内省とは?意味・メリット・人材育成の方法を解説【人事対象】
内省力の育成方法・メリットや注意点など、会社という組織を開発する「人事」だからこそ知っておくべき、ビジネスにおける内省について徹底解説しています!特にこれから人事になる方や人事初心者は必見です。
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企業を支えてくれる優秀な人材の育成は、企業と人事部にとって避けることのできない最重要課題です。
人材育成にはいろいろな方法がありますが、最終的に目指すべきは、社員に「自分で自分を育成できる人材」になってもらうことだと思います。
今回は、自己成長を大きく促す習慣のひとつとして注目されている「内省」についてご紹介をします。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT研修での実績をもとに紹介しています。
目次
内省とは
内省とは、実際に起こった自分の考えや行動について、振り返って省みることを言います。
似たような言葉に、自分の考えや行動について観察する、内観というのもあります。
内省の本来の意味
内省とは、実際に起こった出来事について、自分の行動・言動・思考を深く省みることです。
自己を客観的に分析して、反省的思考を行うことを言います。
ビジネスシーンにおける内省とは
ビジネスにおける内省とは、主に業務上の内容について振り返りを行い、自己の行動や思考を深く見つめなおして、ビジネスの次のステージや自己の成長に繋げることを言います。
自分で自分を省みることができる人には成功者が多く、優秀なビジネスパーソンを形成する資質のひとつとして、内省は多くの企業で注目されています。
内省と反省の違い
内省の類義語として反省がありますが、両者では意味が違います。
反省は、間違いがなかったか過去を振り返り、間違いがあれば正すこと、繰り返さないことを言います。
過去を振り返る点は内省と同じですが、間違っているかどうかにフォーカスしているのが特徴です。
一方内省は、自分を客観的に見つめなおすことが主な目的で、必ずしも誤りを認めて正すものではありません。
あくまで自己観察が目的であり、後悔や自責ではなく、じっくりと自分と向き合うために行います。内省の結果として反省に繋がることもあります。
内省によって得られるメリット
内省を習慣化している方や、本来の性格が内省的である方には、成功者が多い傾向にあります。これは内省には大きなメリットがあるからにほかなりません。
ここでは、内省によって得られるメリットについて解説します。
成長や改善の機会の創出
普段の実務に追われていると、自分の行動や言動を振り返ることはなかなかありません。例え好ましくない行動があったとしても、第三者が指摘しないと改善に結びつき難いです。
しかし、内省が習慣化していると、過去の自分の経験から様々な気づきを得て、自己成長や業務改善に自発的に繋げることができます。
内省の習慣がある方は、良くも悪くもルーティン化してしまいがちな日々の行動や言動を、自ら変える機会を創り出すことができます。
自己教育ができる優秀な人材の誕生
内省に取り組むことが習慣化するということは、自分で自分を教育することができる貴重な人材が誕生するということです。
これは本人にとっても企業経営にとっても大きなメリットがあります。
好ましくないことは変えてゆくことができるため、業務上のミスやトラブルが減少しますし、社内風土が良くなることも期待できます。結果として会社組織の強化に繋げて行くことができます。
人材育成の一環として、人事部がリソースを割いてでも取り組む価値は十分にあります。
人間的成長も期待できる
内省が習慣化すると、メンタル面や人格面の形成にも役立つため、人間的な成長も期待できます。
内省によって得られた日々の小さな改善も、積み重なると大きな効果を得ることができます。内省の習慣がない方と比べると、大きな差となるでしょう。
普段の仕事に対しても、キャリア形成上も、ひいては自分自身の人生においても、後悔の少ない前向きな人生へと繋げて行くことができます。
内省を行う上での注意点
内省はとても良い習慣なのですが、実施するにあたってはいくつかの注意点があります。
完璧を求めすぎない
内省は行き過ぎると、自分にどんどん厳しくなってしまい、柔軟性を失って完璧主義のようになってしまいがちです。
完璧を求めるあまりに身動きが取れなくなったり、一人で抱え込んでしまったりしては、内省が逆効果となってしまいます。
このような場合は、完璧を求めずに第三者意見も取り入れたりして、少し緩く取り組んでみると良いでしょう。
反省会になっていないか
内省を行った後、ネガティブな気分になったり、できなかったことを後悔したりして終わりではありません。
内省は事実をありのままに省みて、前向きな行動やメンタルの在り方へと繋げるために行います。
内省の結果、反省へと繋がることはありますが、本来の目的を見失わないようにしましょう。
狭い視野で完結していないか
不慣れなうちは、内省を行っても狭い視野の中で物事を考えたりしてしまいがちです。
経験と引き出しの少なさが原因ですので、他者の内省の事例を参考にしたり、上司や先輩のサポートを受けたりしながら内省を行ってみると良いでしょう。
内省の具体的な実施方法
内省の具体的な実施方法について解説します。
すべてを同時に行おうとすると混乱してしまう場合がありますので、各ステップを1つずつじっくりと取り組むことがコツです。
1. 事実を振り返る
内省のファーストステップは、ありのままの事実を振り返ることからはじまります。
最初から詳細な振り返りを行うのは難しいため、まずは起こった出来事のみを振り返る事からはじめます。
慣れてきたら周囲の環境や他者も含めて振り返ります。最終的に自己も含めて振り返ることができることを目指します。
より良い振り返りをするためには、どのような質問を行うかが重要です。慣れないうちはテンプレートを使うのも効果的です。
どこまで質の高い振り返りができるかによって、内省の質や結果も違ってきます。冷静かつ客観的に事実を振り返ることができるようにトレーニングしましょう。
2. 深く見つめなおす
振り返った内容について深く見つめなおして、自分が感じたことや考えたことや気付いたことをまとめます。
中立的な立場で、俯瞰的に自己分析を行うのがポイントです。このプロセスでの思考の深さが、次のステップの結果を左右します。
3. 具体的な行動を起こすためのプランを作成する
内省によって得られたことは、今後に活かすことが重要です。実際に行動に移せるように、具体的なプランを作成します。
行動を起こしたら、その結果に対して再び内省を行います。このプロセスを繰り返していきます。
内省は1人で行うのが基本ですが、ペアやグループで実施することも効果的です。普段と違う質問を問いかけることで、新たな視点から内省を行うことができます。
質問者は、内省を行うメンバーが建設的な振り返りに繋がる問いかけを意識することがポイントです。
内省力を育成する方法
内省が人材育成においてもメリットがあることはわかりました。しかし「今日からやってみましょう」では誰もやり方が分かりませんし、成果も期待できません。
この章では、内省力を育成する具体的な方法についてご紹介します。
社員が1人で内省できるように、プロセスをフレームワーク化する
上質な内省の時間を過ごすためには、「どういった質問を自分に問いかけるか」が重要です。
人事部でまずは典型的な質問リストを作成して、社員が内省を行いやすい環境を整えることが重要です。
慣れてくれば自分でリストを追加したり、自分なりのやり方を見つけたりできるようになるでしょう。
人事部がサポートをする
内省を行ったものの、自分自身ではどうにもならない課題に直面することもあります。
いくら内省しても毎回同じ課題に直面するようなら、内省すること自体が自分の無力さを増大するプロセスになりかねません。
気軽に相談できる窓口になることで、より社員は自発的に内省を行い、自己成長のきっかけを見つけてくれることが期待できます。
グループワークを実施する
内省は深く自分を見つめなおすきっかけを得るために、静かに自分1人で行うのが一般的です。
しかし、思考が閉塞化したり自分1人のアイディアで完結したりしてしまっては、成長の幅も狭くなってしまうでしょう。
人事部が主催してワークショップや対話式ワークを実施したりすることで、他の社員の内省を参考にしたり、1人では思いつかなかった意見を聞けたり、情報を共有したりすることができます。
社員が内省に慣れてきたら、グループワークも実施してみることをオススメします。
まとめ
いかがでしたか。内省の概要からメリット・注意点、ノウハウまでをご紹介してきました。
企業を支える人材が自己成長の習慣を身につけてくれることは心強いことこの上ないですよね。
しかし、それは待っているだけでは組織変化が起こることはありません。
是非あなたの企業の社員も自己成長できるよう、まずはあなた自身が、楽しく自発的に「内省」を実施してくれる環境づくりに取り組んでみて下さい。
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