被災地の小学生向けにプログラミング教室を開始したNPO法人CANVASの想いとは【インタビュー】

【インタビュー記事】プログラミングのワークショップを石巻や仙台の小学生向けに行なっているNPO法人があります。この取り組みを始めたNPO法人CANVASになぜこのような取り組みをはじめられたのかインタビューしてきました。

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プログラミングのワークショップを石巻や仙台の小学生向けに行なっているNPO法人があります。

そんな取り組みを始めたNPO法人CANVASになぜこのような取り組みをはじめられたのかインタビューしてきました。

NPO法人CANVASは11月30日から小学生を対象としたプログラミングワークショップin東北を開催し、2012年は5回にわたって開催しています。この活動にはGoogleも後援していて、資金面の援助や一部のオフィスを使った動画も公開しています。

(写真提供:CANVAS)

 

プログラミングワークショップin東北とは

プログラミングワークショップ子どもたちがクリエイティブ活動に参加できるような環境づくりを目標にしたNPO法人CANVASが開催しているワークショップ型のプログラミング教室です。

CANVASではもともと数多くのワークショップを開催しており、以前からプログラミングのようなデジタルの領域のワークショップも開催していました。

そして2012年11月からは東日本大震災の被災地である東北でこのようなワークショップをはじめています。開催場所は、石巻市、亘理郡、仙台市、多賀城市で2012年は開催していました。

 

ワークショップは子ども向けのプログラミング言語であるScratch(スクラッチ)を使って「防災」をテーマとしたオリジナルゲームを作る内容になっています。

 

ワークショップの様子はYouTubeにもアップされています。

 

プログラミング教室のインタビュー

ここからはインタビューをお届けします。

 

お話を伺った人

熊井晃史熊井晃史氏(NPO法人CANVASディレクター)

こども向けワークショップや各種キッズイベントの企画・プロデュース、デジタルコンテンツ・教材開発など様々なプロジェクトを通じてこどもたちが自ら創造し表現する環境づくりを行っている。
2009年より慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科研究員を兼務。
ワークショップデザイナー育成プログラム講師(青山学院大学・大阪大学)。

 

–プログラミングを教えるワークショップを開催したきっかけを教えてください

 

CANVASでは、もともとこどものクリエイティビティをキーワードに、造形・映像・音楽・サイエンス・身体表現など、さまざまなテーマのワークショップを展開していますが、そのなかでもデジタル時代におけるこどもたちの教育については、2002年の設立以来、重要なテーマとしてとらえています。

コンピュータやインターネットは、安心・安全に活用するうえで、もちろん気をつけなければいけないこと、身に着けなければいけないルールやマナーもたくさんあるかと思いますが、きちんとつかっていくことで、こどもたちの可能性を育む素晴らしい道具にもなります。

ですから、こどもたちとデジタルがより良い出会い方をしてくことは非常に重要です。デジタルのメリットの1つに、表現の敷居をさげることがあると思います。そして、表現したものを世界中に発信することができます。

プログラミングを通じて、いつも遊んでいるゲームを今度は自分でつくるという体験は、こどもたちがデジタルの良い面に触れるだけでなく、自分で考えアイディアを形にしていく本質的な力を身に着けていくことにつながるのではないでしょうか。そのようなおもいからプログラミングワークショップを展開しています。

 

 

–今回のワークショップはなぜ東日本大震災の被災地である東北で開催することになったのでしょうか?

 

当初は全国でワークショップを実施していく予定でしたが、つながりのある東北の被災地の大人の方々から、地域の人材を育成していくことがひいては被災地の復興につながっていくので、ぜひ被災地で重点的に開催してほしい、というご意見をいただき、実施エリアを絞りました。

ただし、単発的なイベントとして終わってしまわないように、地域のプログラマーの方や教育系の団体、教育委員会等と連携したり、ワークショップのパッケージングをおこなったりして、このような試みが地域に根付き、継続的な教育環境の実現につながっていくような進め方ができるように注意しました。

夏から開催を続けて、これまでトータルで約560名のこどもたちが参加してくれました。

プログラミングワークショップ

プログラミングワークショップの様子(写真提供:CANVAS)

 

–どのような場所でワークショップを開催しているのでしょうか?またどんな人が講師をしているのでしょうか?

 

地域の小学校や公民館や文化センター、ショッピングセンターなど、さまざまなな所で開催しています。学校では授業の一環として受け入れていただいて、先生方ととものワークショップを進めました。

講師は、Scratch(スクラッチ)を普及されている第一人者でありCANVASのフェローでもある阿部和広さんにサポートをいただき、CANVASのメンバーを中心に、地域の教育関係者・プログラマーの方、ボランティア・学生の方など、さまざまな方が指導にあたっています。

 

 

–後援になっているGoogleはどんなことをしてくれているのでしょうか?

 

資金的な援助もさることながら、プロジェクトの進め方のアドバイスから、人材や機材等のリソースの提供など、さまざまな支援をいただいています。

YouTubeにも動画をアップしていますが、Googleのプログラマーの方々からこどもたちへのビデオメッセージもいただきました。野球が好きなこどもがプロ野球選手に出会うことが大きな出来事であるのと同様に、プロのプログラマーとこどもたちが触れ合うことも同じように重要です。

 

 

–参加した子どもの反応はいかがでしょうか?

熊井氏プログラミングというと難しい印象をもたれることが多いのですが、こどもたちは目を輝かせながら自分だけのゲームづくりにチャレンジしています。

最初はおそるおそるの参加ながらも、次第に「キャラクターをこうしたい!」「音楽をつけたい!」「ゲームオーバーを工夫したい!」「スコアをつけたい!」等、自分で工夫したいという気持ちがわいてくるようです。

誰かからやらされるのではなく、自分たちのやりたいという気持ちから創意工夫が生まれていく様子に、学校では担任の先生方からも驚かれることがありました。いつもの授業もこんなふうにしてくれればいいのに、と。

また、自分で工夫すると他の友達の工夫したポイントがわかるようで、よく参加者のこどもたち同士で遊びあってコメントしあっている様子もほほえましいものがあります。

ゲームにづくりにかかわらず、こどもたちにはさまざまなことにチャレンジしてもらいたいと考えてますが、そのための1つの成功体験になればと願っています。

 

 

–保護者や学校の反応はいかがでしょうか?

 

こどもだけでなく、大人の方からもよい反応をいただいています。

ワークショップの撤収も保護者の方々が手伝ってくださったりと、お客さんというよりはともに場をつくっていく支援者として参加してくださる方が多く非常にありがたく感じています。

たとえば、地域の文化センターを舞台に開催していた夏のワークショップに参加してくださったこどもの保護者の方が、ワークショップの内容に感動されて、「是非うちの学校にきてほしい」ということで、校長先生やPTAと交渉し招いてくださったことが1回ではなく、複数ありました。

学校の先生方からは、「こどもたちのこのような笑顔を久しぶりに見た」といったことをきき、胸をあつくするとともに、気を引き締める思いでした。

 

 

–今後の展開はどのようになるのでしょうか?

 

今回の実施エリアを中心として、さまざまな地域でプログラミングワークショップが自律的に継続され、展開されていくことが最終的な目標です。そのために、地域の実践者の方々との協働・支援体制の拡充や、ワークショップのパッケージングにも力をいれていく予定です。

それらの成果はすべて公式サイトで公開をしていく予定ですので、全国のさまざまな関係団体と協力もしながら、活動を深めてそして広げていきたいと考えています。関心のある方にはぜひご連絡いただきたいですね。

 

 

インタビューは以上です。

 

実際に子どもや先生のアンケートも拝見したのですが、とても満足した様子がアンケート用紙にびっしりと書かれていました。今後の展開にも期待したいと思います!

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