ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)CTO野口啓之が影響を受けた、エンジニア界の巨匠とは

「いつもおだやかでほがらか、声をかけやすいエンジニア。」全日本ピアノ指導者協会CTO野口啓之の”影響を受けた人”に迫る。

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テックアカデミーマガジン編集部

本企画では、業界トップの現役エンジニアの”影響を受けた人”にフォーカス。

CTOはどんな時、どんな場所で、どんな人に成長を支えられたのか。エンジニアを目指している人は必見です!

目次

音楽の社会的意義の立証に、システム開発で貢献

――まずはピティナ(全日本ピアノ指導者協会)ついて教えてください。

ピアノの指導者を中心とした音楽教育のための協会で、60年近くの歴史があります。不要不急といわれてしまう音楽が、いかに社会に必要かを立証することが私たちの最大のミッションの一つと考えています。そのためには、ピアノを習い成長した子どもが社会で活躍しているさまを証明する必要があります。具体的な活動としては、毎年夏に世界最大規模のピアノコンクール(ピティナ・ピアノコンペティション)を開催。また、ステージ経験を積み舞台度胸をつけてもらうための発表会(ピアノ・ステップ)の開催も毎週おこなっています。

それから、先生と生徒をマッチングさせる教室紹介サービスもあります。ピアノを習いはじめるときには、指導者との出会いがとても重要ですから。もちろん先生にもより指導力を磨いていただきたいので、ピアノ指導者向けのセミナーやeラーニングを展開したり、ライセンスといった資格試験も実施しています。

さらに、アカデミックなバックグラウンドを持った方の解説つきでピアノ曲や作曲家についてまとめた『ピアノ曲事典』を無料で提供。ピアノ音楽教育を広めるためにありとあらゆる事業をやっています。

 

――野口様はCTO職として、どのような役割を担っているのですか。

多彩な活動の展開には、Webサイトやアプリが必須になります。全国各地にコンクールを開催する事務スタッフがおり、バックヤードで日々作業をしてもらうための社内システムを内製で手がけています。30名と少人数の本部に対し、システム開発担当は5名ほど。そのインフラやWeb制作、システム全般を管理したり、メンバーの採用・育成まで何でもするのがCTOとしての私の役割です。先日のコンクールでは、同時視聴者が8,000名にもなったYouTube配信の運営を私がメインで行ったりもしましたね。

 

外から教育の現場を変えたかった

――これまでの経歴について教えてください。

大学では西洋史学専攻で、18世紀ドイツの思想家ヨハン・ゴットフリート/ヘルダーを研究し、そのまま大学院まで修了しました。教育に興味があり教職課程もとりましたが、教育実習のとき、先生という立場から教育現場を変えることの難しさを実感したんです。内側からではなく外側の視点から、学校教育に何らか影響を与えうるほかの教育業界に携わりたいと考え、全日本ピアノ指導者協会に入ることにしました。

ただ最初はシステム担当ではなく事務職だったので、年間で1,500箱ものダンボールを組み立てて発送する一方で、一日に電話60本対応するような仕事をしたりしていて。社会人になり最初に身についたのはダンボールの速組み立てのスキルでしたね。事務システムとしては『Claris FileMaker』をベースに内製されていました。これはエンジニアじゃなくてもプログラミングのようなことができる、いわゆるノーコードやローコードの走りのようなものです。先輩が作っているのを見よう見まねでいじっていたところ「君はそういうのが得意そうだね」「前任のCTOが産休に入り誰もいなくなるから引き継いでやってみない?」という話をいただきまして。

しかしちょうど2011年の3月、東日本大震災が起きたために前任からの引継ぎがほとんどできなくなり、いきなり放り込まれるといった事態になりました。

なので基本的には、誰から教わることもなく、ほぼ独学で書籍やカンファレンスから学んできました。途中から頼もしいチームメンバーも増やせましたが、その頃にはすっかり先輩側になっていたので、独学路線は変わらずです。こちらの読者として想定される若い方の場合は、勉強の場が整っていて、しっかりとしたカリキュラムやレールがあって恵まれているものだなと思います。10年前はまだフロント/バックエンドといった切り分けも今と比べれば不十分な時代でしたし、情報共有のためのサイトも少なかったです。。エンジニアになるための情報も環境も圧倒的に不足していました。同年代以上のエンジニアとして先輩でいらっしゃる方々は、けっこう根性で勉強してきた人が多いかなと思います。

 

――未経験からのスタートでしたら、苦労したこともあったかと思います。

ずっと「自分でいいんだろうか」というモヤモヤがありました。エンジニアってコンピュータサイエンスを勉強した人がなるものだと考えていましたし、学生のとき内定をもらったソフトウェア系の企業も自分はエンジニア向きではないだろうなと辞退していたくらいなので。そんな経緯があって教育系総合職に進んだのに、なんで結局エンジニアをやっているんだろうという気持ちはずっとあります。ちょっとした失敗に対しても、「エンジニアとして専門的なキャリアを積んで周囲にもコネクションがあれば、もっとうまくいくはずなのでは」と気落ちするようなこともたびたびありましたね。

 

――そういったとき、どうやって乗り越えたんですか。

もともとあまのじゃくで負けん気が強いので、困難な状況ほど根性がわいてくるんです。2000年前後で高校生から大学生のときにパソコンを自作していた世代でもありますから、社内の機器調達などは楽しくて、些細な楽しみを見つけながら情シスとインフラとエンジニアを兼ねたような業務をこなしてきたんです。楽しさといえば、自分が作り出したシステムに対してユーザーから感謝されるのもうれしかったですね。キャリアの途中までは、その喜びと根性で、なんとか気持ちをつないできたように思います。

 

――ご自身のエンジニアとしてのキャリアを築く上で影響を受けた人はいますか。

プログラミングの根幹は、スティーブ・マコネルさんの『CODE COMPLETE』から学んだものが大きいです。技術的な面において、特定個人はそこまで思い浮かばない中で、日本人では和田卓人さん。長いことひとりで開発をしていてテストコードの重要性を認識していなかった私に大きな気づきをいただけました。一般にもその大切さを広めた方ですね。

そして私がもっとも影響を受けたのが、及川卓也さんですね。マネジメントの回し方や心構えの概念すら知らなかった当時の自分に学びをくださいました。彼の講演やWeb記事にふれるたび、感銘を受けるとともに新たな気付きも得られ、今なお自分の成長や変化を発見することが多くあります。実はプロジェクトのチームビルディングを意識し始めて回すようになって少しした頃、たまたま講演でお会いして話をさせていただく機会があったんです。ピアノの団体で面白いことやっているねと言ってくださって、勇気づけられもしました。

及川さんはとにかく「胆力が大切」との信念をお持ちの方。すべてをコントロールしようとせず、思うように動かない人やものごとに腹を立ててはいけないという考え方です。そのとおり、いつもおだやかでほがらか、声をかけやすいエンジニア。及川さんがひっぱりだこなのも、温かい人柄のおかげでしょうね。私が目指したいのもそんな存在でしたから、チームがうまくいかないときはいつも及川さんの顔を思い出しては、穏やかにいこうと自分に言い聞かせています。

 

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100の言葉より1のアクション、行動力が大事

――市場価値の高いエンジニア像とはどのようなものだと思われますか。

一般的なIT企業や事業会社でいうと、高い学習意欲があり自発的に動ける人です。変化の速い業界なので、常に自身も進化する熱意がないとつらいと思います。会社から言われたことに対して「自分はこれしかやらないです」と線を引いてしまう人を、人事担当者は採用しづらいでしょう。やったことがないことに対しても必要以上に恐怖せずワクワクできる、好奇心のある人の方が喜ばれると思います。

よほどの天才エンジニアでもなければ、システム開発はとにかく連携プレイなので、チーム思考も大切です。チームの中で自分が何を求められているのか、チームマネージャーが何を求めてきているかを、チーム内の立場問わずで俯瞰的に把握できるほうがよいと思います。たとえば「コードは美しい方がよい」という命題について考えた時、エンジニアとしての美学以外の観点を持つ必要があります。経営者目線で考えるとコードの美しさそのものは重要ではありません。保守運用する中で、修正に迫られた際、コードが美しい方がすぐに対応できるという効果が得られるからこそ価値があるんです。こうしたことを一例に、経営層とエンジニアではそこの認識にギャップが生じている場面が多々あるため、ビジネスサイドの意識合わせもできる人材は重宝されます。自分のコードがどれだけのビジネスインパクトを持っているかを認識し、自分の言葉で論理的に語れるようになるといいですね。その練習として、テックブログやSNSでの発信によるアウトプットはおすすめです。時には採用において評価されやすく、日々の業務においてもきっと役に立ちますよ。

 

――これからエンジニアになる人に望むことは何ですか。

好きという気持ちだけでエンジニアになりたい、と思う方は趣味でとどめておいた方が良いのではないでしょうか。趣味で書くコードと仕事で書くコードは違いますから、お金をいただく以上はビジネスにとって価値がなくてはいけません。自身にとって望まないような妥協もしなくてはならないことがあるものです。その意味をしっかり考えた上で転職するのがいいと思います。たとえば営業職や企画職であれば、会社の利益や売上、自分の給料など、コストとベネフィットまで総合的に考えるものですよね。今後ますます、エンジニアもそういった思考と無縁ではいられなくなると思います。

 

 

――最後に、エンジニアを目指す人へメッセージをお願いします。

ほかの職種と比べると勉強量が非常に多いので、勉強することが楽しく最新トレンドを追いかけることが苦痛じゃないかというのが大事になってきます。エンジニアである限り学び続けなくてはいけない覚悟はしたほうがいいです。

好きと仕事は別ものだと話しましたが、仕事として選ぶ前に、まずはひとつ何か好きなものを作ってみると良いのではないでしょうか。手塩をかけて作ったものを世の中に公開したけれど、全然使ってもらえなかったり酷評されたり。逆に絶賛されたり。ひととおり経験してみて、それでも仕事として味わっていきたいと思えるならエンジニアに向いていると思います。「100の言葉より1のアクション」が私のモットー。一人では自律的になかなか動けないという場合、スクールなども恐れずに入ってみて、自分を追い込むのも大切かもしれませんね。

 

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