人材アセスメントとは!必要性や導入の効果まで解説【人事向け】
労働人口不足を解消する方法として有効なのが、雇用した人を最適な評価や配置をすることで長く所属してもらうことです。それは昔のようなジョブローテーションのような時間を掛けるものではなくすぐ行うものとしてです。その際に重要になるのが人材アセスメントの導入です。今回はこの方法について詳しく解説していきます。
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近年、労働人口の減少により、多くの企業が慢性的な人手不足に陥っています。特に不足していると言われるのが、管理職などマネジメント層です。組織を活性化・発展させていくためには、次世代の経営を任せられるような人材を選抜、育成していくことが非常に重要です。
そこで注目を集めているのが、人材アセスメントという評価手法です。具体的にどのような手法なのでしょうか。この記事では、人材アセスメントについての説明はもちろん、その必要性と導入の効果までを解説します。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。
目次
人材アセスメントとは
「アセスメント」とは、診断や査定ということを意味します。物事やある人が、環境にどのような影響を与えるかということを「事前に」調査し、評価することに使われる言葉です。
これまで、主に医療や介護、事業開発などの現場で使われてきました。
人事においての人材アセスメントとは
企業や組織で適切な人材配置を行うために、対象の人材の能力・適性・タイプなどを客観的に評価、判断するものです。対象者は、訓練された外部機関のアセッサー(評価者)がファシリテーションを行うプログラム等に参加し、それらを通して思考や特性などを把握することができます。
評価項目は、目的に外部機関によって用意されており、「あるべき姿」と現状の自分の状態を客観的に判断することができます。
これらを活用することで、企業は管理職の適性がある人材を事前に絞ることができます。また、従業員にとっても、自身の現在の姿を把握することで目標が明確になり、自己成長へのモチベーションが上がったり、社内の風通しが良くなるという効果もあります。
人材アセスメント登場の背景と必要性
ではなぜ人材アセスメントの重要性が言われるようになったのでしょうか?その背景と必要性を理解していきましょう。
人材アセスメント登場の背景
近年、成果主義や職務給を導入する企業が増えています。これは、業績をもとに評価や給与を決定するということを意味します。優れた業績を上げるほど評価が高くなり、中には、管理職ポジションを任せることになる従業員もいるでしょう。
しかし、優れた業績を上げられる人が、等しく管理職の適性があるとは限りません。もちろん、上手にマネジメントできる人もいるかと思います。一方でマネジメント適性がなく、チームやプロジェクトを破綻させてしまうケースもあります。
例えば、自身と同じやり方をチームメンバーに求めたり、自分と違うタイプのメンバーとは上手くコミュニケーションが取れないなどの事例があります。
また、人が人を評価するのは難しいものです。好き嫌い、お気に入りには甘くなる、など個人的な感情が入ってしまいがちです。結果として、評価結果は上司との相性や、上司の人間的な習熟度に大きく左右されることが多々あります。
このような事態を打破するために、公正で客観的な評価を行えるツールが求められるようになりました。こうして、人材アセスメントの注目が集まり始めているのです。
人材アセスメントの必要性
高度経済成長期からバブル期にかけては、終身雇用が当たり前の時代でした。この雇用形態から、年功序列型、職能性など在籍期間が長ければ長いほど評価される制度が生まれています。この頃は、ジョブローテーションなどで様々な経験を積みながらじっくりとキャリアを積むことが当然とされていました。
しかし現在、少子高齢化による労働人口の減少により、マネジメント層や管理職のポストに大幅に空きが出ています。そのような状況では、ジョブローテーションで人材の適性をはかる猶予はありません。
よりスピーディーに、管理職の適性判断や、人材の適材配置を進める必要性が生まれています。
人事評価と人材アセスメントの違い
この2つには明確な違いがあります。それは、評価する人が直属の上司であるか、第三者であるかの違いです。
これまでの人事評価は、直属の上司によって行われるものがほとんどでした。しかし、人が人を評価するのは難しいものです。個人的な感情が入ったり、組織内で評価のばらつきがあったりと、定性的で評価の画一化が困難でした。
一方、第三者として判断する人材アセスメントにはいくつか種類があります。例えば、メンバーに3日間のプログラムを受講してもらいます。ある程度ストレスのかかる状況で、思考方法やストレス耐性などを判断し、各メンバーのタイプや特性を洗い出す、などがあります。その結果と業績を踏まえ、客観的に成長ポイントについて整理をします。
評価者が誰であるか、ということが人事評価と人材アセスメントの最大の違いと言えるでしょう。
人材アセスメント導入のメリットや効果
では人材アセスメントを行うメリットはどんなものがあるでしょうか?
評価の客観性
第三者機関が評価を請け負うことにより、公正で客観的な判断をすることが可能となります。
直属の上司による人事評価だと、個人の感情が評価に与える影響が大きく、組織内での評価のばらつきや、人によって育成方針が異なる、などの現象が起きやすくなります。このような事象が長く続くと、組織の一体感や活性化が阻まれ、属人的なノウハウばかりが溜まりやすくなってしまいます。
また、上司からの評価に納得感がないと不満に繋がりやすく、離職やミスマッチなどの現象も発生する可能性が高まります。
人材アセスメントを活用することで、客観的で公正な評価をすることができます。画一化された結果を出すことで、評価を受ける人としても納得度が高まり、離職の防止に繋げることができます。
昇進・昇格の精度が上がる
従来の主観的な評価だけでなく、人材アセスメントを使用して管理職に適性があるかを判断すると、管理職としてふさわしい適性を持つ人材を登用できます。
優れた業績を出せるメンバーが、管理職としても優れているとは限りません。人材アセスメントを活用することで、適性をはかることができるため、本当に資質を持った人材を登用することができ、昇進昇格の精度が上がります。
自己開発の動機付け
そもそも評価とは、「自分の現状」と「なりたい姿」のギャップを明確に認識するために行うものです。しかし、上司との相性や関係性、上司の人間的成熟度に左右される部分も多くあるのが、現状の人事評価です。また、定性的になりやすく、評価や指導方法に納得がいかないというケースも多々あるでしょう。
外部からの公正なフィードバックを受けることで、納得度の高い結果を得ることができ、自己開発へのポジティブな動機付けすることが可能となります。
採用でのミスマッチ防止
採用において、ミスマッチ防止のために利用することができます。採用試験で一般的な複数回の面接と適性検査だけでは、人材を正確に見極めることが難しいでしょう。結果としてミスマッチが生まれ、早期退職に繋がってしまいかねません。
選考過程で人材アセスメントを活用した選考を取り入れることで、人材の見極め精度が上がり、ミスマッチや早期退職を防止することができます。
人材配置の最適化促進
終身雇用や年功序列を前提とした従来の日本企業では、適性をはかるためにジョブローテーションを行うことが多くありました。しかし近年、ビジネススピードがどんどん速まっているために、じっくりとジョブローテーションをする時間はありません。
また、人手不足も顕著で企業もその余力はありません。よりスピーディーに適材適所に人材を配置し、成果を出すことが求められる時代です。
人材アセスメントを利用することで、個人が成果を出しやすい環境を把握することができます。
人材の発掘
成果主義では、目覚ましい業績を上げているメンバーが注目されがちです。上層部からすると、活躍している彼らの評判が耳に入ってきやすいく、新規事業やプロジェクトのオーナーに抜擢する人材が偏りがちです。しかし、あまり表舞台に姿を見せなくとも優秀な人材は多くいます。
人材アセスメントで事前に適性をはかることで、あまりスポットライトを浴びていなくても優秀なメンバーや適性のある人材を発掘し、プロジェクトにアサインすることができるようになります。社内評判や定性面以外にも目を向けることができるという点で、人材発掘としても活用できます。
人材アセスメント導入時のポイント
導入効果やメリットがわかったところで、それらが十分に機能するためのポイントも認識しておきましょう。
目的と評価項目を明確にする
人材アセスメントを活用することで得られる評価項目には、多くの種類があります。そのためには、人材アセスメントを活用することで達成できる状態はなにか、という目的を明確にすることが重要です。
新規事業に向くタイプの選定、マネジメント向くタイプの選定などコントロールも可能です。評価プログラムだけでなく、マネジメント層の育成プログラムなども組むことが可能です。
このように、多岐にわたる種類が用意されています。人材の何を見たいのか?を明確にすることで、マッチするプログラムを導入することができます。
迷ってしまったら、依頼機関に相談しながら、自社にとって最適なプログラムを導入しましょう。
結果を分析し、活用する
何事も、やりっぱなしでは意味がありません。人材アセスメントで得られる客観的なデータは、組織や個人の課題や改善点を洗い出すのに非常に有効なものです。
導入時、ある程度の予測を立てた上で人材アセスメントを導入し、実際得られた結果との比較を行います。そうすることで、見落としていた組織課題を発見でき、対策準備も可能です。
手段が目的化しないよう、実施後の活用も踏まえて人材アセスメントを導入しましょう。
まとめ
人材アセスメントについての解説でした。より良いマネジメント層を事前に発掘することで、人材配置のスピードや正確さが高まります。
最近では人材アセスメントに特化した人事コンサルティング会社も多く生まれていますので、必要に応じて相談しつつ、導入を検討してみてください。
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