テックアカデミーのWebデザインコースを受講した卒業生に、自社でのデジタル活用やシニア層の方がデジタルスキルを習得することの意義についてお話を伺いました。(※)
(※)記事に記載している内容は2023年3月時点の情報です。

1分でわかる記事要約

・テックアカデミーを受講した理由:コロナ禍でEC事業が伸びたことをきっかけに、自社のサイトやSNSやツールの見直し、業務効率化に向けて経営者自らデジタルスキルを学び直すことに。
・受講後の社内の変化:社内のPCの台数の増加、デザインができる社員の増加、チャットツールの導入、Googleビジネスの活用が進んだ。
・シニア層の方がデジタルスキルを学ぶ意義:少子化、人材不足対策のためにデジタルスキルは必須。若者に迷惑をかけないためにも一人ひとりがデジタルスキルを身につけることでコスト削減に繋がりお互いメリットが大きい。年齢関係なくデジタルスキルを学んだり、誰でも全部オンライン完結できるようなわかりやすい仕組みや環境を作ることが大事。

話してくれた人

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吉野隆一さん(68)
和洋菓子・パン製造販売業を行う食品メーカーの代表取締役を務める。明治時代から100年以上続く老舗企業で東北地方をはじめ複数の店舗を展開している。

コロナ禍でEC事業が伸びたことをきっかけにデジタルスキルを学び直し

ーーご経歴を教えてください。

都内の大学を卒業し、洋菓子店の就職を経て、27才の時に家業の和洋菓子・パン製造販売業を継ぐため東北地方に帰郷しました。東北地方をはじめ複数の店舗を展開している企業なのですが、社長になるために現場でお菓子を作ったり様々なことに挑戦しました。その後、41才の時に代表取締役に就任し、今に至るまで20年以上社長業を務めています。中小企業の代表取締役という立場ではありますが、何でもする事をモットーに働いています。

ーーなぜテックアカデミーを受講されたのでしょうか。

コロナ禍で東北の店舗やお土産屋さんへの客足が遠のき、昔から毎年行っていたイベントも実施できず、売上が落ちてしまいました。
「会社のために何か自分もできることはないか」という想いで悩んでいたところ、急に巣篭もり需要でECサイトでの売上が増え始めたのです。コロナ前からEC事業は行っていましたが、店舗での販売が中心でしたので、自社のECサイトやSEO、SNSなどデジタル面をより強化していく必要がありました。
そこで会社の効率化やデジタル化推進のために経営者の私も学ぶべきと考え、常務の息子と一緒にテックアカデミーの「Webデザインコース」を受講することにしたのです。
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ーー受講前に独学はされましたか。

いいえ、独学はしていませんでした。私自身、強制力が働かないと学習が続かないタイプなのでスクールは合っていたと思います。鉛筆などで絵を書くことが好きでデザインに向いているのではないかと思いWebデザインコースを受講しました。元々仕事でPCを触る機会は少なく、タイピングも片手でするレベルではありましたが、新しいことに挑戦することに対してポジティブでした。学習を怠けないようにあえて自費でMacを購入し、テックアカデミーを受講しました。

ーーどのようにお仕事と並行しながら学習されていましたか。

毎日コツコツ学習するようにしていました。コロナ禍当初は業務が比較的落ち着いていたため、日中に学習時間を確保することができました。15時からメンタリングを入れて、社内で1日1時間ほど学習するようにしていましたね。
これまで夜は接待などで帰る時間が遅いことも多かったのですが、コロナ禍でほとんどなくなったこともあり、学習に関連する動画や書籍を見る時間も作れるようになりました。

経営者の自分が率先して学んだことで大きな変化が生まれた

ーー受講されていかがでしたか。

正直、思っていたよりも難しく歯が立たないと感じることも多かったです。しかし今思い返せば受講して良かったことの方が多いと感じています。
私は強制力が働かないと学習が続かないことがわかっていたので、週2回のメンターさんとのメンタリングはとても効果的でした。メンタリングや受講を通じ、これまで使ったことない沢山のツールに触れたり、新たな発見がありました。その結果、これまで会社として挑戦したことない新しいことに挑戦することができたのです。

ーー会社での変化について教えてください。

受講を開始してから3か月後、様々な変化がありました。
まず、社内でオンラインチャットツールを使った情報共有を積極的に行えるようになりました。テックアカデミーではSlackを使ってやりとりを行いますが、「こんな便利な機能があるのか」と思い、自社にもすぐにチャットツールを入れようと思いました。
これまでは鶴岡、酒田、仙台の店舗の人たちを集めて1ヶ月に1回のオフラインでの報告会がありましたが、一人ひとりから報告を受けていたので時間がかかっていました。今ではGoogle Chatで文章にまとめて各地から報告してもらうようにしています。今のやり方にしたことで情報の量も多くなり、時間が空いているタイミングでまとめてGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントの報告書を読んだりできるようになっています。また各店舗の見える化が進んだためかなり業務効率化に繋がりました。

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また本社や店舗、工場など各拠点でのやりとりが発生することから社内のPCの数を増やしました。
元々PCは印刷、文章作成で使う程度だったため、全店舗合わせても数台程度でしたが、iPadなども含め30台ほど購入しました。

次に、デザインツールを扱える社員の増加です。
PhotoshopやCanvaを扱えるデザイナーが当時社内に1人しかいませんでしたが、今では私を含め事務の女性、販売員の女性の4人に増えました。今ではInstagramの画像をはじめ、デザイン系の業務が1人に集中することなく効率的に運用することができています。

他にもGoogleマップや検索でどのようにしたら認知してもらえるか考え、事務の女性と一緒にGoogleビジネスで自社のビジネスプロフィールなど会社情報や商品や店舗などの画像をまとめたものを作りました。

若者に迷惑かけないために自分が変わらないといけない

ーー大きな変化ですね。社内のデジタル化を推進するために工夫したことはありますか。

常務、部長、工場や店舗にいるスタッフなど、自分よりも優秀な人達に率先してオンラインツールなどを活用してもらい、社内にデジタルが浸透するようにしていました。若い社員はデジタルに慣れるのが早くすぐに対応してもらえましたが、比較的高齢の社員には勉強会などの時間を設け、各所に浸透するようにしていました。

ーー今後の目標はありますか。

これからも積極的に新しいことを学んでいきたいと思っています。デジタルを使って自分でやれることや選択肢を増やしていきたいですね。
最近ニュースなどで取り上げられているChat GPTも、仕事で活用できないか模索中です。AIを取り入れて業務の効率化に繋げたいと思っています。

ーー年齢関係なくデジタルスキルを学ぶ意義、お考えをお聞かせください。

少子化、人材不足対策のためにデジタルスキルは必須だと思っています。
よく「自分はできないから」とか「若い人にやってもらえれば良い」という声を聞きますが、年齢が高いからという理由で新しいことに挑戦したり知識を拒否することに対して、私は断固反対です。

シニア層のデジタルスキルがない・進んで学ばないという問題は深刻で、若い人に迷惑をかけると思っています。例えば、電話で問い合わせをする人が多いと思いますが、窓口が混んでいて繋がらないことがありますよね。対応する若い方の人数と、シニア層の比率を考えたら常に混み合って時間がかかってしまい、お互いに良いことがありません。

ですから、年齢関係なくデジタルスキルを学んだり、チャットを使った問い合わせやオンラインでの注文など、全部自分でオンライン上でできるようなわかりやすい仕組みや環境を作ることが大事だと思っています。多くの人がプロレベルまでいかなくても多少のデジタルスキルを身につけることで、大幅にコストの削減、事務の効率化、スピードUP、生産の無駄をなくすことに繋がるでしょう。

★本記事では個人向けのコースを受講いただいておりますが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)や社員のITリテラシー向上、リスキリングに取り組む企業様向けの法人研修「テックアカデミーIT研修」もございます。

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