研修講師とは?仕事内容や必要なスキル、意識したい5つのポイント

「研修講師って何?どんな仕事内容なの?」「研修講師に必要なスキルは?」など、研修講師について知りたい方も多いでしょう。本記事では、研修講師について、仕事内容や必要なスキル、研修講師として研修を行う際に意識したい5つのポイントをご紹介します。

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研修講師は「新入社員研修」や「ビジネスマナー研修」などの研修に講師として登場し、受講者にさまざまな知識やスキルを提供します。今回は、そんな研修講師について、必要なスキルや資格、仕事内容を徹底解説していきます。

また、実際に研修講師として研修を行う際に意識したい5つのポイントも併せてご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

目次

 

研修講師とは

研修講師を依頼されたスーツの女性

研修講師とは、その名の通り研修の講師として活躍している人を指します。新入社員研修を始め、ビジネスマナー研修、マネジメント研修などさまざまな研修には「研修講師」と呼ばれる存在がつきものです。

研修講師には2つのパターンがあり、1つめは社内で適任とされる人材を講師とする社内講師、2つめは外部から依頼する外部講師です。

研修講師に必要となるスキルや資格

研究講師に必要な資格はありません。ただし、実際に研修講師として活躍している人の大半は、自身の能力を証明する資格や、強みとする領域に関する資格を保持しています。

また、日本プロフェッショナル講師協会(NPIA)では、研修講師としての能力を認定するものとして「研修講師認定制度」を設けています。

研修講師として必要となるスキルの代表的なものは「ファシリテーション」です。ファシリテーションとは研修やミーティングを円滑に進行させる能力です。ファシリテーションは研修講師として活躍していく上で、必ず身に着けておくべきスキルだといえるでしょう。

研修講師とセミナー講師は同じ?

研修講師と似た言葉として、セミナー講師がありますが、2つの講師は同じものなのでしょうか。研修講師とセミナー講師の違いを考えていきましょう。

研修講師 セミナー講師
参加者の参加意欲 企業の方針などによって参加 自発的に参加
参加者の情報 事前にある程度の情報は入手可能 大まかな情報のみ入手可能
研修のゴール
  • 企業の問題を解決
  • 人材の育成
  • 知識を得る
  • 学ぶ
  • 気づきを得る

開催する研修への参加意欲や、事前に参加者の情報をどの程度入手できるか、研修後に設定するゴールなど2つの講師はいくつかの違いがあることがわかります。

 

研修講師の仕事内容とは

ノートパソコンのキーボードに手を置いて入力している模様

次は、研修講師の仕事内容について考えていきましょう。研修講師の仕事内容は大きく分けて以下の4つです。

  1.  準備
  2.  実施
  3.  実施時のファシリテーションやコーチング
  4.  検証

事前に研修のために準備を行い、実際に研修を実施する、そして研修後に検証を行うまでの流れが研修講師の仕事内容になります。

1.準備

研修講師が行う仕事内容「準備」の例としては以下内容が挙げられます。

  1. 研修目的の設定
  2. 研修ニーズの把握
  3. 研修会場の決定
  4. 配布物のコピー
  5. 名簿・座席表の作成
  6. 受付作業
  7. アンケート作成など

これらは準備の一部ですが、研修講師が研修を行うためにはとても大切な仕事です。

研修内容目的の設定はもちろん、スムーズに研修当日を迎えるための準備も研修講師が責任を持って行います。

2.実施

研修講師が行う仕事内容の「実施」の例としては、参加者へ知識を提供し、スキルや気づきを習得してもらうためのティーチングやコーチングが挙げられます。

ティーチングとは、講師として参加者へ知識を教えることで、コーチングとは「なぜ?」と参加者へ問いを投げたり、議論を進行させたりすることです。

この他にも、ファシリテーションと呼ばれる研修や会議を円滑に進めるスキルを利用して参加者を導きます。

3.実施時のコーチングやファシリテーションも重要

実施時は、上でも解説したコーチングやファシリテーションをバランスよく利用することで、研修をスムーズに進められるでしょう。

その結果、参加者の知識定着や気づきに繋がります。

実施時のコーチングやファシリテーション、ティーチングの段階で、講師と参加者の認識共有や学び、気づきができないままだと、研修自体に成果が得られなくなってしまいます。

4.検証

検証は、研修終了後にアンケートやインタビューへ回答してもらうことで、研修の成果を可視化させることを目的として行われます。

講師自身はよい研修だったと考えていても、参加者が新たな学びや気づき、スキルを習得し、満足度の高いものであったと感じられなかった場合、研修成果は低くなってしまいます。

そこで、アンケートやインタビューを行い、研修成果を検証することが大切なのです。このような検証を「研修効果測定」とも呼びます。

 

研修講師に必要なスキル「ファシリテーション」

ファシリテーションでミーティングを円滑に進める研修講師

次は、ここまでで何度かご紹介したファシリテーションについて以下3つの観点を考えていきます。

  • ファシリテーションとはそもそもどのようなスキルなのか
  • なぜ研修講師にファシリテーションスキルは必要なのか
  • ファシリテーションはどこで学ぶことができるのか

これから研修講師として研修を行う予定がある人は、ぜひ参考にしてください。

ファシリテーションとは

特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会(FAJ)によると、ファシリテーションとは、「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りをすること」としています。

研修で考えると、教育や学習などあらゆる知識や気づき、学びを取得する活動に対して、支援を行い、円滑にことが進むよう促す役割のことをファシリテーションと呼ぶのです。

なぜ研修講師にファシリテーションが必要なのか

研修講師は、円滑に研修を行い、参加者の知識や気づきや学びを促進させ、支援する役割があります。

そして、ファシリテーションは、研修講師が担う役割と同様のスキルであるため、研修講師にとって必須のスキルだといえるでしょう。

また、研修や会議などを進行させる人を「ファシリテーター」と呼ぶように、研修講師が行う役割はすべてファシリテーションと似通っているものがあるのです。

ファシリテーションはどこで学ぶことができる?

ファシリテーションは本や研修などで学ぶことができます。特に、これからファシリテーションについて学びたい人は、ファシリテーションスキルを持った講師が行う研修やセミナーへの参加がおすすめです。

また、なかなか研修やセミナーへの時間が合わず、出席できないという人はオンラインで学習が行えるサイトもあります。

オンライン学習では、動画による反復学習理解度テストによってしっかりと知識を定着させることができるでしょう。

 

研修講師の仕事を行う際に意識したい5つのポイント

こちらに向けて人差し指をあ立てるスーツ姿の男性

本記事の最後に、これから研修講師として研修を行う人へ、研修講師の仕事を行う際に意識したいポイントを5つご紹介します。

このポイントは、研修講師として研修を行う際、参加者の学習意欲を高め、研修効果を高めるために大切なポイントとなっています。

ファーストコンタクトが大切

ポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュ氏が提唱した「初頭効果」によると、私たち人間の第一印象(ファーストコンタクト)はその後の評価や印象に多大な影響を与えるといわれています。

研修講師としてのファーストコンタクトでどれだけ参加者によい印象を与えるかによって、参加者の学習意欲や「この人の話が聞いてみたい」という意欲を左右するのです。

逆にファーストコンタクトで印象が悪かった場合、何か失敗する度に「ああ、やっぱりね」と思われるようになるので、評価や好感度が下がり、参加者の学習意欲をそいでしまう可能性もあります。

話し方にも工夫を

研修講師として大勢の人の前で話す際は、話し方を工夫しましょう。
友達や家族と話すように話すのでは、あまりにもなれなれしく参加者からの印象を悪くする可能性が高いです。

話し方のコツとしては以下6つを意識してみましょう。

  • 短い文章を心がける
  • 研修中、問いかけや質問を入れる
  • ジェスチャーを入れる
  • 明るく大きな声で話す
  • 参加者に聞こえるようゆっくり、はっきりと話す
  • 語尾は言い切る

NG行為としては、講師が一方的に話すことです。
適度に問いかけや質問を入れて研修を進めていきましょう。

態度や視線配りにも意識を向ける

3Vの法則または7-38-55ルールとも呼ばれる心理学の法則「メラビアンの法則」によると、私たち人間の第一印象を決めるのは、話の内容よりも外見や態度、視線配りや身振りや手ぶりなどの外見的要素であるといわれています。

そのため、研修講師として研修を進めていく際は、高圧的な態度は取らず、視線は八の字を描くイメージで会場が見渡せるように意識するなど、ちょっとした工夫が大切です。

失敗だけを見て判断しない

研修講師だけではありませんが、研修講師の中には参加者の失敗した部分だけを見て「この人はできない人だ」と決めつける人がいます。

もちろん、大半の研修講師は失敗だけを見て相手を判断することはしませんが、たった1度または数回の失敗を見て相手を判断するのはNGです。

本記事でもご紹介したように、人間のファーストコンタクトは今後の印象を左右する程重要なものですが、研修中に失敗をしたからといって「ダメだ」と判断せず、その後の行いもしっかり見て判断してあげましょう。

作業内容だけではなく、仕事の全体像・意義を伝える

何事も、目的とゴールを設定することによって、それぞれの学習や行動に意義がうまれます。

例えば、研修中、研修講師から指示された作業内容に何の目的があってゴールはどこにあるのかを告げられないままだと、参加者は疑問を抱き、学習意欲の低下に繋がるでしょう。

研修講師と企業の研修担当者だけが研修の目標やゴールを共有するのではなく、参加者にもしっかりと伝えることが大切です。

加えて、企業で行う仕事の全体像や意義について参加者へ伝えることで、明確な目標とゴールを共有することができます。

 

まとめ

3人の子供がノートパソコンを開いてディスカッションしている模様

本記事では、研修講師について、仕事内容や必要スキル、研修講師として研修を行う際に意識したいポイントを5つご紹介しました。特に、研修講師に必要なスキル「ファシリテーション」は、企業で働いていく上でも大切なスキルです。

これから研修講師として働こうと考えている人は、今緊張や不安でいっぱいかもしれません。そんなときは、本記事を参考にして、高評価を得られる研修講師を目指してみましょう。

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