ4つの役割
- チームビルディングに必要な4つの要素(GRIP)
チームビルディングとは
チームビルディングとは、「いいチームを作る取り組み」のことです。
この時、メンバー同士で1つの目的・目標を共有し、それぞれが個性と主体性を発揮しつつ一体感を持ってゴールへ進んでいくようなチームが理想とされます。
注意していただきたいのは、「チーム」は「グループ」とは違うということです。
ここで言うグループとは、会社で言うところの「部」や「課」などの昔ながらの組織のあり方のことだと思ってください。
グループにおいて、メンバーはリーダー(部長や課長)の指示にただ従うだけで、自分の担当の業務のみを行っていればいいということになります。
つまり、「目的意識の共有」はそこまで重視されません。
グループにおいてはメンバー各自が自分に割り振られた業務を行っていくだけで、「全員が一丸となってゴールを目指す」といったニュアンスは必ずしも必要とされないのです。
グループという組織のあり方は、目標や課題がわかりきっていた時代にはうまく機能していました。
しかし今日のビジネスにおける状況の多様化・流動化に対しては、柔軟に対応することができないという欠点を持っています。
それに対して「チーム」は、それぞれのメンバーがしっかりと目的を共有した上で、状況の変化に応じて柔軟に対応する組織です。
チームビルディングが今注目されているのは、ビジネスにおける様々な環境が流動的になった現代に適応することができる組織の形態だからです。
そのためチームビルディングは技術革新による変化が激しいIT業界では、とりわけ重要になってきます。
チームビルディング3つの目的
チームビルディングを効果的に行うためには、達成したい目的はもちろん必要ですが、さらに細分化した目標についても意識して行うと効果的です。
以下にあらゆる形態のチームビルディングに共通する、抑えておくべきポイントをご紹介します。
1. コミュニケーションの活性化
チームビルディングの大きなメリットの主なメリットとして、業務の進捗に欠かせないコミュニケーションの活性化が挙げられます。
特にエンジニアはチームで1つのプロダクトを作成していく共同作業が基本であるため、コミュニケーションの促進は他業種と比較しても一層注力すべきポイントでしょう。
若手が積極的に意見を発信できたり不明な点を聞けたりする、中堅層が論理的に議論を進めらたり積極的に若手のカバーをしたりするなどの状態が見られると良いチームビルディングができていると言えるでしょう。
メンター制度を整えて、実際に作業するメンバーからの意見を吸い上げ確認したり、環境を改善することも重要です。
2.メンバーのマインドセット
マインドセットもチームビルディングにより成果を最大化するうえで重要な要素です。
チームビルディングによりメンバーのマインドが高いレベルで醸成されていれば、モチベーションを発揮して曖昧な点の明確化によるロジカルな開発や高いレベルの議論が促進され、大きな成果が期待できるでしょう。
また、チームビルディングにより、結束力のある強いチームを作ることに成功すれば、1人ひとりのパフォーマンスも上がります。
集団で協力して高いパフォーマンスを発揮するイメージは、サッカーや野球などのチームスポーツを意識するとわかりやすいと思います。
3.ミッションやビジョンの浸透
企業はミッションやビジョンがまず先頭に立ち、その下に経営戦略や具体的な戦術が位置するのが一般的な構図です。
チームビルディングにより、ミッションやビジョンについてメンバーに浸透させることで、状況の変化の激しいIT業界においても、新しいプロジェクトの戦略や既存の仕組みに変化を加えた際にも、速やかにチーム全員が同じ方向を向きなおすことができるでしょう。
あらゆるシーンに対応できる柔軟なチームを作るためにもチームビルディングは重要です。
チームビルディング4つのメリット
1.状況の変化にすばやく対応できる
チームビルディングが成功すれば、様々なシチュエーションに合わせ、柔軟に動くことができます。
チームビルディングにおいては、「目的・目標の共有」が非常に大切です。
1つのプロジェクトを進めていく中でも、状況はあらゆる方向に変化します。
クライアントからの突然の仕様変更やプロダクトの予期せぬ不具合などに見舞われたとしても、完成されたチームであれば目標を見失うことなく柔軟にその時々に合わせた適切な処置がとれるでしょう。
2.学習と成長を続けることができる
硬直的な組織形態であるグループとは違い、チームは状況に応じて変わり続ける組織です。
チームは刻々と変化する状況の中、目標に向かって試行錯誤を重ねる過程の中で学習と成長を続けます。
こうした取り組みの中で得られた経験値は、次の目標にもつながっていきます。
3.コミュニケーションが活発になり、協力関係ができあがる
チームビルディングにおいて、メンバー同士の人間関係を築いていくことは不可欠です。
さらに自分の役割のみならず、他のメンバーにどんな役割があり、それがどんな意味を持つのかも理解していなければなりません。
その過程でチームのコミュニケーションは活発になり、メンバー間では助け合いの精神が育まれていきます。
4.メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出せる
チームのコミュニケーションが濃いものになると、チームとしての能力のみならず個人としての能力も引き出されていきます。
メンバーとの関係が深まっていくと、1人ではできなかったチャレンジや、新たなアイデアが生まれることもあります。
このようにチームビルディングは、チームのみならず個人も成長させる手法なのです。
チームビルディングを今日からできる2つの施策
1.情報の見える化
情報をチーム内で共有することはチームビルディングを成功させるうえで重要な施策の1つです。
例えば、企業の案件や上層部の意思決定などをプロセスも含め共有することでメンバーの信頼度とモチベーションは向上します。
他にも、Slackなどのコミュニケーションツールを用いて各人のスケジュールやタスクを細かく公開することで、作業の範囲の調整といったタスク管理にスピード感と説得力を持たせることができます。
これはパブリックな場での作業振りになるため、調整する側もクリーンで論理的な管理を行うことになります。
慣れてきたら、日報や朝会だけでなく時間や分単位での作業報告を行うと良いでしょう。
例えばメンバーが些細な不明点を共有した際、他のメンバーが素早く気づきフォローすることで、大きなミスや修正を未然に防ぐことに繋がります。
2.意思決定の尊重
久津佑介氏の「エンジニアチームビルディングジャーニー」によると、メンバーを信頼していることを伝え、各人の思考や選択を尊重することもポイントの1つです。
例えば、それぞれのメンバーに期待していることを明確に伝え、あれこれ言うことなく仕事を任せてみれば、メンバーは「やらされている」から「自分でやっている」という思考に変化し、責任感を持つことができます。
ただ、放っておくとズレが生じるため「否定」ではなく「確認」を上司や他のメンバーが逐一行い、アドバイスを行うことで方向を修正するように促しましょう。
他にも、会議中メンバーから出た案は採用不採用問わず一度汲み取って丁寧にフィードバックすることや、PCではなく話しているメンバーの顔を見て話を聞くなどにより、メンバーの自己肯定感とチームへの信頼度は高まるでしょう。
チームビルディング4つの方法
1.座学研修
実践的なチームビルディングに進む前に、「そもそもなぜチームビルディングが必要なのか」という背景を理解しておくと効果が上がります。
そのため、まずは座学形式で知識を伝えていくということも1つの大切なステップです。
2.社内イベント
チームビルディングには「参加者が自ら行う」という姿勢が大変重要です。
そのため社内イベントとしてスポーツ大会を企画したり、社員旅行をしたりすることはチームビルディングとして有効となります。
重要なのはイベントの準備や運営にあたって、参加者が自分の役割をまっとうすること、そして参加者が打ち解けコミュニケーションを取りやすくなるよう工夫することです。
単純に人として親しくなるということも、チームビルディングにおいては欠かせない要素になります。
3.グループディスカッション
チームビルディングにおいて、議論の際にメンバー全員がきちんと発言し、自分のアイデアを出せることは重要です。
そのため、ディスカッションはチームビルディングとして有効です。
ディスカッションを通じて、自分の意見を述べるだけでなく、他の人の意見も受け入れ、自分1人では導き出せなかった答えにたどり着くという経験を得ることができます。
また設定された1つの課題に向かってチーム全員で取り組むことも、参加者にとって意味のある経験となるでしょう。
4.ゲーム型研修
ゲーム型研修とは近年特に注目が集まっている研修のあり方で、チームビルディングにも効果が高いとされています。
ゲーム型研修において行われるゲームは様々ですが、ポイントは「参加者が主体的にゲームをし、プロジェクトにおいて想定される場面を疑似体験できる」ということです。
ゲーム型研修の種類によっては、「メンバー同士のコミュニケーション」「目的・目標の共有」「役割分担」など、チームビルディングに欠かせない要素が多く含まれているものが多くあります。
チームビルディング5つのプロセス(タックスマンモデル)
チームビルディングのプロセスには、「タックマンモデル」という有名なモデルがあります。
このモデルによると、チームビルディングには5つのプロセスがあります。
1.形成期
チームが形成されて間もない時期が形成期にあたります。
何らかのプロジェクトのために人が集められ、メンバーはまだ互いにどんな人間かもあまり知らない状態です。
この段階においての課題は、まず「メンバー同士が互いに関心を持ち、理解し合おうとする」ということになります。
2.混乱期
よりよいチームを作るためには、異なる能力・個性を持ったメンバーを集めることが大切です。
しかしそこでは違う価値観の人間が出会うことになるため、なんらかの混乱が起こることになります。
例えばプロジェクトの進め方の方針の違いなど、メンバー同士の対立が起こった時に、回避せずに向き合うことが大切になります。
メンバー同士でしっかりと対話をし、混乱を乗り越えていくことではじめて次の段階へと進むことができます。
チームビルディングにおいて非常に重要なプロセスで、このプロセスで失敗するとチームビルディングはうまくいかない可能性が高くなります。
3.統一期
統一期では、メンバーはお互いに心を開いた状態にあります。
対立から逃げずに辛抱強く対話を続け、混乱期を通過することで生まれる段階です。
メンバーの間には理解や共感が芽生え、信頼関係が生まれます。
この段階ではチームが成し遂げるべき目標を掲げ、それぞれが役割を持つことが重要となります。
そのためリーダーの的確な采配が求められます。
4.機能期
チーム全体が一致団結して、メンバーそれぞれが個性と能力を存分に発揮している状態です。
また、チームが目標に対して何らかの成果を得る時期にもあたります。
そのためチームとしての成功体験が生まれ、よりいっそう生産的になっていきます。
5.散会期
散開期というのは、単にチームの解散を意味するのではありません。
メンバーがたとえ1人でも入れ替わる時、もしくは減ったり増えたりする時、チームは散開期を迎えます。
これまで形成してきたチームはいったん終了となり、また1からチームビルディングのスタートです。
この時、メンバーに「一区切り」という意識があることが大切です。
チームのメンバー1人が変わるだけでも、他のメンバーが負うべき役割も変わってきますから、チームは新たに形成し直さなければならないのです。
そのためこの時期に一度これまでの活動を振り返り、改善すべき点などを確認した上で、再度チームビルディングへと向かいます。
チームビルディングにおいてリーダーが持つ4つの役割
1.メンバーの主体性を重んじる
まず前提として、チームにおいてリーダーのみが指揮権を握っているというのは決していいことではないのです。
「メンバー各自が、自分の役割の中ではリーダーシップを持っている」という状態がチームの理想形です。
その上で、リーダーには大切な役割があります。
その役割としてもっとも重要になるのは「メンバーの主体性を引き出す」ということになります。
そのために、「リーダーとして完璧を目指す」というのは望ましい態度ではありません。
リーダー任せになってしまい、メンバーが主体性を見せる場面がなくなってしまうからです。
むしろリーダーは、自分の欠点を見せたり、自分からメンバーに助けを求めたりした方がいいのです。
そのことによってメンバーは、自らも主体的にチームに関わろうという意識になります。
2.チームの目標に意義ややりがいを与える
チームのメンバーたちを動機づけるためには、メンバーに「自分たちの目指す目標には意義ややりがいがある」と認識してもらう必要があります。
そうした認識を与えることも、リーダーにとって大切な役割の1つです。
意義もやりがいも感じられない目標に対して主体性を発揮することは困難だからです。
逆に意義のある目標は、メンバーに主体性だけでなくプライドと責任感も与えます。
3.チームが「心理的に安全な場所」だと認識させる
チームはメンバー全員にとって「心理的に安全な場所」でなければなりません。
これには2つの重要な意味があります。
まずは「どんなアイデア、意見を言っても大丈夫」という空気を作ることです。
このことによって、ユニークなアイデアが出やすい環境が生まれます。
画期的なアイデアというのは、一見突拍子もないような意見から生まれるものです。
そして「心理的な安全」のもう1つのポイントは、失敗を恐れることなくチャレンジできるようになることです。
目標達成に際して、新しいチャレンジは不可避ですし、それには失敗が付きものです。
「失敗しても大丈夫」という安心感によって、メンバーは積極的にチャレンジすることが可能になります。
さらに「失敗しても許される」という空気は、結果的に失敗を減らすことにつながることが分かっています。
ではメンバーに「チームは心理的に安全な場所だ」と認識してもらうにはどうすればいいのでしょう。
重要なのは、メンバーが勇気のいる行動を取った際、リーダーがポジティブな評価を与えていくということです。
たとえば「発言しにくいこともあえて発言した」「分からないことを正直に分からないと言った」「自分の失敗をちゃんと認めた」というようなことに対して肯定的な態度を取るということは効果的です。
4.失敗を「学びの機会」と捉えなおす
先ほども言ったように、チャレンジに失敗は付きものです。
そのためチームビルディングに取り組む中で、失敗を学びの機会と捉えなおすことはとても重要です。
チームとは試行錯誤を繰り返し、学び、成長するものです。
そのため失敗はむしろ歓迎すべきものとも言えます。失敗することではじめて「この方法ではうまくいかない」ということが分かり、「ではどういう方法ならうまくいくのか」と考えることができます。
こうした考え方をメンバーに共有させることも、リーダーの重要な役目です。
チームビルディングに必要な4つの要素(GRIP)
理想的なチームビルディングにはどんな要素が必要とされるのでしょうか。
1つの分かりやすい指標として、「GRIP」と呼ばれるものがあります。
GRIPとは「Goal目的/Roles役割/Interpersonal Relationship人間関係/Process段取り」という4つの要素を指します。
これらの要素がそろっていることで、チームはより高いポテンシャルを発揮しやすくなるのです。
1. Goal
「目的」では、目的・目標の質が問われます。
目標がきちんと明確化され、チームに共有されているということが重要です。
またそもそもその目標は達成可能なもので、達成する価値のあるものでなければなりません。
2. Roles
「役割」では、1人ひとりの役割が明確かつ適切かどうかが問題となります。
また役割は自分のものだけでなく、他のメンバーの役割も理解しなければなりません。
3. International Relationship
「人間関係」では、チームの一体感・団結力が問われます。
メンバーが互いに理解しあい協力したいと思えていること、メンバーみんなで目標を達成したいという空気が作れていることが大切です。
4. Process
「段取り」では、「仕事の段取りがきちんとできているか」ということが問題となります。
何かに取り組む事前の段階で詳細に計画を立てられていること、また仕事のやり方に曖昧なところがなく全体が言語化されていることが重要になります。
まとめ
今回は、厳しいビジネスシーンで結果を出せる強いチームを作る「チームビルディング」について解説してきました。
各メンバーが能力を存分に発揮して、いかに強いチームを作るかはチームビルディングの取り組み方次第で決まると言っても過言ではありません。
メンバーがパフォーマンスを発揮できないとお悩みの人事の方は、ぜひ実践してみて下さい。
監修してくれた方
田上 敏光
キラメックス株式会社 ビジネス事業部 人材系企業で採用支援・人材育成事業・toB向けクラウドサービス事業に従事。 その後、「弁護士ドットコム株式会社」にて新規事業の企画立案・運用に携わる。 現在は、キラメックス株式会社にてプログラミング教育を通して「個の選択肢、可能性を広げること」「新たなキャリアに伴走すること」をミッションとし法人向けに「IT人材採用支援」および「IT研修」を担当している。 |

内容分かりやすくて良かったです!

田島君も、今日から実践して組織づくりに役立てましょう!

分かりました。ありがとうございます!
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