オンラインブートキャンプを受講された長嶋 昭衡さんにお話を伺いました。誰でも簡単に投稿できる電子工作共有サイトを開発されました。
プロフィール:長嶋昭衡
千葉県成田市に在住。誰でもハードウェアが作れる世の中にしたいという思いからWebアプリケーションコース(Ruby on Rails)を8週間受講し、Webサービス「KAIRO」を開発。DemoDayでグランプリを受賞。
サービス開発に専念するためにフリーになった
――まず簡単に自己紹介をお願いできますか?
長嶋昭衡と申します。仕事は全くやっていないんです。フリーですね。
――普段は何をされていらっしゃるんですか?
今は、プログラミングをずっとやっていてサービス開発に注力しています。
――今の生活になったのはいつ頃からなんですか?
今年(2016年)の1月からですね。12月までは仕事をしたんですが、辞めてプログラミングだけにしようと思いました。他のことは一切やっていないです。
――ちなみに12月までは、どういったお仕事をされていたんですか?
JAで働いていました。プログラミングとは全く関係ないですね。
――JAにいた時からプログラミング自体は、勉強していたんですか?
簡単なものぐらいは独学でやったことがあったんですよ。Flashがまだ盛んだった時です。
――仕事を辞めてまでもプログラミングに振り切るって勇気のいる決断だと思うんですが、何か背中を押すようなきっかけはあったんですか?
やっぱり作りたいものがあったのが大きかったです。どうしても何かやりながらだと無理だろうと感じていて、辞めるしかないなと思い決断しました。
――プログラミング自体に興味を持ったきっかけってありますか?
僕は美術大学に通っていて、電子工作などでアート表現することをやっていました。その頃にプログラミングを初めてやったのですが、面白いなと感じていました。
――一番最初に作ったものってどんなものだったんですか?
最初はひどかったですよ。かいわれの種を遠隔操作でバラまくっていうのを作りましたね(笑)。
――それから一度プログラミングから離れたわけですよね。どうしてまたプログラミングをやろうと思ったんですか?
仕事はプログラミングと関係ない仕事をしていたんですが、ずっと何か作りたいなと思っていたんですよね。何か作ろうとした時に本とかネットで探すんですけど、全然情報が出てこないんですよ。「10年経ってもまだこういう状況なんだ」と思い、自分でWEBサービスを作ろうと考え始めました。
「誰でも作れる」を実現したい
――今回作られたサービスについて簡単に紹介してもらえますか?
今回作ったのは、電子工作において作り方を共有するKAIROというサービスです。
KAIRO from ink3638442 on Vimeo.
――今回KAIROを作られた背景を教えてもらえますか?
きっかけは、まず電子工作の情報が凄く少なかったという課題意識があったからです。本は少し情報が古かったり、インターネットも個々がホームページでそれぞれ発信していたので、探すのも大変でした。最近は、IoTの記事がたくさん出てきたのですが、LEDを点滅させるだけの内容が多くて、コンテンツ的には物足りない状況でした。そこで、クックパッドみたいにもっと情報が溢れるようなサイトを作ろうと思いました。
――IoT版のクックパッドみたいな感じですか?
IoTも含めて、ハードウェアを作る全般においてのクックパッドですね。作り方に関する情報があまりにも少ないので、それをみんなで記事として共有するサービスです。あとは、ただ作り方を公開してもそれ通りに作れる人は少ないと感じていたので、再現性を高める方法も考えていました。「誰でも作れるようになる」というのがテーマでもありますね。
――具体的にKAIROの使い方について教えてください!
作りたいものを検索したり、自分で作った電子工作を公開したりします。KAIROでは記事の共有がスムーズにできるようになっていて、他の人の記事を自分の記事として取り込むことができるようになっています。様々な記事を参考にしながら、自分の記事を改良していき、誰にでもわかるレベルまで記事の質を上げるのが目的です。
――ちなみに今回作っていただいたサービスは、どれぐらいの期間で開発したんですか?
始めたのは1月半ばからだったので、3か月ぐらいかかりました。
――今回開発されたKAIROの今後の構想はありますか?
まずは、大学の工学部にいる学生やロボットを作っている人達に向けて使ってもらいたいと思っています。そこで検証して「あれが欲しい、これが欲しい、これいらない」などを聞いてから一般にリリースしたいなと思っています。
――今後このサービスを世に出してからの目標などはありますか?
当面の目標は、日本で一番使ってもらえるようなサービスにしたいと思っているんですよね。「電子工作やるっていったらKAIRO」ってすぐなるような。少しでも面白い世の中になってほしいと思っています。みんなが自由に作れる時代が来るようになったらと考えるとワクワクしますね。
――今後は、このサービスでの起業も視野に入れていたりしますか?
起業という形になるか自分でも分かりませんが、とにかく世に出してみたいとは思っています。
作ったものを人に見せることが大事
――サービスを作る上でTechAcademyのオンラインブートキャンプを選んで理由って何かありますか?
短期間で習得できるっていうメッセージがあったのと、あとはDemoDayがあったからです。どうしても作ったものを発表してフィードバックをもらいたいと思って選びました。
――今回のブートキャンプを終えられて、今後「もっとここを勉強してみたい」というところがあれば教えてください。
サービスの企画面やUI/UXを勉強したいですね。例えば、プロトタイプは作ったはいいけどその後どうしたらいいのかなって作っていて感じていました。今は自分が作りたいものをただ作ってしまったっていう状態なんですよね。でも、これを世の中に出そうって思ったら使ってもらう人がどう考えて、どういったものを欲しがっているのかとか、そういったことを客観的に分析してサービスに落とし込めるようになりたいです。
分からないところは飛ばすことが大事
――これからプログラミングを学習したいという人に向けて、どういう風に学習したらいいかアドバイスをいただけますか?
プログラミングって最初は分からなくてもコツコツやれば意外に作れるっていうのはありますね。自分にとっては大したものでなくても良いからとりあえず作ってみて、そこからどんどん付け足していくって形が一番良いと思います。小さくても良いからとにかく作ってみる、そして続けることが大事だと思います。
――モチベーションの管理で何か工夫していたところとかありましたか?
分からなかったら潔く諦めていましたね。後で誰かに聞くと「なんだ、そんな簡単なことか」って。なので分からなくても分からないなりにやり続けてみるということでしょうか。その時はよく分からなくても勉強を進めていけば過去に分からなかったものが分かるようになることって多くありましたね。
(インタビュアー:小嶋大貴)