TechAcademyのiPhoneアプリコースを受講された池内さんのインタビュー。オリジナルアプリの開発はどう進めていたのかなどこれから学習する人に役立つ内容を話していただきました。

プロフィール:池内 慶
22歳 東京都在住。以前、全国高校サッカー選手権大会でテレビ放送された「大迫半端ないって!」の発言で一躍有名になった選手と同じ滝川第二高校サッカー部出身。自身も同大会に選手として出場。その後、自身でアプリ開発を行い、現在はTwitter上からグループ通話に参加できる「GA-YA-CHA」を開発中。

全国高校サッカーからITの道へ

――最初に自己紹介をお願いします。

高校まではサッカー一筋の人生だったんです。
「大迫半端ないって!」という発言で有名になった人と同じ滝川第二高校に入学し、全国高校サッカー選手権大会に選手として出場する夢も叶いました。
その後、アプリを開発し、会社を設立しています。現在は、通話アプリを開発していて、スマートスピーカーなどと連携させるものですね。僕の他にエンジニアとデザイナーがいて、サービスの企画や開発を一緒に行っています。

――サッカー選手として進路を決める人もいたと思いますが、そこからITの道に方向転換したのはどんな背景があったのですか。
全国高校サッカーには出場できたんですが、1回戦目で自分がPKを与えてしまい、負けてしまったんです。
仲間たちは慰めてくれましたが、自分自身はサッカーの神様に嫌われてるんじゃないかと思ってましたね。
大会後、進路を考える上で、もっとクリエイティブなことをしたいと考えるようになったんです。サッカーは自分の中である程度区切りがついたし、スマホを日頃から使っていたので、アプリとかゲームを自分でも作れたら面白そうだなと思い、ITの道に行きました。

――会社の方はいつ頃からスタートされていますか。

2018年の1月に起業しました。サービス自体は去年の11月に思いついたのですが、エンジニアが僕以外にも必要だったのでTwitterのDMでSFCの学生を誘い、二人で開発して7月にリリースしました。

過去の受講で音楽系のSNSアプリを制作

――TechAcademyを受講していたのはいつ頃ですか。

2016年の9月ですね。iPhoneアプリコースで、期間は8週間のコースを受講していました。

――それより以前にプログラミングの経験はありましたか。

なかったです。独学で少しやっていたのですが、少し限界を感じてやりがいもなくなったので、何か挑戦しないといけないなと思い受講を決めました。

――当時からアプリのアイデアはあったのですか。

当時は「こういうアプリを作りたい」というアイデアがあったのですが、技術がなかったのでTechAcademyを受講しながら作りました。その時は「Supersonic」という音楽系のSNSアプリを作りました。(現在は配信停止中)

音楽をジャンルではなくアーティストで分類した「Supersonic」

――Supersonicのサービスの説明をお願いします。

Supersonicは自分で音楽を投稿するアプリです。特徴として、投稿する上でのグルーピングを音楽のジャンルではなくて、アーティストにしていました。例えばビートルズというカテゴリがあって、そこにはビートルズに影響を受けたビートルズ風の曲が集まるというSNSです。他のサービスではロックやヒップホップというジャンルでの分類しかなかったので、アーティストをジャンルにすれば面白いんじゃないかと思い、開発しました。

アーティストの分類については、音楽を作っている人なら分かるという感覚があります。アーティストの人は自分の曲は誰に似ている、ビートルズ風だったりボブ・ディラン風であるという感覚を持っているんです。基本誰かの影響を受けて作っているため、それを基準にしました。人それぞれではあるんですけれど、肌感覚に近い形でアーティストを選んで投稿しているユーザーが多かったですね。

――そのアプリはどれくらいで完成したんですか。

受講中に開発を始めて、受講が終わってから3ヶ月ぐらいで完成しました。

――アイデアがあってからの受講とのことでしたが、アプリを形にするためのメンタリングやチャットサポートをどう活用していましたか。

自分のアイデアをまとめて、それを作るために何が必要かというのを聞いていました。

――初めてSwiftに触れて、特に難しかったと感じる部分はありましたか。

データベースとアプリを繋げて、データの取得や保存を行う部分が難しかったと思います。なのでそこは徹底的に聞いて進めていました。他の部分はそのままInstagramの要素を使っていたので、ある程度こんな感じだろうなと想像はできていました。開発中は混乱を避けるため他の教材とは並行せず、メンターさんのアドバイスだけを聞いていました。

――配信停止についてはどういう経緯があったんですか。

Firebaseに凄くお金がかかってしまうアプリだったんです。音楽1投稿あたりのデータベース容量が大きくて、月10万とかデータベースにかかっていました。当時大学生だったので、アルバイトの給料だけでは不十分で、資金調達するにも音楽系のアプリはあまり儲からないということで、うまくいかなくて配信停止した形になります。それが1年ほど前ですね。

Twitter上からグループ通話に参加できる「GA-YA-CHA」

――そこから次のアプリに切り替えて、今の会社に至るという感じですね。現在ベータ版でリリースしているアプリについて説明をお願いします。

Twitter上でグループ通話ができる「GA-YA-CHA」というアプリを作っています。Twitterでリンクをシェアして、それをタップしたら皆が電話に参加することができます。
UIもエンタメ系のアプリっぽく可愛くして、Twitter上にシェアし、そこからワンタップで電話に参加できるというサービスです。アプリ内でもグループ電話できるんですが、一番大きいのはTwitter上でシェアして電話ができるという点ですね。

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――このアプリを思いつくまでには、どういった背景があったのですか。

単純に寂しかったんです。高校卒業後にプログラミングの勉強をしていたんですが、それから3年ぐらいは全然友達とも会えなくて。電話するといってもLINEの電話くらいしかないんですが、LINE通話はどうしても自分からかけるというプレッシャーがあってかけにくい印象がありました。Twitter上で電話できたらそのとき暇な人が入ってきて、孤独感から抜け出せるんじゃないかと思ったのが最初のきっかけです。

――LINEにもグループ通話がありますが、それをもう少しカジュアルにした感じですね。

そうですね。もっと壁を低くして使えるようにと思っています。エンタメ性を押し出すためにUIやUXを可愛くして、OGPみたいな画像付き、色はピンクにするなどの要素を盛り込んでいます。

何か作業をしながら友達同士での雑談に

――使用されているのはどういうシチュエーションが多いですか。

基本夜ですね。空いた時間帯に、深夜まで電話するといった感じです。参加可能なのは8人までとなっていますが、それ以上だとたぶん多すぎて混乱すると思うんです。Housepartyというアメリカのアプリなど、他のグループ通話サービスもだいたい8人までになっています。

――実際に使われているのはどのぐらいの人数が多いですか。

基本3〜4人ですね。2人で会話してたところにもう1人入ってくることが多いです。

――アプリ内でアカウントを持っている人がリンクから参加できるという形ですか。

Twitterにシェアするのはアプリをダウンロードしている人だけなんですが、Twitter上からはアプリをダウンロードしていない人でも匿名アカウントで参加できます。

――開発の方はどういった形で進めていますか。

自分が考えたものに対して社内の人にどう思うか聞いて、みんなで一緒に考えて進めています。独裁ではなく民主主義といった感じですね。みんな遠いので、Slackを使ってやり取りしていて、実際に集まるのはご飯に行く時くらいです。

――TechAcademyで受講した要素の中で、アプリ開発に役立ったというものはありますか。

Firebaseの知識ですね。その仕組みを理解していたから社内のエンジニアに対して「こういうコードで実装して欲しい」という指示が出しやすかったです。今回のアプリは僕はコードを書いてないに等しいのですが、指示が出しやすくなったというのがあります。

1回目に作ったアプリのときはFirebaseで凄く苦労しましたが、今回それを仕組みを理解した上で開発したのでスムーズに進みましたね。Firebaseを勉強していなかったらデータベースを何にするかなどで凄く悩んだと思います。

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――現在のユーザーは口コミやプレス経由の方が多いですか。

そうですね。今は主にスタートアップ界隈ですね。ターゲット層は10代〜20代の女性ですが、最初は一旦リリースしてから完璧なものにしていきたいと思っていたので。65%ぐらいの状態でリリースして、問題が出てくると分かっていたので。それを突き詰めてからターゲット層にリリースしていきたいと考えています。

――ちなみに10代の女子ってTwitterをよく使っているんですか。

どちらかというとInstagramの方が多い印象ですね。なのでインスタ上にも会話の内容を投稿できるようにしたいと思っています。例えば会話の10秒だけを切り取って、それをストーリーに投稿するという仕組みを作ってTwitterに流入してもらうというのも考えています。インスタ上で電話できるようにしてもいいとは思っているのですが、ここは様子見ですね。基本的にはTwitterのユーザー層から取りに行くという形です。

作りたいものを明確に持ってから学習する

――会話の内容や雰囲気としてはどのようなイメージを想定されていますか。

おそらく、ダベりながら何かするというのが多いと思っています。例えば電話しながらテレビを見たりとか、ゲームしながら電話したりというイメージです。その関係性はたぶん親友じゃないとできないので、メインは親友同士で電話する。SNSは基本的にシェアする人よりもしない人の方が多いので、シェアしない人がする人のところに何の壁もなく会話に参加できるような仕組みを作っていけば10代20代の女性が使ってくれるアプリになるし、そうなると男性も入ってくると思っています。
今日は学校でこういうことがあったとか、沈黙が気まずくない関係で話す内容なので、特に内容はなくだらだらしゃべる感じですね。

――ターゲットである層にアプリを届けていくためにどういった施策を考えていますか。

10代〜20代に人気のYouTuberにTwitter上でシェアしてもらって、そこからアプリの使い方を覚えてもらいたいと思っています。本人と会話に参加できる7人という形で、参加するのは早いもの勝ちといった感じです。それ以外の人は聴く専門となって、その中でアプリの使い方を覚えてもらう。そこからTwitter上にシェアしてもらうというのを想像しています。

――今後作りたい機能などはありますか。

通知の部分をもう少し極めたいと思っています。例えばTwitterにシェアしたときに、誰もタイムライン見ていなかったら気付かないので、Twitterでシェアしたときにアプリ内で友達に通知を送るという実装をしていきたいと思っています。
あとは、親友同士で使うというアプリにしたいので、どうすればユーザーが電話をするハードルを下げることができるかを凄く考えています。そのためにはまず通知を極めたいと思っていますね。

――最後に初心者から実際にアプリをリリースするところまでやったという経験もふまえて、これから開発の勉強をする方に向けてアドバイスをお願いします。

まず、作りたいアプリを最初に決めたほうがいいと思います。みんなこういうアプリが欲しいとか、このアプリのこういうところが不満だからこうしたいとかというものがあると思うんですよね。僕は構想のあと最初に独学で1ヶ月ほど勉強してから、だいたい基礎がついたのでTechAcademyで作ろうという形でしたね。最初そういった無料でできるようなサービスを使って、もう少し本格的にやりたいとなったらこういったスクールを利用するのが一番いいと思います。

(インタビュアー:小嶋大貴)