ソーシャルスタイルとは!面接で活用する方法を解説【人事向け】
人は大きく分類すると4つのタイプにわかれます。それを判別する方法にソーシャルスタイルというものがあります。これを採用活動で使うことで、本当に欲しい人材の見極めやその人自身の本質を見抜くなどできます。今回はソーシャルスタイルの具体的な活用方法を詳しく解説していきます。
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採用面接に来た人が苦手なタイプで、知らず知らずのうちに、トゲのある対応を取ってしまった…という経験はありませんか?
今や、採用面接の雰囲気が、会社の評判にもかかわってくる時代です。偉そうな態度で面接すれば「あの会社はダメだ」と評判を落とします。過度な圧迫面接を行った企業は、ネットで大炎上するかも知れません。「常識のない態度をとった求職者が悪い」では済まないんですね。
面接官なのに、求職者とうまくコミュニケーションが取れてない…という方は、ソーシャルスタイルを活用してみてはいかがでしょうか。
なお本記事は、TechAcademyキャリアの実績をもとに紹介しています。
目次
ソーシャルスタイルとは
ソーシャルスタイルとは、人間のコミュニケーションタイプを4タイプに分類したもの。
1970年代にアメリカの心理学者・デビッドメリル氏が提唱した理論です。もともと、アメリカ海軍の潜水艦の乗組員同士がうまくコミュニケーションを取るために考えだされメソッドです。
似たタイプ同士はトラブルが起こりにくく、苦手なタイプでもタイプに応じた付き合い方をすると、対人関係が円滑になるというんですね。会社に置き換えて考えてみると、同僚、上司、部下、クライアントなど様々な人と協力しなければ仕事を円滑に進められません。
苦手な人ともうまくコミュニケーションを取る方法は、特に営業職、販売職、マネジャー(管理職)にとっては、重要なビジネススキルと言えるでしょう。リクルート社や航空会社のANAでも、必須のビジネススキルとして社員研修に組み込んでいます。
また、大手通信事業者コールセンターのオペレーターにソーシャルスタイル研修を受講させたところ、セールス経験がない窓口で販売目標を120%達成した事例もあります。相手の顔が見えない電話で効果が出たというソーシャルスタイル研修。
面接という短時間のコミュニケーションにも使えるはずです。
ソーシャルスタイルの4類型
ソーシャルスタイルは「感情表現の強弱」「主張の強弱」で4タイプに分類されます。
実際、人間は4タイプで分類されるほど単純ではありません。しかし、傾向がつかめれば「あのタイプは絶対ムリ!」という関係から、「一緒に遊んだりはしないけど、仕事上はなんとかうまくやってる」という状態に持っていけるかも知れませんよ。
感覚重視:エクスプレッシブ
感情表現=強、主張=強。一言で言うと直感の人。
戦国武将で言えば、よく徳川家康に例えられます。その他有名人で言えば、長嶋茂雄、明石家さんまなど。「ノリの良さ」とか「その場の流れ」を大事にするエクスプレッシブタイプは、人付き合いとアピールが上手。
クライアントに愛される営業とか、優秀な部下に慕われる管理職が向いているタイプです。
欠点は、特に理由がなくても感覚で決断できてしまうこと。そのため、意見がコロコロ変わることも。長所の裏返しでもあるのですが、「あいつはお調子者だ」「何も考えていない」という評価につながるケースもあります。
協調重視:エミアブル
感情表現=強、主張=弱。一言で言うと協調と配慮の人。
戦国武将で言えば、豊臣秀吉に例えられます。その他有名人で言えば、小堺一機、稲葉篤紀(元野球選手)。他人との強調を何より大事にするエミアブルタイプは、他人を深く理解できる聞き上手タイプ。いわゆる「いい人」です。
クライアントやメンバー間を調整するような仕事や、中間管理職など、マネジメントに向いています。
欠点は、自己アピールや主張、議論、決断が苦手なこと。「積極的じゃない」という悪評価につながるケースもあります。
行動重視:ドライバー
感情表現=弱、主張=強。一言で言うと、成果と効率の人。
戦国武将で言えば、よく織田信長に例えられます。その他有名人で言えば、本田圭佑、イチロー、ビートたけし。明快な根拠を持って、物事をバシッと決めるドライバータイプは、結果優先の行動タイプ。中小企業の社長さんに多い、いわゆる「怖い人」です。
プロジェクトリーダーなど、ひとつの目的に向かって皆を引っ張っていくポジションが向いています。
欠点は、自分の中に明確な正義を持っていて、多様な意見を受け入れにくい点。チームの中で孤立してしまうケースもあります。
分析重視:アナリティカル
感情表現=弱、主張=弱。一言で言うと思考と慎重の人。
戦国武将で言えば、明智光秀に例えられます。その他有名人で言えば、又吉直樹(お笑い芸人)、石破茂。データや分析を大事にするアナリティカルタイプは、人づきあいよりデータや理論を重んじる専門家タイプ。
研究職や、テクニカルプログラマーなど、高度な技術力が要求されるポジションに向いています。
欠点は、コミュニケーション自体が苦手な点。正確さや根拠にこだわるあまり、わかりやすく簡潔に話すことが苦手です。「あいつは何を考えているかわからない」という評価につながるケースもあります。
ソーシャルスタイルを面接で見抜く方法
ソーシャルスタイル診断テストなどが、ウェブに多数ありますので事前にやってもらうのも良いでしょう。
就職活動の対策として、ソーシャルスタイル理論を勉強している求職者も多数いますので、率直に「ソーシャルスタイルというものをご存知ですか?ご自身はどのタイプですか?」と聞いてみるのも良いかも知れません。
ソーシャルスタイルのタイプは、2つの質問で簡易的に診断することもできます。
1.同年代が集まる研修の場で話し合いをする場合、あなたはどのように振る舞いますか?
- A 自分から発言するほう
- B 順番が回ってきた、または話をふられたら発言するほうだ
2.昼休みの同僚との会話など、リラックスした状態のとき、感情が顔に出やすいですか?
- C 感情が表情に出やすい
- D 感情が表情にあまり出ない
答えの組み合わせでソーシャルタイプを判定すると…
- AとCだったら、エクスプレッシブ型(感覚重視)。主張も感情表現も強いタイプです
- AとDだったら、ドライバー型(行動重視)。主張が強く、感情表現が弱いタイプです
- BとCだったら、エミアブル型(協調重視)。主張が弱く、感情表現が弱いタイプです
- BとDだったら、アナリティカル型(データ重視)。主張も感情表現も弱いタイプです。
ただし、面接が始まるとどうしても「見せたい自分」を作ってしまうもの。本来の自分ではなく、理想とする自分像を回答してしまう可能性が高いです。「面接前に、面接官自身の自己紹介を…」と雑談をするなど、ある程度リラックスした状態を作れば、求職者の素の部分がかいま見えるかも。
ここでは、話し方を観察することでソーシャルタイプを見抜く方法をご紹介します。
感覚重視のエクスプレッシブタイプの話し方
- 言葉、声、ジェスチャーなど全てを使って豊かに感情を表現する
- 相手の視線をひきつけ、感情を込めてテンポよく話す
- 相手を楽しませる話し方をする
- しゃべるのが好き
- 前向きで、楽観的
- 「バーッと集めて、ガッとまとめて」など、擬音語が多い
- 形式にこだわらず、わかりやすい・面白い表現を好む
- 人間関係を築くため、自分の失敗談などを面白おかしく話す
協調重視のエミアブルタイプの話し方
- ニコニコしながら、よく相槌を打つ
- 相手の同意を確認しながら、ゆっくりと話す
- フレンドリーで人懐っこく、誰にでも好かれる
- 発言タイミングがかぶったら、相手にゆずる
- 柔らかい、優しい表現を好み、断定的な言い回しを避ける
- 人と競争するのが嫌い
- 緊張に弱く、1対1の面談の場で素を出すのは苦手
- 自分を語るより、友人や恩師のことを語るのが上手
結果重視のドライバータイプの話し方
- あまり感情は出さず、メリハリのある力強い話し方をする
- 話すペースは早めで、間を取らない
- 事実に基づいて話す
- 「前置き」「クッション言葉」「修飾語」が少ない
- 短い言葉で、結論からはっきりと話す。断定的
- 文語のような固い言葉をよく使う
- しっかり目を合わせて話す
- 無駄が嫌い
- 誰かに指図されるのが嫌い
- 「どう思われるか?」より、伝えることを重要視する
- 表情はあまり変化しない
- 身振り手振りはあまり使わない
- イエス・ノーがはっきりしている
データ重視のアナリティカルタイプの話し方
- 感情を出さず、穏やかに淡々と話す
- 論理的で、順序立てた話し方をする
- 話すペースはゆっくり。長めの間を取ることも
- 難しい言い回し、丁寧語が多い
- 数字を含んだ表現が多く、事実をベースに話す
- 背景、状況、理由を先に話、最後に結論の順番で話す
- 正確で詳細な情報提供を慎重に行うため、話は長くなりがち
- 冷静、ビジネスライクな印象
- 「わかりやすさ」より、正確に伝えることを重要視する
ソーシャルスタイル別コミュニケーション方法
基本的に、同じタイプのように振る舞えば、コミュニケーションはうまくいくと考えて良いでしょう。
ただし、無理して相手に合わせるのではなく、相手の好む表現方法を使い、嫌がることを避ける程度に、コミュニケーションの方法を変えるんですね。
エクスプレッシブタイプとのコミュニケーション
ノリを大事にして、楽しいことや目立つことが大好きなのが感覚重視のエクスプレッシブタイプ。
世間話にすぐノッてきてくれるため、打ち解けるのも早いはず。「うんうん、なるほど」と、楽しそうに聞くことで心を掴み、本音を語ってくれるでしょう。
ただし、このタイプは話の腰を折られるのを一番嫌がるので注意。面白いけど雑談が延々と続きそうなときや、話が脱線しすぎなときは、うまく別質問に誘導するなどが必要です。
エミアブルタイプとのコミュニケーション
相手のことを思いやることを大事にするのが協調重視のエミアブルタイプ。このタイプは聞き上手ですが、自己アピールが苦手です。
「あなたはそのプロジェクトでどのような役割を果たしましたか」と聞くよりも、「そのプロジェクトで、他のメンバーとどのように連携しましたか」の方が話を引き出しやすいです。プレッシャーをかけられるのが苦手なので、問い詰めるような話し方をすると萎縮する可能性があります。
ドライバータイプとのコミュニケーション
最短でゴールすることや行動することを大事にするのが結果重視のドライバータイプ。リラックスしてもらうための軽い雑談や、遠回しな質問を嫌うタイプです。
決断が早く、大筋がわかれば短時間で結果を出そうとして行動します。面接では、単刀直入に、「~について教えて下さい、なぜなら…」といった、英語的な語順で話すほうが伝わります。
アナリティカルタイプとのコミュニケーション
理由や根拠をとっても大事にするのがデータ重視のアナリティカルタイプ。オープンな質問で自由に語ってもらおうとしても、淡白な答えしか返ってこないのもこのタイプの特徴。日常の口癖は「特にありません」
だけど、理由や根拠やデータを語らせたら、数字に基づいた深いレベルの意見を持っているんですね。理由、根拠、データを意識して具体的な話を心がけることで、話を引き出しましょう。
まとめ
ソーシャルスタイル理論が、コミュニケーション力向上に役立つとしても、いきなり面接の場で使うのは無謀です。
普段から上司や同僚、部下などに実践して、経験を積んでおくことがポイントです。まずは、求職者だけでなく、面接官自身のソーシャルスタイルを知っておきましょう。
社内の「ちょっと苦手なあの人」のタイプも調べてみると、あなたとはソーシャルスタイルのタイプが違うのではないでしょうか。「生理的にムリ」「とにかく関わりたくない」だった、あの人に対する思いが、「話し方が違うだけなんだ」と、納得できるかも知れません。
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