Web制作の仕事をするためにテックアカデミーを受講した卒業生に、Web制作会社のエンジニアからフリーランスのフロントエンドエンジニアになるまでの経緯や、フリーランスとして仕事を得るための方法、報酬の変化、Web制作の仕事が向いている人の特徴についてお話を伺いました。(※)
今回のインタビュー記事は前編と後編に分かれていますので合わせてご覧ください。
(※)記事に記載している内容は2022年9月時点の情報です。
1分でわかる記事要約
・ Web制作会社のエンジニアからフリーランスのフロントエンドエンジニアを目指した理由 :「2年間Web制作会社で実務を経験していれば、社員として働くよりもフリーランスの方が年収が上がりやすい」と友人からアドバイスを受けたため。
・ 現在の働き方 :フリーランスのエンジニアとして、個人でフリーランスエージェント経由で仕事を紹介してもらいつつ、Web制作企業の業務委託を結び大手企業のWeb制作のプロジェクトに参画。
・ フリーランスとして仕事を得るためのコツ :日々勉強して自身のWeb制作に関するスキルを上げることはもちろん、フリーランスエージェントの営業に自身の強みを売り込む。
・ 垣内さんが考えるWeb制作の仕事が向いている人の特徴について :シングルマザー、地方在住の方
話してくれた人
垣内 晴賀さん(37歳)
和歌山県出身。趣味はダイビングとスノーボードと野球観戦。20歳でアパレル商社に入社し、ECサイト運営と海外へのアパレル買付を担当。その後、外資系保険会社で約6年、法人/個人営業を経験。入社後3年で法人営業単月全国1位を獲得。アパレル業界でECサイト構築の経験をした後、保険会社の営業に転職。息子が小学校に上がったことをきっかけに再びWeb業界に戻り、現在はフロントエンドエンジニアとして企業の大規模サイト作成を手掛ける。テックアカデミーの「Webデザインコース」と「WordPressコース」を受講。
制作会社での実務経験を経てフリーランスに
――Web制作会社のエンジニア社員から、フリーランスになるまでの経緯について教えてください。
フリーランスの友人から「 Web制作の実務を2年仕事を経験したのであれば、社員として働くよりもフリーランスの方が収入が上がりやすい 」とアドバイスを受け、Webサイト制作の企業のエンジニアを辞め、 フリーランスのフロントエンドエンジニア(※1)になることにしました 。
現在はフリーランスとしてエージェントからお仕事を受けて、お給料をいただいています。
案件によっては企業へ長期間常駐してオフラインで働くこともあるのですが、 基本的には在宅勤務をしており、企業のWebサイト制作など短期間のプロジェクトのメンバーの1人として稼働することが多い です。 プロジェクト自体は3ヶ月〜半年と幅広く、チームで進行するプロジェクトの時は、他のエージェントさんからもエンジニアが何人か入って一緒に作業を行っています 。
また、現在のエージェントさんにお世話になる前もいくつか フリーランスエージェント(※2)からお仕事を紹介していただいていました 。
※1 フロントエンドエンジニア:WebサイトやWebアプリケーションなどでユーザーが画面越しに触れる部分(フロントエンド)の設計や構築、カスタマイズを行うエンジニアのこと。
※2 フリーランスエージェント:フリーランスエンジニア向けの業務委託案件の紹介から企業との商談、条件・単価交渉、契約手続きをサポートするエージェントのこと。自分で営業せずにフリーランスの仕事や報酬を獲得できるITエンジニアやWEBデザイナーにおすすめ。
自宅でお仕事をする垣内さん
――フリーランスになってから、何件ほどお仕事を受けられましたか。
プロジェクトでいうと1年間で5件ほど になります。大手の銀行のWeb制作のお仕事は企業に常駐する案件で、毎日ではありませんが出社しないといけないという形でした。今は大手保険会社のWeb制作をおこなっており、こちらは完全リモートなので在宅で働いています。 大手の企業からのお仕事は、プロジェクトの規模も大きいためチーム制で行うことが多い ですね。 稼働期間も長期的なものから短期のものがあって、自身で選べることができ融通がきく形 です。
――エージェント経由で頻繁にお仕事の紹介をいただけるのですね。クラウドソーシング系のサイトなどには登録はされていますか。
使っていないですね。クラウドソーシングは単価が比較的安いということもあり、エージェントを利用しています。
エージェントの営業の方と仲良くなったら頻繁にお仕事を紹介してもらえます。私も営業をやっていたので分かるのですが、 「 この人に紹介してあげたい」って思っていただけるように、営業の方に自身の強みなどをアピールしたり仲良くなったりして営業する ようにしています。
過去の営業経験が自身の武器に!仕事獲得のために必要なこととは?
――そこで過去の営業力が生かされているのですね。
そうですね、 フリーランスは技術力だけでなく営業力も大事ですから。本当に営業をやっていてよかったと思いますし、過去の経験が生きている と思います。
エンジニアの方の中にはコミュニケーションが苦手な方もいらっしゃるかと思うのですが、私は人と話したり提案したりすることが得意なタイプなので、ありがたいことに営業の方に気に入っていただいてお仕事も受けることができています。あとは コーディングの経験とCMSの経験があった ことも大きかったと思います。
――フリーランスとして多くのお仕事を得るために大切なことは何でしょうか?
まずは人柄 ですね。 フリーランスの方はほとんど同様のWeb制作のスキルであることが多い ということをエージェントの営業の方から伺いました。 その中でオファーをいただくためにはプラスアルファが必要 だなと。そこで前述の通り、持ち前のコミュニケーション能力を生かしていこうと思いました。
一方で 現場で活用できる最新のスキルも重要なので、勉強を継続することが大切 だと思います。 PHPやJavaScriptの勉強は今でも続けており、書籍なども買って手を動かすようにしています 。ただやっぱり独学は難しいですね。今はたまたま実務で学んだことを実践できているのですが、またテックアカデミーのフロントエンドコース、PHP/Laravelコースなどは受講したいなと思います。
学習で使っている書籍
――普段、勉強は勤務後にされていますか。
はい、夜にしています。 日中働いて夕方の6時~7時に仕事を終わらせて、そこから子どもの世話などがあって、自分の用事も済ませて一息つくのが夜の10時とか11時 なんです。そこから3時間ぐらいは勉強しています。ややハードではありますが、 この仕事が好きだからこそ続いている のかなと思います。
――土日にまとめてというよりは、平日コツコツと勉強するスタイルなんですね。
私は土日にしっかり遊びたいタイプですね。子どもが通っている野球チームの練習などで一日中出かけていることもあります。ただ夜は土日も勉強をするようにしています。なので何もしない日はないかもしれませんね。
――素晴らしいですね。現在の生活スタイルはどのような感じですか。
フリーランスではあるのですが、現在メインでやっているお仕事はプロジェクトチームに合わせて動いているため、働く時間は決まっています。 最近だと週5日、9時〜6時に自宅で仕事をし、空いている時間に知り合いのサイトをいじったりという形で仕事をしています。
垣内さんのポートフォリオ
――今後はフリーランス一本でお仕事されるご予定でしょうか?
いえ、実は数ヶ月後にまた 別のWeb制作会社で正社員として働くことを予定している ので他の仕事も入ることになりそうです。正社員になると、フリーランスの時よりも手取りが少なくなると思っていたのですが、そこの会社では新しく子会社を関東に設立するということで、 エンジニアリーダーという役職で採用していただきました !Movable Typeの経験があるエンジニアに入社して欲しかったそうです。年収も今より50万円増えるので、一旦フリーランスを辞めてまた正社員に戻る形になる予定です。
就職先の企業は副業もOKで、フリーランスの時と同様にこれまで通りお仕事を受けることができるため、様子を見ながら柔軟に働けたらと思っています。
――収入の変化はありましたか。
はい。保険会社の頃から制作会社に入社した際には実務未経験ということもあり一旦年収が落ちましたが、フリーランスになってからは保険会社の時より50万円ほど増えました。
今後企業でエンジニアリーダーを経験することで更に高い収入が得られることを期待したいなと思います。
シングルマザー、地方在住の人にはWeb制作の仕事をおすすめしたい
――今後の目標について教えてください。
海外に移住してWeb制作の仕事をしたいですね。 エンジニアはリモートでの勤務がしやすいので、ハワイなど大好きな海があるところに住んで今より自由に働く ことを目標にしています。数ヶ月後に入社する企業では、 エンジニアリーダーとしてマネジメント能力を身につけて、さらにスキルアップしたい と思っています。
――Web制作のお仕事は、どのような方に向いていると思いますか。
例えば、私のように シングルマザーなど時間に制限のある人は、自宅にいながら短時間で高単価を得ることができるのでWeb制作の仕事の方が合っている と思います。最初に技術を身につけるまでは大変ですが、 技術を身につけてしまえば収入を得ることもできますし、子どもとの時間も多く取れます 。人によって合う合わないはあるとは思いますがおすすめしたいです。
また、 地方に住んでい る人にも向いている と思います。私も和歌山から受講していましたし、今はオンラインで勉強したり仕事を受ける環境が当たり前になりつつあるので。
――私どもとしてもそういった働き方があるということを多くの方に知っていただきたいです。
環境を変えるというのは勇気が必要になりますが、思い切ってやってみたら新しい道が開ける と思います。日本だとリスクを嫌う方も多いですが、 ひとつ足を踏み入れたら新しい世界も見えてきますし、収入が増えると見る世界も違ってきます 。
スクールに通うこと自体、初期投資が必要ではありますが、 自分に投資することで何倍にもなって返ってくるので、躊躇してはいけない と考えています。私は金銭的に頼れる人がいなかったので、勢いもあったのかもしれないですね。自分に甘えないようにして、簡単な道ではなく一回難しい道を選べば、その後の道が開けてくるのではないかと思います。