フィードバックとは!目的や効果、おすすめ書籍を解説【人事必見】
人事向けにフィードバックについて詳しく解説しているハウツー記事です。部下の仕事の効率化に有効、でも一歩間違えると離職につながるなど諸刃の剣であるフィードバック。本記事で目的や効果を再認識してみてはいかがでしょうか。
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フィードバックが重要というのはビジネスシーンでよく聞く話です。
とはいえ具体的に説明するとなると言葉に詰まる方は少なくないでしょう。
なんとなく意味は分かるけど具体的にどのように業務へ活かせばいいのか分からないという方も多いはずです。
そこで今回はフィードバックの概要を説明するとともに、より深く学ぶためにおすすめの書籍を紹介します。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。

今回は、フィードバックに関する内容ですね!

どういう内容でしょうか?

目的と効果、おすすめ書籍について詳しく説明していきますよ!

お願いします!
目次
- フィードバックとは
- フィードバックの目的
- フィードバックの効果
- フィードバックの実施方法
- フィードバックで用いられる主な手法
- 効果的なフィードバックを行うためのポイント
- 実際のフィードバック事例
- フィードバックについて学びたい方におすすめの書籍
フィードバックとは
フィードバックとは、何かの作業から生み出された結果を見て、その作業結果の原因を調整することを意味します。
もともとは、電気回路の出力を入力側に返すことで出力制御をする意味を持ち、日本語では「帰還」や、「反応」と訳されます。
少し難しいので具体的な例を挙げて説明しましょう。
例えばあなたは今、新人の後輩に自分の仕事を教えているとします。
一通り口頭で説明はすると思いますが、それで終わりとはなりませんよね。
実際に教えた通りやってみるよう指示するかと思います。
しかし、実務経験のない新人がいきなり完璧に仕事をこなせるはずがありません。
あなたは新人に対し、「もっとこうした方がいいよ」「他には、このようなやり方がないかな」とアドバイスするはずです。
フィードバックとはまさにこのアドバイスのこと。
先輩からのフィードバックを受けた後輩は仕事のプロセスを変え、より効率的な方法を習得していくでしょう。
フィードバックの目的
フィードバックの目的は、原因を修正してより良い結果を出せるようにすることです。
先ほど説明した新人教育の例でいうなら、後輩に正しい仕事の進め方を覚えてもらうことがフィードバックの目的になります。
もしここであなたのフィードバックがなかったらどうなるでしょうか?
おそらく後輩は、そもそも「正しい仕事の進め方とは何か」がわからず、今までのやり方で仕事を進めてしまい、結果が伴わないでしょう。
人間は主観が勝るので、自分の行動の何が間違っているのか気づきにくい生き物です。
同じようなミスを繰り返していても、フィードバックがなければそれがミスだと気づかない、なんてこともあるでしょう。
しかし、あなたからのフィードバックがあれば正しい状態と現実の乖離に早くに気づき、より早く仕事のプロセスの改善が可能になります。
今回は新人教育の話を例にしましたが、これは人事評価、プロダクト&サービス開発、マーケティングプロジェクトなど、ビジネスのあらゆるシーンで活用できる考え方です。
フィードバックの効果
フィードバックが広く浸透しているのは、ビジネスシーンにおいて効果的であるからにほかなりません。
ここでは、フィードバックで期待できる効果について見てきます。
望ましくない行動や言動の修正
フィードバックを行うことにより、業務上のミスやトラブルに繋がる行動や言動を指摘して、好ましい方向へと変えてゆくことができます。
業務上の指導としても、マインド面の指導としても効果的です。
より高いパフォーマンスの発揮
定期的にフィードバックを実施することにより、常に改善を加えながら物事に取り組むことができます。
結果として、フィードバックを受けた人材がより高いパフォーマンスを発揮することに繋がります。
モチベーションの向上
日々の業務は慣れてくると惰性で行ってしまいがちです。フィードバックを行うことにより普段の行動を評価することは、当事者意識を高めるための良い刺激となります。
今後へ繋がる具体的な行動指針を示すことで、より高みを目指そうとモチベーションを高めることが期待できます。
目標達成
フィードバックは、企業活動における目標達成の確度を高めるためのツールとしても活用できます。
進捗を確認しながら定期的にフィードバックを実施することで、メンバーの行動やマインドセットをより目標達成に適した状態へと改善していきます。
特に、ビジネスシーンで頻繁に活用するテクニック「PDCA」との相性が良く、使い勝手の良いのがフィードバックの特徴です。
企業またはチームで回しているPDCAを、個人単位に落とし込む際にも活用できます。
人材育成
フィードバックは人材育成の手法としても頻繁に用いられます。
定期的にフィードバックを実施して評価・指摘・指導を繰り返して、業務上必要とされる能力を身に付けていきます。
人材育成に活用する場合は、特に成長のステージに合わせて段階的にフィードバックを実施することを意識する必要があります。
フィードバックの実施方法
基本的なフィードバックの方法は、上司と部下がマンツーマンで、面談形式で実施します。
具体的な実施手順を以下に解説します。
1. 事実確認・情報収集
有意義なフィードバックの実施には、事前準備が欠かせません。面談に入る前に、対象となる部下の情報及びフィードバックを行う事象についての情報を収集します。
正確性・客観性・公平性を重視するため、複数人から情報を集めるのが一般的です。
2. 事実の伝達
フィードバック面談のファーストステップは、収集した情報を参考に、ありのままに事実を伝えることからスタートします。
次のステップに繋げるために、丁寧且つ正確に行うことがポイントです。
フィードバックの焦点となる問題や課題については、多角的多層的に深堀をします。
3. 共通コンセンサス(合意)を得る
上記で伝達した事実に基づき、今回のフィードバックの焦点となる問題や課題について、部下と上司が合意して共通理解を得ます。
共通コンセンサスが取れないままに評価をして指導や今後の改善点を伝えても、好ましい行動や成果には繋がらないため、重要なステップとなります。
事実を認めたくないという部下もいるかもしれませんが、問題や課題が事実であれば、正論で合意を得ることは可能です。
ただし、いたずらに抑え込むことが目的ではない点に注意しましょう。スムーズに合意を得る信頼関係の構築と円滑なコミュニケーションが重要です。
4. 次の打ち手を考える
合意を得た問題や課題について、「どうすれば良いか」を考えて部下に伝えます。
実際の行動に繋がるように、明確かつ具体的な打ち手を考えるのがポイントです。
基本的にはフィードバックを担当する直上の上司が部下に指導しますが、部下に十分に考える能力があれば相互にコミュニケーションを交わして一緒に考えても構いません。
5. フォローアップ
フィードバックを返した部下が、行動できているかをチェックします。躓いていたり理解できていなかったりした場合は、状況を見てサポートを入れる場合もあります。
フィードバック後のフォローアップまで行うと非常に手がかかるため、こちらのプロセスは実施しない場合もあります。余力があれば実施した方がフィードバックの確度が高まります。
再び1に戻って、これらのプロセスを何度も何度も繰り返して、部下の成長をサポートします。
フィードバックで用いられる主な手法
フィードバックの手法は、大きく分けてポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの、2つの手法があります。
状況や部下の特性に合わせて使い分けることで、効果的に成長を促すことができます。それぞれの手法について以下に解説します。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックは、部下の行動・発言に対して、主に前向きな言葉を使ってフィードバックを返し、成長を促す手法のことを言います。良かった部分については評価を加える場合もあります。
否定的な言葉を控える事により、部下の自発性、意欲、自己有能感を向上させて、スピーディーな成長を狙う場合に用いられます。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは、ポジティブフィードバックと対極に位置する手法で、文字通りネガティブな言葉でフィードバックを返す手法です。
一見好ましくない手法のような印象を受けますが、敢えてポジティブなワードで導かないことにより、部下本人が自分で考える力、状況を打破する力を引き出すことが期待できます。
成長意欲の高い中堅社員、リーダー候補等、主体性や力強さが求められるポジションの人材の育成に効果的です。
基本的に人材育成には、ポジティブフィードバックを活用していきます。
ネガティブフィードバックは、実施する対象や本人の意向に合わせて使わないと、逆効果になりがちなため注意が必要です。
状況や部下の成長ステージに合わせて上手く使い分けて、効果的な人材育成に繋げてみて下さい。
効果的なフィードバックを行うためのポイント
フィードバックの実施方法が分かりました。しかしフィードバックは、手順通りに実施してもなかなかうまく行かない場合があるのが難点です。
ここでは、効果的なフィードバックを行うために抑えておきたいポイントについて解説します。
情報鮮度が良い間に行う
フィードバックは、起こしたアクションの記憶が新しいうちに実施するのが基本です。
あまりに時間が経過してからフィードバックを返しても、フォーカスするポイントについての当事者意識も薄まっており、効果的なフィードバックを行うのが難しくなります。
当時と状況が変わっている場合もあるため、具体的な打ち手に繋げることは難しいでしょう。
フィードバックは、なるべく問題や課題が発生してから時間を空けずに次の打ち手へと繋げるのが基本となります。できれば即時実行できるのが理想的です。
部下の能力を加味して行う
正しいプロセスでフィードバックを行えば、必ず成果が得られるとは限りません。
問題や課題となる行動を指摘する段階でも、その後の打ち手についても、もしかしたら部下の理解や能力が不足しているかもしれません。
いわゆる無茶ぶりは部下を苦しめるだけで成果にはなかなか結び付きません。
部下の成長のステージに合わせた、努力の範疇で達成可能なフィードバックを返すことが重要です。
実際の行動に繋がるように意識する
時間を取って、しっかりと面談しているのに部下が行動できないといったケースは良くあります。この場合は、フィードバックの内容が具体的であるか、明確であるかを確認しましょう。
抽象的で具体性を欠いた指導だけでは、アクションを起こせなかったり勘違いをしたりしてしまいます。やる気になっているもののどうしていいか分からない場合もあります。
行動レベルにまで落とし込んだ、具体的で明確なフィードバックを返すことが重要です。また、フィードバックを受けた部下の理解度もチェックしておくことが望ましいです。
責めるのが目的ではない点に注意
フィードバックは、あくまで過去の事実や経験を参考に次の打ち手を考えるのが目的です。
部下を責めたり問い詰めたりするだけの内容となってしまっては、部下がやる気を無くしてしまったり、落ち込んでしまったりするだけで終わってしまいます。
やる気や能力が無い部下に悩まされることもあるかもしれませんが、フィードバック本来の目的を見失わないようにしましょう。
実際のフィードバックの事例
ここでは、実際のフィードバックのモデルケースを、いくつかのパターン別にご紹介します。
セオリー通りのフィードバック事例
事実確認
◆上司「先日のA社へ納品遅延が発生しましたね?」
◇部下「はい」
◆上司「納品が遅れた原因は何ですか?」
◇部下「在庫不足により期日通りの納品ができませんでした」
◆上司「なぜ、当日になるまで在庫が不足していることに気付かなかったのでしょうか?」
◇部下「在庫の定期チェックを怠ったためです。」
◆上司「業務上定めた在庫チェックのルーティンを怠ったということですね?」
◇部下「はい」
コンセンサス
◆上司「在庫チェックをルール通りに行うことができない理由はありますか?」
◇部下「業務が多岐にわたり失念してしまいました」
◆上司「リソース不足ということはありませんか?」
◇部下「リソースは足りています。いろいろな仕事をしているうちにうっかり失念してしまいました。」
◆上司「では忘れないための工夫があれば今後は大丈夫ですね?」
◇部下「はい、大丈夫です。」
具体的改善策
◆上司「スケジュール管理はどのようにしていますか?」
◇部下「グループウェアに書き込んで毎日チェックしています。」
◆上司「在庫チェック等のルーティンは記載していますか?」
◇部下「以前は習慣化していましたし、業務の範囲も狭かったので記載しておりません。」
◆上司「顧客に大きな迷惑がかかる可能性のあるルーティンは、すべて記載してみましょうか?」
◇部下「かしこまりました。それなら今後のミスはありません。」
◆上司「次回フィードバックまではこちらの案でやってみましょう。お疲れ様でした。」
ポジティブフィードバックの事例
事実確認
◆ディレクター「先日クライアント様からクレームをいただきました。」
◇デザイナー「はい。制作したサイトの意図が読めておらず、クオリティが悪かったとのことです。」
◆ディレクター「真摯に謝罪して、即座に修正納品した点は評価できます。印象も落とさずに今後も発注いただけるとのことでした。」
◇デザイナー「ミスをしてしまったので必死でリカバーしました。」
コンセンサス
◆ディレクター「なぜクレームが起こってはいけないのでしょうか?」
◇デザイナー「信用を失ってしまうからです。」
◆ディレクター「信用を失うとどうなってしまいますか?」
◇デザイナー「発注が来なくなったり、失客に繋がってしまうからです。」
◆ディレクター「その通りです。できればクレームが来ないことが理想的です。」
改善策
◆ディレクター「今回の件に関して、クレームが起こってしまった原因はわかりますか?」
◇デザイナー「これまでの先入観で進めてしまい、発注意図の確認が不足していました。」
◆ディレクター「クレームを減らす為に出来ることはありますか?」
◇デザイナー「慣れた作業だとしても、気を緩めずにヒアリングや確認をしっかり行うことです。」
◆ディレクター「良く気づくことができましたね。慣れはクレームやミスを生むこともあります。具体的にできそうなことはありますか?」
◇デザイナー「制作に入る前のフローをよく見直して、ルール化してみようと思います。」
◆ディレクター「ではそのアイディアで取り組んでみましょう。せっかくなのでチームでシェアしてみましょう。」
ネガティブフィードバックの事例
事実確認
◆上司「営業成績が低下していますよね?」
◇部下「はい。」
◆上司「君には期待していただけに残念に思っています。」
◇部下「来月こそは目標達成します。」
◆上司「具体的に何か戦略はありますか?」
◇部下「これまで以上に努力します。」
コンセンサス
◆上司「漠然としています。具体的に何かを変えないと何も変わらないのでは?」
◇部下「…トップセールスのAさんにアドバイスを頂こうと考えています。」
改善策
◆上司「Aさんに話を聞くだけですか?」
◇部下「行動に移せるように行動計画を作成します。」
◆上司「自己満足で終わりませんか?」
◇部下「Aさんに見てもらって、修正を加えたものを実行に移します。」
◆上司「よろしい。楽しみにしています。頑張ってください。」
フィードバックについて学びたい方におすすめの書籍
フィードバックを実践に活かすためには正しい方法論を知る必要があります。
フィードバックについて正しい方法論を学びたい方は体系的に学べる書籍を読むといいでしょう。
この本ではどのような手順でフィードバックを行えばいいかはもちろん、具体的な会話例や図解が論理的に記載されているため初心者から上級者まで学びやすい一冊となっています。
まずはこの本を一読し、さらに深く知りたい場合は他の書籍も読みつつ実践に役立てていくと良いでしょう。
まとめ
今回は、ビジネスシーンにおけるフィードバックの基本的な概要について紹介しました。
ぜひ、社内のコミュニケーションや人事評価、プロダクト開発などに取り入れてより良い結果を出せるように業務プロセスの改善に役立てていきましょう。
似た言葉でフィードフォワードという手法についても解説しているので、合わせてご覧ください。
監修してくれた方
田上 敏光
キラメックス株式会社 ビジネス事業部 人材系企業で採用支援・人材育成事業・toB向けクラウドサービス事業に従事。 その後、「弁護士ドットコム株式会社」にて新規事業の企画立案・運用に携わる。 現在は、キラメックス株式会社にてプログラミング教育を通して「個の選択肢、可能性を広げること」「新たなキャリアに伴走すること」をミッションとし法人向けに「IT人材採用支援」および「IT研修」を担当している。 |

内容分かりやすくて良かったです!

田島君も、今日から実践して組織づくりに役立てましょう!

分かりました。ありがとうございます!
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