普段はエンジニアとして働きながら新しいスキルを習得するためにオンラインブートキャンプに参加する方もいます。インフラエンジニアとして活躍されている牧野浩司さんはRuby on Railsを使ったWebサービスを開発して、サービスの発表会であるDemoDayで第1回目のグランプリを受賞されました。受講の経緯やサービス開発のきっかけなどを伺いました。
プロフィール:牧野 浩司
1973年生まれ。東京都在住。フリーランスのインフラエンジニアとして大手通信会社に在籍中。
インフラエンジニアからWebサービスの開発へ
――現在のお仕事について教えてください。
牧野浩司氏: フリーランスでネットワーク系のインフラエンジニアをしています。例えば、大手通信会社で社内ネットワークを整えることなどです。内容としてはハードウェアを設定してその上にサーバーを設置したり、ユーザーとサーバーをつなぐネットワークをつなぐための装置を設定したりしています。
――もともとインフラエンジニアだったのですね。今回受講されるに至った動機を教えてください。
牧野浩司氏: 最近、知り合いのフルスタックエンジニアの方と仕事をする機会を得ました。自分はインフラエンジニアでネットワークの部分はわかるけどアプリケーションの部分はまったくわからなかったんです。ハードウェアからサーバーといった抽象レベルのことから、もう少し上のレイヤーの部分もわかるようになれたらいいなと思い受講を決めました。
――それまではハードウェアやサーバーといった基礎部分を主に扱っていらっしゃったのですね。
牧野浩司氏: 昔COBOLという言語で銀行系システムを作っていたことがあるので、プログラミングも一応学んだことはありました。ただ、COBOLは古い言語で英語表記でわかりやすい側面もあるのですが、Rubyと違ってオブジェクト志向やメソッドという考えがなく、コードが長くなってしまうんですね。Rubyは複雑な作業も簡潔に書けるのがいいので、仕事にも活かせるし学んでみる価値はあると思っていました。
グランプリ受賞の牧野さん(左)とTechAcademy代表の村田
メンターとのメンタリングがあったから独学よりも早く学べた
――実際に受講してみていかがでしたか?
牧野浩司氏: 僕は社会人で勉強できる時間も限られていたので、8週間で圧縮して学べたのが良かったです。例えばRailsチュートリアルを普通に一から学ぼうとしたら2ヶ月くらいかかると聞いたことがあって、独学だったら進むのも難しいしなかなか続かないと思うんですよね。それでも、今回は短い期間で必要なことをかなり詰め込めたのではないかと思います。特にちょうど受講が始まるタイミングでオフィスの移転があり、ネットワーク周りの設定を全部やったりして最初のうちは時間が思うように取れなかったのですが、結果的にはいいペースで進めました。
――お忙しいなか受講されていたんですね。継続できた要因などあるのでしょうか?
牧野浩司氏: そこはもうメンタリングが頼りでしたね。メンターの方が話がとてもわかる方で、わかりづらいところにもたくさん答えてもらえましたし、褒め上手だったのでモチベーションをうまくあげてくださいました。今振り返ると、メンタリングがなければくじけていたくらい、大事な時間でした。
――メンタリングのペースについてどう思いましたか?
牧野浩司氏: 1週間に2回のメンタリングと聞いて最初は少ないと思ってたんですけど、1回終わったら結構早く次の回が来るので、それまでサボってはいけないというのがいいプレッシャーになりました。他のところでは30~40万が普通というプログラミング研修もありましたが、それに比べれば格段に安いと思います。
――なるほど。メンターからはどんな話をしていましたか?
牧野浩司氏: 具体的な目標設定を提示していただきました。それに沿ってオリジナルサービスをつくる設計図を書いて見せると、さらに良くするためのポイントを教えてくれたりして励まされました。
――普段のチャットを使った質問はいかがでしたか?
牧野浩司氏: 高度な質問をされている方もいて、そこからヒントを得たり、先に課題に取り組んでいる人がいれば負けていられないと刺激を受けました。あとは、メンターが共有してくれる資料も参考にしながらCloud9、Heroku、Git、Bootstrapなど現場で実際に使えるツールをたくさん教えてもらえたのはありがたかったです。2ヶ月前まではRuby以外にもBootstrap・HTML/CSSをあまり使ったことがなく詳しいことを知りませんでしたが、そういった要素もオンラインブートキャンプでまとめて学べたのは自分でもすごい進歩ですね。チャットを通して、それぞれのスキルの勘所のようなものを現役エンジニアとして働いている方から直接聞けたというのはとても役に立ちました。
自分で使いたいサービスを作ってグランプリを受賞
――DemoDayでは見事グランプリを受賞されました。今回発表されたサービスがどんなものか教えていただけますか。
牧野浩司氏:「糖質管理ダイエット」のサービスです。食べた食事の糖質データや毎日の体重と体脂肪の記録をとって月単位や年単位のグラフとして経過を見ることができます。
――牧野さんはそんなに太っているようには見受けられませんが、なぜこのようなサービスを作ったのでしょうか?
牧野浩司氏: 見た目的にはそれほど太っていないのですが、体脂肪率が高く、それがなかなか落ちないんですよ。会社でランチに行くと付き合いでついついカツカレー大盛りなどを頼んでしまうんです。なので、食生活から改めようということで、糖質制限の管理ができるサービスがあったらいいなと思って今回作りました。これからもっと機能を充実させていきたいです。
――DemoDayでグランプリを受賞されていかがでしたか?
牧野浩司氏: びっくりしましたね。声がうわずっちゃいました。プレゼンテーションもしどろもどろで、みなさん素晴らしい作品を発表されていたので受賞と聞いて大変驚きました。
――今回身に付けたスキルは今後どのように活用していく予定でしょうか?
牧野浩司氏: 他にもいろいろアイデアを出してサービスを作っていきたいです。もちろん、今の仕事にも活かしていきます。例えば、Githubは本当に素晴らしいツールですね。受講前はいまいち使いこなせていなかったのですが、チーム開発やリポジトリなどの基礎的な使い方を知ることができたので今後も使っていきたいと思います。
――最後に、これから学習する人へメッセージをお願いします。
牧野浩司氏: プログラミングに限らずどの分野でもそうですが、能動的に自分から何かを学ぶ姿勢はとても大事だと思います。オンラインブートキャンプでは短期間でたくさんのことを学べますが、ただ人から教えてもらうだけではなく、書いたコードがどうして動かないのか、もっとうまい方法はないかなど自分でどんどん調べていくことも必要かなと思います。プログラミングは習得できれば、あとは自分のアイデアを形にしていけるので非常にクリエイティブでおもしろい世界が待っています。8週間やるだけやったとここで終わるのではなく、その後の学習も続けて欲しいです。自分もこれからなので精進していきたいですね。
(インタビュアー:上田晴香)