コンピュータ教育をキーパーソンが語る!「なぜプログラミングが必要なのか?」イベントレポート(その1)

シンポジウム「なぜプログラミングが必要なのか?」のセッション【教育とコンピュータ】を紹介するイベントレポートです。子ども向けのプログラミングを含めた教育をどのように進めていくべきなのかが登壇者から語られました。

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先日、12月2日にシンポジウム「なぜプログラミングが必要なのか?」が開催されました。

TechAcademyも協力企業として参加しています。

 

そこで、2回に分けてイベントレポートをお届けします。

今回は、「教育とコンピュータ」のセッションをお届けします。最近なにかと話題の子どものプログラミングや情報教育について語らたセッションとなりました。

 

イベントレポートのその2として、ホットププログラマーズトークのセッションも記事として公開しています。
 
 

セッションの登壇者

本セッションでは教育に関わる方々が登壇されて行われました。

モデレーターは松村太郎氏がつとめています。

  • 筧捷彦氏(早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部/研究科 情報理工学専攻 教授)
  • 石戸奈々子氏(NPO法人CANVAS理事長)
  • 鈴木 久氏(株式会社ベネッセコーポレーション デジタル戦略推進部UX開発セクション)
  • 瀧田佐登子氏(一般社団法人Mozilla Japan代表理事)
  • 松村太郎氏(ジャーナリスト)

 

石戸氏のNPO法人CANVASでは、プログラミングのワークショップを開催しており、最近ではGoogleとの連携も始まっています。

また、瀧田氏のMozilla Japanでは、リアルなバスを走らせてさまざまな実験を行うプロジェクト「Mozilla Bus」などの活動をしています。

セッションではそれぞれの立場にそった内容で答えていました。

 

 

 

セッションの内容

ここからはセッションの内容をお届けします。

モデレーターから登壇者に質問する形で進められました。

 

 

――プログラミングの前に情報教育の環境はどうなっているのでしょうか?

 

(筧氏):学習指導要領では、高校の情報の授業で学ぶことになっていますが、現実は多くの高校では大学の試験科目に入っていないので二の次になりがちです。

また、中学校の技術家庭科で「プログラムによる計測・制御」が入っていますが、たまたま能力の高い先生にあたれば正しく学べますが、現実はそうなっていないようです。

その状態で大学に入った生徒を見ると、能力に大きな差があります。できる人は非常によくできますが、使いこなせていない学生もたくさんいます。

 

 

――NPO法人CANVASでは、子供たちに多くの体験をしてもらうかが大切だと思いますが、どのようにアプローチしているのでしょうか?

 

(石戸氏)ワークショップコレクションというイベントを開いたり、子供向けのプログラムをパッケージ化して全国の学童、保育園、児童館に提供したりしています。各地域で自律分散的に活動ができるように地域でのコミュニティ作りに取り組んできました。

 

そんな活動をする中で、学びの場に変化が現れているのではないかと感じています。

以前にMITの教授が、「150年前の外科医を現代の手術室に連れてきても全く役に立たないだろう。それくらい医療は進歩を遂げた。しかし、150年前の教員を現代の教壇に立たせても、ほぼ同じように授業ができるのではないだろうか。そのくらい、学びの場は変わってこなかった。」と言っていました。

 

確かに日本でも、江戸時代に寺小屋というシステムがあり、明治時代になり西洋の教育システムとして一斉教育というものがスタートされて、それから約150年経ちましたがほとんど変わってきませんでした。そうこうしている間に、家庭はテレビもデジタルになり、高校生も9割近くが携帯電話を持つようになり、仕事はパソコンなしでは成立しなくなりました。

 

ただ、学びの場だけが情報化から取り残されていますよね。

昔は学校というものは、1番初めにテレビが入る場所だったり、ピアノが入る場所だったりと最先端の場所だったのに、いつのまにかそうではなくなってしまっています。

 

それは非常に問題なのですが、テクノロジーが学びを変えようとしてくれているのもまた事実かなと思います。

2010年の政権交代に伴い、1人1台情報端末としてデジタル教科書を持って子供たちが学習する環境を整えましょうというのが政府目標として出されました。

この話はデバイスを配りましょうということではなくて、「暗記記憶型から思考想像表現型の学びへ」「先生の一方的な授業伝達ではなく教え学び合い」という学びの変化だと思うのです。

なので、意志を持って学びの場を変えるという努力を大人がみんなでし始めなきゃいけない時期にきているのではないかと思います。

プログラミングワークショップ

石戸氏が理事長をつとめるNPO法人CANVASのプログラミングワークショップ

 

 

――(コンピュータ教育では)どんどん子供の方が先へ進んで学んでいくという環境ができているのでしょうか?

 

(瀧田氏)そうですね、私の息子が今中学校2年生で、技術の授業でエクセルをやっています。

子供たちはデジタルネイティブと呼ばれる世代なので、どんどん先に行ってるわけなんですね。コンピュータも簡単に先生以上に使いこなしてしまいます。

そんなことになっていても、やはり先生はやらなくてはいけないことが指導要領で決まっていて、その枠から外れないというスタイルが日本の教育スタイルとしてあります。

 

じゃあ、この教育スタイルにプログラミングを入れたときにどうなるかを考えると、なかなか難しいと思います。

 

現場も、国立、私立、公立と環境や先生方の格差もあるだろうし、時間的な余裕というところの部分もかなり違います。現場がわからなくて、カリキュラムだけができて、じゃあやりましょうではうまくいきません。

将来的にどういう子供を育てたいのか、何に繋がっていくのか、子供たちがこれを学んでどうなるのかという先が見えない以上、 子供たちもときめかないでしょう。教えている先生が楽しいと思って教えてくれるのと「とにかくいいから覚えろ」という形で教えられるのでは違うと思います。

 

 

――教育では評価する仕組みを作っていくのかが課題になっていくかと思うのですがいかがですか?

 

(鈴木氏)まだ学校では(コンピュータは)教科という形にはなっていません。これが教科になってしまうと、受験の科目になってテストで選抜するための学習になってしまいます。

そうなると、実際に使っていく、社会で自立して生きていくために必要な感覚や知識とはかけ離れてしまうのかなと思います。

 

学習というカリキュラムの中で「これをいつまでに習得しなさい」というものではなくて、自分から学んでいく「習得から探求へ」が必要なのではないでしょうか。

 

例えば、スマホのコンテンツやアプリケーションを使う側ではなく、自分が作って他人に見せてみる。見た人が感動し、その感動がさらに自分の感動へとつながっていき、さらにこんなことがやってみたいということを必然的に学ばないといけません。

 

ただ、機会や場がないとなかなか一人では難しいです。

一緒に経験していく場があると、実践的に自ら学んでいくことができるので、そういう場をもっと作りたいなと思います。

 

 

――子どもたちはプログラミングなど、コンピュータに触れるとどういう反応をするのでしょうか?

 

石戸氏)インターネットを初めて子供たちが触れた時、能動的なメディアといってもけっこう受動的に使っていることが多いと思います。

ただ、それは可能性を知らないだけで、実はこんなものが作れるんだとか、自分のアイディアを世界中の人たちに知ってもらえることができるとか、他人と何かを一緒に作ることができるんだということを一度知ると、子供たちは世界が急に広がるんです。

 

特に、共同で何かをするというのはネットの優れたところだと思うのですが、一人で何かをやらなきゃいけないとなると、自分の力で何ができるかという発想になりますが、コラボレーションを前提にすると、何がしたいかということを前提に考えて、必要なメンバーを集めて、どういう知識を集めていけばいいかというふうに発想を変えていくことができるのかなと思います。

なので、まずはそういう世界を子供たちに体験してもらえたらと思っていつも取り組んでいます。

 
 

セッションの内容は以上です。

 

子どもたちがどんどん学んでいく一方で、現場の教育現場では課題が多いことがよくわかりました。また、子どもが自ら学んでいく場が必要なことも語られていました。

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