TechAcademyのiPhoneアプリコースを受講されたAkoさんのインタビュー。仕事をしながらどう勉強時間を確保していたのか、オリジナルアプリの開発はどう進めていたのかなどこれから学習する人に役立つ内容を話していただきました。

プロフィール:Ryotaro Ako
30代 千葉県在住。公認会計士。アトピーに悩む人向けのSNSアプリアトピヨを開発

育児休暇中に以前からの目的を果たすためプログラミングの勉強を開始

――最初に、現在のお仕事の内容について教えてください。

公認会計士の仕事をしています。大学院卒業後に会計士の勉強をして受かりまして、その後大手監査法人に就職し8年ほどいました。そこでは数値を見ることは多いんですが、自分で決めた数値ではなく出来上がった数値をチェックするという業務だったので、自分で数値を作る側に行きたくてベンチャー企業に入ったのが3年半前です。そこでは、財務・経理・税務や子会社管理といったところを担当しています。昨年、3人目の子どもが生まれまして、子育てに忙しくなるタイミングで思い切って育児休暇を1年3ヶ月取ったんです。その期間の間に自分の中でやりたいことをやろうと思いTechAcademyを受講しました。

――もともとプログラミングの経験はあったんですか。

実は大学や大学院は理系だったんです。卒業論文などで当時はC++やVBAというのをやったことがあったのですが、もう15年以上も前なので、ほぼゼロからのスタートですね。

――受講する前からアプリのアイデアは考えていたんですか。
元々やりたいことは明確にありました。僕自身がアレルギー体質でアトピーに悩んでいたことがあり、今国民の2人に1人がアレルギーを持っているので、そのアレルギーの分野で何かやりたいなと思っていました。その中でもアトピーというのは人目に触れるという点で精神的にも辛いものだということ、アレルギーマーチの一番はじめにあるのがアトピーで、そこから食物アレルギーなどに連鎖していくというのが最近分かってきたので、自分の中ではアトピーが一番重要性が高いのではないかという問題意識がありました。

いろいろ調べる中でアトピーの人で、ビフォーアフターの写真を並べてその間で何があったかというのを時系列で残していくというブログをやっている方がいたんです。それを見て、他の人の症状や治療法をデータベース化したら自分の体調管理にもなるし意味があるんじゃないかと思い、作り始めました。

SwiftとFirebaseを使ったアプリ作成に挑戦

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――作りたいアプリを実現するために受講をどう進めていましたか。

最初の1ヶ月はTechAcademyのカリキュラムを進めていて、1ヶ月後ぐらいにインスタグラムが作れるようになりました。そこから画像データを保存するためにストレージを学んだのですが、ここが一番時間がかかってますね。あとは最後の方でプッシュ通知を付けました。ここは技術的に難しいので、メンターの方に懇切丁寧に教えていただいて進めました。ひとつひとつ知らないことが多いので、その度にチャットとメンタリングでサポートしていただけるのがありがたかったですね。

最終的にモニター版までに3ヶ月、リリース版までに3ヶ月かかって、そしてリリース準備に1ヶ月かかりました。

――大学の頃にC++を勉強していたというお話でしたが、Swiftを学ぶ上で以前の経験が生きることがありましたか。

大学や大学院のときは卒業論文を書くという目的で、そのためにシミュレーションを回してデータを取らないといけない。今回の場合も、このアプリという明確な目的があって、それに向かっていくという過程は似ていると思いました。実装に関して言えば、当時は本しかない時代だったので、今の方が格段に作りやすかったです。

アトピーの症状・経過や対処法を共有するアプリ「アトピヨ」

――今回作成されたサービスについて、サービス名と概要についての説明をお願いします。

アトピー治療見える化アプリ「アトピヨ」です。
サービスの概要は、アトピーなどあまり人に見せたくない悩みをInstagramのように匿名で写真を投稿・共有するアプリです。
特徴としては2つありまして、1つ目は画像を投稿することによって時系列で自分の症状が分かります。もうひとつは、投稿することで人からアドバイスをもらったり、悩みを相談することです。

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――ユーザーヒアリングなどは行っていたんですか。

Twitterでアトピーの話をしている人で有名な方がいて、その方に協力していただきました。おかげで回答が集まって一定の傾向が見えるようになったり、「画像でビフォーアフターしたら良かった」という話も聞きました。

治療法についての情報交換だけでなく悩みの共有の場にも

――アプリでは、どういった投稿が多いですか。

投稿は匿名なのですが、アトピーというのは結構特殊で皮膚科学会やアレルギー学会が推奨している標準治療というものがあるんですね。これは簡単に言うと「ステロイドを効果的に使って治しましょう」というものです。その一方で脱ステロイドという手法があって、これはステロイドを使わないで治そうという考え方なんですね。大きくその2つがあります。

アトピーの人ってステロイドで治らなかった経験を持っている人も多いので、脱ステロイドで食事を変えてみたり運動をしてみるとか、色々な考え方があるんです。
食事などは今では科学的にも解明されていて、腸内細菌を整えることで免疫システムが安定してくるというのは言われているんですが、色々な治療法があるというのが目に見えて分かるのが興味深いです。

それともう一点はアトピー特有の悩み、例えば今の時期であれば暑くて汗をかいている、女性なんだけれどもスカートが履けないなどあります。そういった心情を出して、それに対して分かりますといったアトピーあるあるで盛り上がることもあります。

▼QRコードを読み込んでアプリインストールが可能
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――ユーザー側からとしては、治療法に関する情報を発信する投稿とアドバイスが欲しいという投稿ではどちらが多いですか。

両方ともありますね。今アトピーの世界で新薬が出たんですよね。デュピルマブというんですけれど、注射なんですよ。その注射が高いんですよね。なので、「それを打つときにどうすればいいですか」や「高額療養費とかそういうのをうまく使ったらうまくできますよ」など、やっぱりアトピーの世界ならではの話が多いですね。

――アトピヨのアプリを作る上で気をつけたところ、工夫した部分があったら教えてください。

治療法は症状それぞれに合ったものが色々ありますが、全員に通じるものというのは今はあんまりないんですね。なのでお互いの治療法を否定しないようにしたというのがひとつ気をつけたところになります。

技術的な部分では、画像の表示スピードとプッシュ通知にこだわっています。リアルタイムのコミュニケーションなので、画像がサクサク表示され、それにコメントが入った瞬間にプッシュ通知が飛ぶようにしています。今回であれば画像のアプリなので、通知もただ文字がくるのではなく画像もセットでというところにこだわっています。

明確な目標を持ってから学習するということ

――今後の目標などはありますか。

まず、日本でアトピーの方が600万人いるので、その10%に使ってもらいたいと思っています。そこに辿りつくためにどうすればいいのかなというのをひとつ考えると、アプリとしてUIやUX、プログラミングも含めてアプリを良くしていって継続率を高めたいです。さらに大きなことを考えると、日本だけじゃなくて海外でも色々悩んでいる方がいるはずで、一回中央アジアのキルギスの方からメッセージをもらったことがあるんですよ。もしこれが日本でうまくいくのであれば他の言語でも可能性があると思うので、多言語への対応も考えたいです。

――最後にこれからプログラミングを始めようという初心者の方に向けた勉強の方法やアドバイスなどがありましたらお願いします。

最初にやりたいことを見つけた上でプログラミングをすると習得スピードも違うのかなと思っています。自分が課題に感じたものや大好きなもの、趣味や音楽、ファッションなど何かひとつ見つけてそれをやりたいという目的があってからプログラミングを始めるとより効果的かなと思います。

(インタビュアー:小嶋大貴)