株式会社Branding Engineerの田原 貴一さんにお話を伺いました。エンジニア採用の現状と今後についてお聞きしています。

プロフィール:田原 貴一
株式会社Branding Engineerには中途採用で入社し、4年目になる。

もっと自分に合う優良企業と出会ってほしい

――まず簡単に自己紹介をお願いします。

田原 貴一と申します。
現在、エンジニアに特化したダイレクトリクルーティングサービス「Tech Stars」を運営する株式会社Branding Engineerで、利用者である求職中のエンジニアの方々のキャリアのご相談に乗り、アドバイスをしています。
それ以前は、新卒で入った会社でエンジニアの方々のキャリア支援をしていました。

――入社のきっかけを教えて頂けますか?

たまたま、弊社の共同代表の高原と会って話したとき、「エンジニア向けの人材サービスをやるので、ぜひ入ってほしい!」と言われたんです。
ちょうど私も、エンジニアのキャリア支援には興味があったので、入社を決めました。

――会社の事業内容を教えて頂けますか?

自己紹介で少し話した、「Tech Stars」というエンジニア向けの転職サービスを運営しています。
登録すると、企業からオファーを頂くことができ、そのオファーに返信すると、気軽に面談や面接の場に行くことができたり、いろいろな情報を取得できたりします。
エンジニアの方々の大半は、企業に対する興味があまりないため、友人の紹介で転職されます。
ですが、もっと自分に合う企業との出会いを作れればと思い、Tech Starsを運営しています。

――なぜエンジニアに特化した転職支援を始めたのでしょうか?

エンジニアは、社会的に必要とされていて、求人数はここ数年で急増しています。
でもその一方で、二次請・三次請にあたる企業の場合、給料や待遇などの労働条件が非常に悪いです。
そうした労働条件などを是正していければという想いで、Tech Starsを始めました。
従来の求人広告だと、派遣会社などが多く、良い企業が見つかりにくいです。
それに対して、Tech Starsは、完全成果報酬型であり、プロダクトやサービスを持つ企業のみが利用しているので、優良企業からオファーを頂いて転職できるサービスになっています。

未経験からエンジニアはキャリアのステップが必要

――現在の未経験エンジニアの求人状況を教えて頂けますか?

先ほど話したように、徐々に増えています。
そうとはいえ、プログラミング未経験者を採用する企業は、自社のサービスを展開する企業ではかなり少なくハードルが高いです。
逆に、スキルがあればどこにでも就職できるのが現状です。

――採用されるには、どのくらいのスキルが必要なのでしょうか?

企業や業種によって異なります。プロダクトやサービスを持つ企業は、採用レベルが高いです。自分でアプリ1つ作れる程度のスキルは最低限ですね。しかし、受託・常駐・派遣が主な企業となると、ある程度コードが書けたり、言語に触れたことがあるというレベルでも大丈夫な場合が多いので、まずは実務経験を積んでステップアップする道はあります。

――エンジニアの採用・不採用を分けるポイントなどはありますか?

スキルがまだそこまで高くない方の場合、勉強意欲やポテンシャルですね。
それに加えて、現段階で書けるコードです。最近だと、GitHubアカウントを提出することも多いので、それでどういうコードを書いているかを判断したりします。

――どのプログラミング言語に関する求人が多いのでしょうか?

現状だと、Ruby on RailsやPHPといった、Web系の言語が非常に多いです。
あとは、Android・iOSのアプリ開発に必要な言語ですね。

――実際にお会いした方の中で、未経験だったり、自分で学んでエンジニアとして入社された方は、いらっしゃいましたか?

はい、未経験の状態から自分で勉強して入社された方がいらっしゃいます。

――その方について、詳しく教えてください。

パソコンスクールの先生で、プログラミング経験は全くないという方でした。
手に職をつけられるもので、中でもエンジニアは、現在伸びているIT業界で必要とされている職業だと思い、エンジニアになることを決心したそうです。
自分で勉強しようという意識が強かったので、Ruby on Railsを使って自分で簡単なWebサービスを作ることができるレベルまでになられましたね。

これからはエンジニアを育てていくべき

――これから数年のエンジニアの求人状況はどうなっていくと予想しますか?

現在、少し景気が良いこともあり、職種に限らず全体的に求人が多い状況です。
これから景気が下がり、求人数も全体的に減るという話もあります。
IT系の中でも、例えばSIer系は、発注が減る可能性がありますね。
一方、自社でプロダクトを持っている企業は、あまり影響を受けにくいと思います。

――エンジニアの需要が増えているとのことでしたが、未経験エンジニアの需要・採用も今後増えていくのでしょうか?

そうですね。
そもそも、エンジニアがかなり不足しています。
経験のあるエンジニアは、年収が高いし、人数も少ないし、採用がとても大変です。
なので、社内で教育していく方針を掲げて採用基準を下げる企業が増えてきそうですね。

――新卒に関してですが、学生のうちにプログラミングを自分で学んでエンジニアとして就職するという方も、今後増えていくのではないでしょうか?

そうですね。
弊社も新卒の就職支援をしていますが、プログラミングができる学生さんには、非常に内定が出やすいですね。

――新卒の場合、どのような言語を学んだり、どのようなスキルがあると評価されますか?

学校では、JavaやC言語のような硬い言語で、アルゴリズムなど学術的な部分も学ぶことが多いです。
それをWeb系の言語を使って自分で形にしたことがあったり、そういう会社でインターンしたことがあると、非常に評価されます。

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大切なのは熱量と確固たる決意

――未経験からエンジニアを目指す場合、身につけるべきスキルやマインドってありますか?

やはり、未経験からエンジニアになるのは、ものすごく大変です。
自分がなぜエンジニアになりたいのか、その理由をしっかり整理できていないと、途中で挫折してしまうこともあるでしょう。
エンジニアは、しっかりしたコードが書けるようになるまで、かなりの時間を費します。
言い換えれば、しっかりとした理由がある人や本当にプログラミングが好きな人でしたら、身につけられるはずです。

――今までお会いした方々は、どういう理由でエンジニアになりたいと考えたのでしょうか?

様々ですね。
例えば、IT以外の業界で仕事をしていたけれど、やっぱりものを作る仕事がしたくて、成長しているIT業界で人々の目に触れるサービスを自分で作っていきたいと考え、エンジニアになったという方がいますね。

――優秀なエンジニアになる方は、どのような方々だと思いますか?

やはり、エンジニアのクオリティを分けるものは、プログラミングが好きかどうかだと思います。
「仕事のためにプログラミングをしなくてはいけない」と思う人と、「プログラミングが好きでその延長上に仕事がある」という人だと、スキルレベルが全然違いますね。
プログラミングやもの作りが好きな人は、仕事以外でもアプリを自分で簡単に作ったりしています。そういう人たちは、今後もスキルが伸びていくと思います。

――エンジニアを目指す方々が勉強以外にやるべきことって何かありますか?

勉強会に行くといいかもしれません。
エンジニア向けの勉強会は、とても盛んに開催されています。
そういった勉強会は、単なる勉強だけでなく懇親会もあるので、そこで他のエンジニアの方と話すことで、新しい繋がりを作ることができます。

――エンジニアを目指す中で、「本当に就職できるのだろうか?」という不安を抱える方が、非常に多いと思います。そのような方に対して、どのようなキャリアカウンセリングを行っているのでしょうか?

未経験から勉強を考えている方と面談するときは、最初はかなりハードだと伝えます。
1社目で選考基準の高いWeb系企業に行きたいと高望みするよりは、まずは派遣が多い企業の方が内定が出る可能性が高いです。
そこで3年ほど開発経験をしっかり積めば、どんどん市場価値が上がり、その次で自分が行きたかった企業に転職することができると思います。
また、しっかりとスキルが身につく企業に就職するべきだとも伝えています。
Web系の企業と派遣が多い企業だと、年収がかなり異なりますが、エンジニアは、年齢など関係なくスキルが重要視されるので、しっかりスキルが身につく企業に就職して成長すれば、どこでも活躍できる人材になるはずです。

――最後に、未経験からエンジニアになろうとしている方々に、キャリアアドバイザーとして何かアドバイスをお願いします。

まず、何でエンジニアになりたいのかというところをしっかり考えて勉強してほしいと思います。
あと、5年後には自分がどのように活躍しているのかを想像して、勉強したり1社目のステップを考えてほしいです。

(インタビュアー:村田美寿穂)