テックアカデミーの「PHP/Laravelコース」を受講した工藤さんに、エンジニアになろうと思った理由や受講後の働き方、今プログラミングを学ぶ意義について、キラメックス代表取締役社長の樋口が話を伺いました。(※記事に記載している内容は2023年7月時点の情報です。)

1分でわかる記事要約

総合職からエンジニアに転身した理由:エンジニアとして活躍することが、将来起業をする上で一番の近道であると考えたため。
テックアカデミーを受講した感想:独学で一度挫折した経験があったが、メンターがいることで効率良くエンジニアになるために必要な力が身についた。カリキュラム通りにただ進めるだけでなく、最終的なアウトプットを意識しながら取り組むことができた。
エンジニアの仕事の魅力:自分が書いたコードや作ったサービス、システムが世の中に広がり、誰かの役に立つことができること。

話してくれた人

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工藤 亮太さん(33)
大学院卒業後、新入社員として大手IT企業に入社。入社と同時に「技術的にわからない内容がある時はエンジニアの方に同行してもらう」という先輩社員からの話を聞き、自分で理解できていたら周りと差を付けられるのでは?と考え、テックアカデミーの「PHP/Laravelコース」でプログラミングを学び始める。その後、社内異動でソフトウェアエンジニアになり大規模システム開発に携わった後にAI事業部にてTechLead(エンジニアチームのリーダー)として事業成長を牽引する。
その後退職し、ベンチャー企業3社でCTOや技術顧問を担当。受託開発の事業部立ち上げや自社プロダクト開発を行った後にMikoSea株式会社を創業。

大学時代にプログラミングを勉強するも挫折

ーー工藤さんご自身について教えてください。

熊本県出身で、最終学歴は九州大学です。
大学院卒業後、新入社員として大手IT企業の総合職として入社し、入社と同時にテックアカデミーの「PHP/Laravelコース」を8週間受講しました。
テックアカデミーを受講後はJavaなど他のプログラミング言語について学び、配属前の研修期間だったこともあり、人事部エンジニア職に異動したいことを伝え、社内試験を突破して社内異動で総合職からエンジニアに転身しました。
その後ソフトウェアエンジニアとして大規模システム開発に携わり、現場経験を積んでからはAI事業部でTechLeadとして事業成長を牽引しました。
その後大手IT企業を退職し、フリーランスとしてベンチャー企業3社でCTOや技術顧問を担当し、受託開発の事業部立ち上げや自社プロダクト開発を経て、2022年にMikoSea株式会社を創業しました。

ーー大学ではどのようなことを学ばれていましたか。

感性工学といって工学的な手法であいまいなものを明らかにしていくもので、研究対象としてはおしぼりの研究を最初にしていました。最終的には、まちづくりの方にシフトしたのですが、人の感じる最高のおしぼりの温度は何度であるかとか、抽象的な事象をデータ分析で明らかにするために、その時はコードが書けなかったのでIBM社が製造・販売している統計解析ソフトウェアのSPSSというソフトを使っていました。

ーーはじめてプログラミングを学んだのはいつですか。

大学生の時です。恥ずかしい話ですが、ちょうどiPhone4がソフトバンクから発売したりと、スティーブ・ジョブズブームがあったタイミングで、憧れてプログラミングをやろうと思ってC言語などの書籍を購入し、取り組んだことがありました。ただ挫折してしまって。
書籍の通りに進めても面白くないし、何でシステムが動いているか、動かないのかがよく分からないんですよ。何をやっているかも分からないまま、ただひたすら清書をしているイメージです。
そのためプログラミングの知識は入門レベルの状態で就職活動を開始しました。大学生の頃から、企業で経験を積んだ後にITの分野で起業したいと思っていたことから、IT業界大手の企業に入社しました。

再度プログラミングを学習し総合職からエンジニアになることを決意。

ーーテックアカデミーを受講された当時は総合職として働いていらっしゃったと思います。いつからエンジニアになることを意識し始めましたか。

テックアカデミーを受講開始してからですね。受講した初日に、エンジニアになることを決意しました。
ちょうどテックアカデミーを受講したタイミングではフリーランスのエンジニアも今ほど多くなく、海外のエンジニアの給料が高くなっているというニュースが増えていたりとエンジニアにはたくさんの可能性があるなと。
また日本で起業するというよりも、シリコンバレーで起業したいという気持ちが強かったのですが、海外だと言語や文化が日本と異なることから、まず共通言語の多いエンジニアとして活躍することが一番の近道だと考えました。

ーー受講されていかがでしたか。

受講してよかったです。受講していなかったらエンジニアにはなれていなかったと思うので、人生を変えたと言っても過言ではないと思います。
特にカリキュラム内容とメンター制度がよかったです。カリキュラムの冒頭に「Laravelなどのフレームワークを使ってWebアプリケーションを作る」といった導入があり、そこから学習に入るので、自分が作りたいものやアイデアを考えながら取り組むことができました
またメンターの方からのフィードバックなども適切で的確でした。テックアカデミーの場合、例えばプログラムにミスがあった時になぜシステムが動かないのかといった原因や、わからないことを人から教えてもらうことができます。独学で挫折した経験があるからこそ、誰かにわからないことを聞くことができるありがたみを感じました。あと何かが完成した時や理解が深まった時、メンターと一緒に達成感を味わうことができました。

ーーそうおっしゃっていただき嬉しいです。テックアカデミー受講後について教えてください。

テックアカデミーを受講していた当時、会社の方針で総合職の新入社員の中からごく少数だけエンジニアになれるタイミングがあったんです。これは絶好のチャンスだなと思い、Javaなど他のプログラミング言語の学習も開始しました。その結果、運よく選ばれることができ、入社1年目で総合職からソフトウェアエンジニアに異動することになりました。
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エンジニアとしての力をつけTechLead、ベンチャー企業のCTO・技術顧問として活躍

ーーエンジニアになってからはいかがでしたか。

エンジニアに配属されて最初の3年間はかなりの時間と精力を費やしました。あの時期は新入社員300名の中で一番努力していたと言っても過言ではありません。
ソフトウェアエンジニアとして大規模システム開発に携わっていたのですが、オフィス近辺に住んでいたこともあり、時間を忘れるくらい仕事に熱中していました。休みの日にパソコンを開かなかった日は1日もありません。

社内のテクノロジー部門の社員たちが開催しているテックイベントがあるのですが、これまでの努力が認められてこのイベントのWebサブディレクター、Web周りを全部見るという役目を1年目で任されました
テクノロジー領域で、国内外の著名テック企業のエンジニアやリーダーをお招きし、様々な講演が行われるイベントなのですが、肩書きがついていたこともあって、社内の人脈を部署関係なく広く作ることができたのは大きかったです。
未経験からエンジニアになったこともあり、エンジニア職として採用されていた同期や一つ上の先輩とは技術力も知識量に差があったので、行動力でカバーできるところは行動力でカバーしました。

ーーそのような経験が、TechLeadにも繋がったのですね。

そうですね。そもそも、人前に出ることも好きだったので活動を社内外でアピールしている内に、本来であれば異動できないようなAI事業部から声をかけていただき異動することができました。
TechLeadはエンジニアのチームやプロジェクトなどの現場単位で、リーダーとして他のエンジニアをリードしていく役割になるのですが、良い経験になりました。
プログラミングを学び、エンジニアとしての経験を積み、TechLeadとして事業を率いる経験ができたこと全てが今に繋がっています。

ーー総合職からエンジニアへ転身、エンジニアの中でもTechLeadとして活躍されるキャリアはとても理想的ですね。

おそらく、一般の人からすると理想のキャリアステップなのではないかと思います。
また起業する際に特に感じたのですが、エンジニアは資金がなくなってきたら受託開発で稼ぐという必殺技があるので、そのような意味でもエンジニアは相当強いなと改めて思いました。稼ごうと思えばいつでも稼げると考えていたため、起業にチャレンジする余裕がありました。プログラミングができたことによって人生が変わりました。

ーープログラミングによって将来の選択肢を多く持てたということですよね。退職せず、企業で活躍されるという選択肢もあったと思います。多くの選択肢がある中で、自分の人生をきちんと選択できる側に回られていらっしゃるように感じます。

ありがとうございます。大手企業は長くいればいるほど給料が上がることが多いのですが、それを打ち切ってでも新しいことを始めることはかなりハードルが高いと思います。ただ私は、自分の能力では大手企業にいるよりも高い給料で稼げるということが明白であれば、そこに残る必要は何ひとつないと思い、起業する決心がつきました。

ーーその後起業されたMikoSea株式会社の事業について教えてください。

主に支援型NFTクラファン プラットフォーム開発・運営や、高級リゾートをNFT会員券として販売するプラットフォーム運営を行っています。
具体的には、NFTとブロックチェーンのテクノロジーを利用したクラウドファンディングマーケット「MikoSea」を通じて、プロジェクトオーナーの資金調達を容易にすると共にコミュニティ内のコラボレーションを生み出すというものです。現実世界(リアルワールド)のモノやサービスにNFTを組み合わせ、これまでのNFTでできなかった商品設計や中長期的なプロジェクトを作り出しています。

※NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)とは、ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータのこと。デジタルアートやデジタルファッション、ゲームのアイテムなど、有形・無形さまざまなものがある。
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ーーこれからチャレンジしたいことはありますか。

まずNFTクラウドファンディングという分野を定着させたいと考えています。
今、新しくチャレンジしているものがMikoSeaリゾートというもので、一年に一泊無料でリゾートに泊まれるというものを考えています。そのNFTを活用して関係人口と関係事業を増やしていくという成功事例を出していきたいなと思っています。

MikoSeaリゾートでは、地方の魅力を活かし、人々がその場所に訪れ、体験することで新たな関係を築き、豊かな人生を実現することを目指しています。
魅力的なリゾート施設を目的地とし、その場所を訪れるある種のインフラとしてMikoSeaリゾートを定義付け個々のニーズやライフスタイルに合わせた所有体験を目指します。
忙しいビジネスパーソンや家族旅行を楽しむ方々にとっても、自由な時間の使い方や旅行計画の柔軟性が求められています。MikoSeaリゾートは、これらのニーズに応えるための理想的な選択肢だと確信しております。
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また起業家として、自分のプロダクトを通じて世界にインパクトを与えていきたいです。僕は今はまだ起業家として名前が通ってないので、日本を代表する起業家になれるように、このMikoSeaというプロダクトで日本の地域活性化に貢献したいと思っています。

ーー地域との連携がプロダクトとして強くなっていくわけですね。

はい。個人や地域のプロジェクトという感じです。クラウドファンディングという業界に目をつけたのも、夢がある人がファンを作って一緒に達成していくというサイクルが僕は面白いなと思いました。このサービスが好きでこの人たちを応援しているという枠組みで、熱狂的なファンが千人いるとすると新しい経済圏が成り立ちます。つまり今までのように広告に頼ったりとか、AIで最適化された世界ではないものが日本の中では出てきているんです。

私はここにNFTを使うことによってより新しいサブスク以外の二次流通というところの枠組みで色々なサービスが出てくるだろうなと思い、MikoSeaを展開しています。なので私たちのサービスはものを返すのではなくて、NFTを販売してそれを持っている人たちとファンコミュニティのような形で一緒に活動してその人を応援するというものになります。
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生成AIが出てきてもエンジニアの仕事はなくならない

ーー未経験の方がプログラミング学習されることについてはどう思われますか?

大半の方が独学から始めると思うのですが、メンターなしで自走で全部できるような人はほんの一握りだと思うんです。私はメンターについてもらうことで効率良く短期間でエンジニアとして必要な力が身につくと考えています。
仕事が終わって疲れて家に帰って、Netflixを見たりYouTubeを見たりする時間を学習時間に充てるので、メンターがついても簡単なことではないですが、逆にそれをやるからこそ人と違う世界が見れるようになると思います。
実際に、これまで未経験の友人や知人の紹介で話をして欲しいという相談にいくつものってきましたが、いつも紹介するのはテックアカデミーの「PHP/Laravelコース」です(笑)

ーーお薦めいただきありがとうございます!ここ数ヶ月でChatGPTの普及が加速していますが、今エンジニアになることに対してどのようにお考えですか?

よくAIが出てきたことでエンジニアの仕事がなくなるのではないか?という話がありますよね。
ただエンジニアに仕事を依頼するというのはその先に人がいるからで、全く顔が見えない人やAIに月100万円の仕事をお願いするということは到底ないと思います。私がフリーランスのときもクライアントの人と顔を合わせて、「私は御社のプロダクトをこういう風に一緒にやっていきたいんです」と直接お話して仕事を請けるケースが多かったので、信頼があっての仕事だと思います。ChatGPTでコードを生成できるからAIに依頼するというよりも、その人と仕事ができるからといった人間力がまだまだ重要なのではないかと考えます。

業務効率化や何らかの課題解決のためにエンジニアがシステムを作ることが多いと思うのですが、根本的な課題解決のためにはユーザーや現場からヒアリングをする技術も大事になってくると思います。つまり結局は人とのコミュニケーションの中でアウトプットを出していくという作業になるので、ChatGPTで全てのエンジニアの仕事は成り代わらないと思うんです。

一方で、ChatGPTが登場したことによって更にプログラミングは勉強しやすくなりましたね。ChatGPTにアニメーションの実装のコードを吐き出してもらうといったレベルの使い方は現実的にありえると思います。

ーー最後にこれからエンジニアを目指そうか考えている方にメッセージをお願いいたします。

経営者が終わったらエンジニアをまたやりたいと思えるくらい、エンジニアの仕事はとても面白いです。特に自分が書いたコードや作ったサービス、システムが世の中に貢献し、「誰かのためになっている」と実感できたとき、大きな達成感を感じます。身の回りの何でもいいんですよ。例えば雨の中で車が呼べないとか。サービスが思いついたら雨に濡れる人の数が減るわけで。そういった誰かを助けるというのがコードを書くことによってできるようになる。ボランティアでもそうですね。例えば土砂災害のときにスコップで土砂をはけさせられる量って人間だと限りがありますよね。コードを書くことでそれが世界に波及する可能性がある。ムーブメント化する数でいうと、自分がひとつのスコップで掘った時よりも大きい仕組みを世の中に広げるチャンスがあるという点は、エンジニアの仕事の魅力です。
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