優秀な人材が辞めていく3つの原因とその解決策【IT企業人事向け】

「せっかく優秀な人材を採用したのにすぐに辞めてしまった…」そのような企業に足りないものとは何なのでしょうか?どうすれば同じ過ちを繰り返さないで済むのか、本記事で詳しく解説しています。

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優秀な人材とはどのような人材でしょう。

優秀とは比較であり、どういった場で語られるかで大きくその定義は変わります。

ここでは以下のように定義します。

【組織において、利益と発展をもたらす人材】

採用することで自らの組織に利益をもたらすと同時に、組織のより大きな成長と発展を促す人材。

そういった人材こそが、組織における【優秀な人材】と言えるでしょう。

こういった人材はどこにでもいるわけではありません。

組織のビジネスにおける要石となる優秀な人材が辞める場合、その痛手は中々に大きいものです。

しかし一方で、【優秀な人材ほど退職する】なんて話が聞こえるほど、そういった事態は世の中に多く存在します。

実際、優秀な人材には転職しても大いに活躍し得るスキルや素質が備わっていますから、一般的な人材と比べ、転職することのハードルは低いと言えるでしょう。

 

また、それ以外にも優秀な人材のモチベーションを下げ、退職に至らせてしまう要素は多く存在します。

今回はこういった優秀な人材が辞めてしまう理由と、その解決策について紹介します。

 

なお本記事は、TechAcademyキャリアの実績をもとに紹介しています。

 

目次

 

優秀な人材が辞めていく3つの理由

1.決定権がない

決定権がないことは、優秀な人材が辞めていく理由のうちの大きな要因です。

ここで言う【決定】について掘り下げるとすれば、これはつまり【裁量】と言い換えることができるでしょう。

プロジェクトにおける意思決定が固定化された一部の上の人間のみに委ねられている場合、多くの優秀の人材は、そのプロジェクトに対してのモチベーションを下げてしまいがちです。

【自分ならこうする、ああする】といった主張や意思決定のできない仕事は、働き手から【自らより良い仕事をしようと動く意思】を奪います。

そういった主体性を失った仕事は、大抵の場合作業的で、面白みに欠ける仕事となりがちです。

特に優秀な人材であればあるほど、こういった仕事に対するつまらなさは強く実感することでしょう。

【他の誰にでも出来る仕事】を【他の誰かには持ち合わせていないスキルをもった人材】にやらせるのは危険です。

自分以外の誰かに任せればいい、という気持ちになり、【もうこの仕事を辞めてもいい】と思わせるきっかけになるからです。

IT業界に限った話をするとしても、自社開発系企業であれ、受託開発/常駐系企業であれ、上層部のみがその決定権を全て抱え込む傾向にある会社は、こういった理由による優れた人材の流出が起きる可能性が十分にあります。

逆に、【自分にはこのプロジェクトにおいてこんな大切な役割があるのだ】という責任感は、プロジェクトに対するやる気と所属意識を高めます

優秀な人材がいなくならない組織を目指すのであれば、【決定権(裁量)の有無】は気にかけるべきポイントでしょう。

2.評価が曖昧

【曖昧な評価】もまた、優秀な人材を喪う要因の1つです。

しかもこれは、優秀な人材のみならず、働く社員全てが組織に単する不信感を強めます。

経営層の信条としては公正な意思で評価していようとも、外から見えない基準では【この組織はなにをもって評価をしているんだ】と不信感をもたれてしまいます。

そして、不信感は広まりやすく、組織の一員のモチベーションの低下や、それをきっかけとしたモラルや責任感、使命感の崩壊を引き起こします。

優秀な仕事ぶりだったはずの人材が、ある日を境に毎朝遅刻するようになったり、低いレベルの成果ばかりを出すようになるといった事態が複数のメンバーで同時に発生した場合【組織に対する何かしらの不信感】がメンバー間に芽生えつつあることを疑った方がよろしいでしょう。

【評価が曖昧】であることは組織への不信感を強める最も大きな要因のひとつであり、ひいてはそれが、優秀な人材を失う原因にもなることを、組織は常に意識するべきであると言えるでしょう。

3.チャレンジをしない

チャレンジを阻害する環境は、優秀な人材のモチベーションを低下させます。

チャレンジをしない、つまり保守的であることがなぜモチベーションの低下に繋がるのか。

それは大概の組織において、業務は一定水準で停滞し、大きな発展を望めなくなるからです。

そのため、現状に変化を与える挑戦は、人のモチベーションを刺激し、挑戦は人の能力をも伸ばします

一方で挑戦できない環境は、【仕事の作業化】と【技術の伸び悩み】をもたらします。

エンジニアという【技術を資本に稼ぐ仕事】において【その仕事をしてもあまり技術が伸びない】ということはあまりにも大きなデメリットです。

開発者としての今後を考えたとき、出来る限りそういった【技術の伸びしろのない仕事】を避けることが、エンジニアとしてのより良いキャリア形成につながるのはどんな事業形態であれ同様のことです。

チャレンジのできない保守的な傾向は優秀なエンジニアを失う大きな要因の1つであると言えるでしょう。

 

解決策

1.適切な決裁権と責任を与える

決裁権と責任は、前述の通り、そこで働く人間のやる気に大きく関わります。

優秀な人材を失わないためにはどんな決裁権と、どこまでの責任を与えればよいのでしょうか?

これらは、大きければ大きいほど良いというものでもありません。

あまりにも大きすぎる決裁権は、例えその人材が優秀であっても手に負えないものですし、また重すぎる責任は、その重圧によりやらなければならない義務となり下がり、モチベーションの低下を招きます。

ただし、適度な決裁権は、【人による】としか答えることができないものです。

大切なのは、組織やチームがお客様に貢献するためにどのような存在であり、どんなコストを掛けるべきか、何に対して責を置くべきか共通の認識を持つことです。

事業に貢献する会話がなされていると、どこまでやるのが適切なのか、自分で判断することができるようになります。

そして、自分で判断した経験は決裁権を与えた際に、適切な決断と責任が発生します。

そして、メンバーの決裁権や責任について画一化せず、今そのメンバーがどのような立ち位置かを見極めることも大切です。

個々の成長に合わせたスケールアップ、スケールダウンを出来るような仕組みづくりを意識しましょう。

そして、柔軟な組織づくりが、組織の人材力をあげることに繋がるでしょう。

2.評価方法の見直しを行い適切な処遇を提供する

評価にはいくつかの方法が存在しますが、まずは基準の公開が必要です。

どういった振る舞いが評価されるのか、それについての情報が公開されていることは、メンバーの日々の仕事に対するモチベーション向上に繋がります

また、その基準に基づいた適切な処遇は、優秀な人材の流出を防ぎます

逆に、例え評価基準が公開されていたとしても、処遇が不適切であると感じられるような場合には、メンバー間に不和と不信感が発生します。

これは誰もが知っていることのようでいて、多くの組織が失敗しがちなことです。

というのも、これは昇進や報酬を上げる場合には、あまり問題ないのです。

優れた成果を出した人間には、より大きな報酬を与えたくなるのが実際のところでしょう。

問題は、過去に優れた成果を出して昇進した人材が、昇進後にあまり成果を出せなくなった場合です。

このようなとき、ばっさりと給与を削減できる組織はそう多くはないでしょう。

しかし、これが長年積み重なることで、多くの古い日本企業に見られる【成果に紐づいていない報酬をもらっている人がいる】という事態を生み出してしまうのです。

心苦しいことではありますが、人材の評価に際してはいわゆる【人情】的なものには左右されず、公正な処遇を決断することが大切となります。

また、評価方法そのものについても、そういった際に出来る限り人情が混じりこまないようなものにすることが大切です。

人が個人の気持ちや感情で評価を左右しないで済むような評価方法の見直しが大切であると言えるでしょう。

3.経営者を巻き込んで社風を見直す

社風は【明確な形のあるもの】ではありません。

どういったことが許容され、どういったことが善いとされるか、どういったビジネスを目指し、どういった将来像を描くか。

そういったことについての、明文化されていない【組織の文化】が社風として、そこで働くメンバーが日々呼吸する空気のようなものになるのです。

苦手な空気を吸うのは息苦しいものですし、逆に好きな空気は日々の仕事をリラックスさせます。

リラックスできる職場環境はその人のより良い集中を生み出しますし、長年にわたってこの組織で働いていこうと気持ちにも繋がります。

職場は一週間のうち長い時間過ごすものですので、毎日使う椅子や机、手帳やペン(あるいはエンジニアとしては普段使いのマウスやキーボード)と同様に、自身に馴染んだ社風の組織で働きたいと思うものです。

そのため、自身に合わない社風であると感じたら、いくら待遇が良くてもその人材が辞めてしまう可能性はありますし、逆に、あまり素晴らしいと言えるほどの待遇ではない場合であっても、社風が合うということから組織に尽くしてくれる人材もいるものです。

それほど社風というものは人材を繋ぎとめる力に関わるものであると認識しましょう。

当然優秀な人材の流出防止にあたっても、これは重要視されるべきものと言えるでしょう。

しかし、こういった社風を見直そうとなると個人の力では限界があります。

もし自社の社風が多くのメンバーにとってあまり善いとは言い難いモノである場合、早急に経営者に相談することが必要となるでしょう。

経営者に事の重要性を理解してもらい、社風改善のために経営者の協力も取り付けた上で、社内文化を醸成させていくことが大切です。

即効性のあるものではありませんが、社風は組織の人材の質と方向性を決める大きな要素の1つです。

優秀な人材を失わないためにも、組織としてより善いと感じられる社風を目指すことが大切となるでしょう。

 

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