新人教育がストレスになる!イライラの原因や有効策を徹底解説!
新人教育でストレスを抱えてしまう原因には、新人教育の仕組み化ができていないことや通常業務との両立が難しいことなどが挙げられます。ストレスを抱え込むと新人教育の質の低下につながるため、ストレスとなる原因を特定し早めに対処しましょう。
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新人教育は企業の将来を担う人材を育てる重要な仕事です。しかし思うように新人が成長しなかったり通常業務との両立が難しかったりなど、教育担当者の中には新人教育でイライラしたり、「しんどい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、新人教育でストレスを抱えてしまう原因と対策について紹介します。また教育担当者が身に付けておきたいスキルについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 新人教育でストレスを抱えてしまう原因
- 新人指導でイライラしないための考え方
- 教育担当者が身に付けておきたい教えるためのスキル
- スムーズに新人教育をするコツ
- 新人教育でストレスを溜め込まないための有効策
- まとめ
新人教育でストレスを抱えてしまう原因
教育担当者が新人教育で自分の価値観や考え方が通用しないことや、本来の業務との両立が難しいことなどを理由に、ストレスを抱えてしまうケースは少なくありません。教育担当者がストレスを抱え込んでしまうと、業務パフォーマンスの低下や人間関係の悪化など、さまざまな問題が生じるでしょう。
新人教育でストレスを抱えている方は、原因を突き止めることが大事です。ここでは、新人教育でストレスを抱えてしまう原因を6つ紹介します。
自分の物差しで判断してしまう
「なぜこんな簡単なことができないのか」「自分ならこうするのに」など、自分の物差しで新人の能力を判断してしまうことがストレスの原因のひとつです。自分の物差しで考えてしまうと「新人はこうであるべき」という考えや期待を持ってしまい、新人の能力が期待値を下回った際にストレスを抱えやすくなります。
さらに新人に対する過度な期待は新人にとって余計なプレッシャーとなり、本来の能力を発揮できなくなる恐れもあるでしょう。新人の成長には個人差があるため、「最初はできなくて当たり前」とハードルを下げておくことで丁寧な指導ができ、ストレスも抱えにくくなります。
新人の立場や気持ちを考えていない
新人の立場や気持ちを考えられず、人間関係がうまく築けないことからストレスを抱えてしまう可能性があります。新人の気持ちに配慮できないと、淡々と指導したり対応が雑になったりすることもあります。
そのような指導をすれば新人が教育担当者に心を開かず、良好な人間関係や信頼関係の構築が難しくなるでしょう。信頼関係が築けないと、新人が指導に従わなかったり反発したりすることもあり、教育担当者はさらにストレスを感じる恐れがあります。
世代の違いによる抵抗感がある
教育担当者と新人の年齢差が大きい場合は、価値観や考え方が合わずストレスを感じてしまう人も多いです。生まれた世代が違えば価値観や考え方が異なることもあるでしょう
年齢差を理由に初めから価値観や考え方が合わないという先入観を持ったり、ジェネレーションギャップを感じたりする場合は抵抗感を抱くかもしれません。新人の考え方や価値観に歩み寄ることも大事です。
もともとの業務との両立が難しい
社内で新人教育を実施する場合、通常業務と並行して行うケースが想定されます。新人教育は時間と労力を要するため、教育担当者の本来の業務との両立が困難な場合は、ストレスを抱えてしまうことがあります。
教育担当者は本来の業務と新人教育を両立するための時間管理やプランニングが大切です。例えば、業務の優先順位を付けて時間をうまく使い分けるほか、同僚や上司のサポートを受けるのも対策のひとつです。
新人教育の仕組み化ができていない
教育の仕組み化ができていないと、教育担当者に負担が生じることがあります。例えば教育プログラムが不十分な場合、教育担当者が毎回新人向けにカスタマイズした教育プログラムを作成する必要があります。
これは時間と労力を要するためストレスの要因になります。また教育プログラムが一貫していないことで、業務の属人化や新人を混乱させるなど、さまざまな問題が生じるでしょう。教育の仕組み化は、教育担当者のストレスを軽減するだけでなく、効果的な新人教育を実現するためにも重要です。
教えるスキルが不足している
教育担当者の「教えるスキル」が不足していると、教育がうまくいかずストレスになるケースがあります。新人教育で必要な情報や知識を適切に伝えられず、新人の問題解決能力を引き出せなければ、新人は成長できません。
新人が成長できないことによって、教育担当者はさらにストレスを感じる恐れがあります。教育担当者が教えるスキルを磨くことで教育効果を高め、新人が早期に業務に適応できるようになるでしょう。その結果、教育担当者のストレスも減り、効率的かつ効果的な新人教育の実現が叶います。
新人指導でイライラしないための考え方
新人指導でストレスを抱えないためには、「新人のうちは失敗するもの」と念頭に置くことが大事です。過度な期待をすれば、新人のミスに対してイライラしてしまう恐れがあります。イライラしたまま指導を続けると新人も萎縮してしまい、本来の能力を発揮できなくなるでしょう。
新人の成長には時間がかかるものと想定し、長期的な教育を視野に入れた育成プログラムを作成することも大切です。本来の業務と両立するためには、事前にスケジュールを立てて時間の管理をします。
新人教育は企業の成長・発展を担う人材を育成する重要な仕事です。ゆえに教育担当者も責任を感じて指導に熱が入りやすいものですが、感情的に接してしまうと反発を生む可能性があります。新人と教育担当者の双方が精神的に消耗してしまわないように、丁寧に論理立てて指導することが大事です。
教育担当者が身に付けておきたい教えるためのスキル
新人が思うように育たない、自分の指導を無視・反発されるといった場合は、教育担当者のスキルが不足している可能性があります。スキルが不足していれば新人が育たないだけでなく、担当者自身のストレスにもつながりかねません。新人の成長を促すためにも、ここで紹介する4つのスキルを押さえておきましょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは論理的思考力のことを指し、新人教育においてはさまざまな場面で必要とされます。ロジカルシンキングを身に付けることで、問題を解決するために必要な情報を集めて分析し、それを基に正確で論理的な判断を下すことが可能です。
例えば新人の業務習熟度が低い場合には、その原因を分析し改善策を考えられます。また新人の能力を客観的かつ論理的に評価することも可能です。新人の強みや課題を正確に把握し、その上で分かりやすく適切なフィードバックを提供できるでしょう。
ティーチング・コーチング
新人教育におけるティーチングとは、新人社員に具体的な仕事の方法や知識を教えることを指します。一方、コーチングは新人が自らの力で課題をクリアできるように導く指導方法です。新人が自己成長を達成するための目標設定や、問題解決のための選択肢の提示、フィードバックの提供などを行います。
教育の目的や状況に応じて、ティーチングとコーチングを適切に使い分けることが大切です。両方のスキルを身に付ければ、新人の成長のサポートと効率的かつ効果的な教育が実現できるでしょう。
コミュニケーション
コミュニケーションの仕方である「コミュニケーションスタイル」を理解することで、個人の価値観や考え方の違いに配慮でき、円滑な意思疎通ができるでしょう。コミュニケーションスタイルは以下の4タイプに分けられます。
- ドライビング(実行型):行動的・現実的
- エクスプレッシブ(直感型):感覚的・前向き
- アナリティカル(分析型):論理的・慎重
- エミアブル(温和型):協調的・控えめ
上記の概念を理解し、新人のコミュニケーションスタイルに合わせて接すれば、円滑な教育につながり良好な関係を築くことができるでしょう。
4段階職業指導法
「4段階職業指導法」とは新人育成方法のひとつで、OJTの原則となるものです。4段階職業指導法は以下の4ステップに分けて行います。
- Show:実際に仕事をやってみせる
- Tell:仕事の内容を説明する
- Do:実際に仕事をやらせてみる
- Check:できた部分とできなかった部分の評価・追加指導をする
OJTは、仕事の現場で実際に働きながら、必要なスキルや知識を習得する研修方法です。4段階職業指導法やOJTの意味をきちんと理解して指導することで、新人の育成が効果的になります。
スムーズに新人教育をするコツ
新人教育の経験が浅い方は、教育のコツやノウハウを知らないことも多いのではないでしょうか。会社の将来を担う人材を育てる新人教育は、ただ新人社員に業務を教えればよいわけではありません。ここで紹介する4つのコツを押さえておきましょう。
質問しやすい環境を作る
教育担当者は、新人社員が話しかけやすく質問しやすい雰囲気作りを心がけることが大事です。新人は、社内のルール・マナーや業務内容やツールの使い方など知らないことが多いため、何度も聞きたくなる場合があります。しかし、質問しにくい雰囲気だと遠慮してしまうでしょう。
新人が気軽に質問できる環境を作るためには、新人と積極的にコミュニケーションを取り、質問を促すことが大事です。具体的には「何か質問はありますか」と声をかけたり、「こんなときはこうしたほうがいいですよ」とアドバイスしたりするとよいでしょう。
業務の目的や方法は具体的に教える
業務についての説明をする際には、何のために行う業務なのか、どのように行うのかといった目的や内容を具体的に教えましょう。新人教育は単にルールやマニュアルに沿った指導をするだけでは不十分です。「その業務がなぜ必要であるか」「どのような目的を持っているか」を伝え、自分の役割を理解してもらうことでモチベーションの向上にも期待できます。
ただし、新人にとっては初めて覚えることが多いため、一度に多くの情報を与えすぎないように注意が必要です。適度な量の情報を与え、都度フォローアップしましょう。
適度な距離感を保つ
教育担当者は新人と間近で接するため、新人が抱える課題を自分の課題として捉えてしまいがちです。しかし、教育担当者があれもこれも手助けしても、新人の成長を促せません。
必要なサポートを提供しつつも、新人が自分で考え行動し、失敗から学べるよう手を引くことも大切です。新人の自主性を尊重し、適度な距離感を保つことが新人教育を成功へと近づけます。
小さな責任を与える
新人教育では新人に負担がかからない程度に、少しずつ責任や課題を与え、成長を促すことが大切です。責任や課題を与えられれば、自分が必要とされている人材であることを自覚し、モチベーション向上につながります。
ただし、与える責任や課題は新人の能力や経験に合わせて調整しましょう。過度な負担やプレッシャーを与えると、新人が不安やストレスを抱えてしまうため注意が必要です。
新人教育でストレスを溜め込まないための有効策
新人教育はさまざまなケースで教育担当者のストレスが溜まります。ストレスを抱え込むと健康やモチベーションにも悪影響を与える恐れがあるため気を付けましょう。
ストレスが原因で教育担当者の対応が悪くなれば、新人に対するアドバイスや指導が的外れになることもあります。新人教育でストレスが溜まりやすい方は、ここで紹介する方法を参考にしてみてください。
初期教育の擦り合わせをする
新人教育を実施する前に企業内で教育方針や目標、期待する能力やスキルなどを明確にし、教育担当者同士で共有することが大切です。また初期教育のプログラムやカリキュラムを作成し、新人が必要とする知識や技能、業務内容を調整することも重要です。
擦り合わせが不十分だと、新人の理解度や教育の進捗状況に差が出てしまい、効果が薄れてしまう場合があります。基礎的な知識やスキルから始め、段階的に難易度を上げながら教えるプログラムを計画してみてください。
新人教育を体系化する
新人教育を体系化することで教育内容が明確になり、担当者が伝えるべき情報が整理されます。また新人教育を標準化できるため、教育のムラがなくなるほか、担当者の負担が軽減されるのもメリットです。新人教育を体系化するための流れは以下のとおりです。
- OJT実施計画を作成し、新人教育の目的や期間、内容、進め方、評価方法などを明確にする
- 新人教育の内容をマニュアル化し、教育担当者が伝えるべきことを整理する
- 必要に応じて上司や他部門のサポートを受ける
教育の質を向上させるため、心がけましょう。
外部の研修を活用する
「教育担当者の負担を軽減したい」「専門的な研修を行いたい」といった場合は、社内教育と外部委託での教育を併用するのがおすすめです。外部委託を活用すれば、より専門的な知識や技能を持つ講師による教育が可能です。
また社内教育は担当者がひとりで全ての新人教育を担当するため、負担が大きくなりがちです。外部委託による教育を導入すれば、内容の一部を外部の講師に任せられ、担当者の負担を軽減できます。外部委託と併用すれば教育担当者も本来の業務との両立がしやすくなる上、より効果的な新人教育が望めるでしょう。
まとめ
新人教育では新人の未熟さや思いどおりに仕事が進まないことによって、教育担当者がストレスを感じる場面は多々あるでしょう。ストレスを溜め込むと教育担当者のパフォーマンスにも悪影響を及ぼし、新人教育の質も低下してしまいます。
新人教育でストレスを抱え込まないためにもスキルを身に付け、「新人のうちはミスをするもの」「新人の成長には時間がかかるもの」と思っておきましょう。新人教育の負担が大きいと感じる場合は、上司や他部門のサポートのほか、外部の研修なども活用してみてはいかがでしょうか。