MASTER OF ENGINEER

誰から、何を、学ぶべきなのか。

誰かの人生が
豊かになることに
介在できる楽しさ

BASE株式会社
上級執行役員 SVP of Development

藤川 真一

はてな

「誰から、何を、学ぶべきなのか。」を業界トップの現役エンジニアから聞く「MASTER OF ENGINEER」。
今回は、急成長中のネットショップ作成サービスBASEで7年間CTOを務め、現在は上級執行役員としてより経営に近いポジションを担う藤川真一氏へのインタビューです。

※記載の内容はインタビュー当時のものになります

エンジニアとしての心構えは先輩から学んだ

エンジニアとしての心構えは先輩から学んだ

ーエンジニアを目指したきっかけを教えてください。

藤川:元々大学が工学部電気工学科だったので、エンジニアになる流れでしたね。ただ、ファーストキャリアは制御系と言われる機械を制御、コントロールする仕事でした。

小、中学生くらいのときに、パソコンを買ってもらって少しだけプログラムを書いたことがありました。ハードでいうと、ラジコンを作ったりとか。元々物作りには興味がありました。

高校も数学が好きだったので自然と理系を選択して、将来を考えると人とコミュニケーションして何かを売るよりかは、何かを作りたい強い意志が強かったので工学系に進学しましたね。

ー プログラミングを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

藤川:入り口は高校1年でパソコン通信をしたときですね。
ゲームくらいしかできないパソコンからホストにダイレクトで電話をつなぐんですけど。
その鉄の箱を通じて、全然知らない大人と話せたことがものすごく感動的だったんですね。
なので、コミュニケーションという文脈にすごく興味があり、ネットを通じて人と会話できるサービスを作ってみたいというところから入りました。

実は、プログラムをしっかり書き始めたのは社会人になってからなんですよね。
最初に就職した会社が機械を作るメーカーで、仕事の一貫でソフトウェアを開発する必要があり、そのタイミングではじめて本気でプログラムを書き始めました。

ー 自身が影響を受けた人はいますか?

藤川:最初の会社の先輩ですかね。一緒に設計の仕事や新規商品の開発プロジェクトに携わっていました。その先輩は、エンジニアとしての意識がすごかったですね。ものづくりをする技術や考え方など、エンジニアとしての心構えはそこで培いました。

誰かの人生が豊かになることに介在できる楽しさ

誰かの人生が豊かになることに介在できる楽しさ

ー エンジニアとして大切にしていることを教えてください。

藤川:目の前の課題をとにかく期待通りにこなしていくのは大事です。
YouTubeを見ていると、たまにソフトウェアを学ぶ意味はないとか、エンジニア業界はお先が真っ暗みたいな動画があるんですけど、そんなことはないと思っていますね。

自分が選択した場所で与えられる仕事をしっかりこなしていく、スキルアップしていく、アウトプットをして人から評価される。それを継続していき、タイミングによってはステージを変えていくと良いと思います。途中で間違っていると思ったら、転職すれば良いだけなので。

ー どんなところに仕事の面白さを感じますか?

藤川:ユーザーが使ってくれることが面白いですね。
良いシステム、良いサービスを作るとユーザーの人生を広げることができるんです。誰かの人生が豊かになることに介在できる楽しさですね。

ー エンジニアに向いている人、向いていない人の違いを教えてください。

藤川:家の鍵を閉めるときに閉まっているかどうかをもう1回確認する人は、エンジニアが多いと言います。そういう人は信用していないんですよね。鍵をかける行為で終わりではなくて、ちゃんとしまったかどうか確認する。これはエンジニアの素養です。

逆にダメな人は自信満々な人ですね。経営者に向いているかもしれないですけど、エンジニアはそれではだめです。

自分がやったことや周りで起こったことをそのまま信用せずに、ちゃんと確認したり、検証したり、テストしたりする。そういうことをやれる人はエンジニアに向いています。

地道な人が勝つ、続けられる人が一番強い

地道な人が勝つ、続けられる人が一番強い

ー 成長するエンジニアはどんな人ですか?

藤川:単純にいうと、素直な人は絶対的に求められますね。年齢は関係なくて、誰かから指摘されたことをフラットに受け入れられるかどうか。でもフラットだからといって自信がない人じゃダメで、ある種の自信と素直さを兼ね備えている人ですね。

あとは、インターネット業界の動向や使われている技術、作っているプレイヤーたち、プレイヤーがどういう背景やロジックでサービスを作っているのか、そうして作られたサービスがどう運営されて、ユーザーにどう受け入れられているか。そういったことに興味を持てるかどうかも大事ですね。
Webサービスは改善の塊です。エンジニアとしてたった1行のコードの修正でも、それによるユーザーさんやサービスへの価値や影響をを考えられる人は評価されそうです。

あと、地道な人が勝つというのが定説としてあります。いろんなことにちゃんと関心を持ってそれを見逃さないようにして拾っていく。それを続けられる人が一番強いですね。

ー 若い世代には何を求めますか?

藤川:目の前にある技術をどれだけ楽しめるかです。
以前受託開発をしていたときに、いろんな案件に対応していく中で、必ず一つ自分のチャレンジを入れていました。設計だったり、提案内容だったり。なにかの仕事や作業を繰り返すなかでしっかり自分なりの野望を持ってこなしていくことを大事にしてほしいですね。
好きがスタートの人にとって自分より上の人を見ると落ち込むこともありそうですが、素直に認めればいいと思います。敵わない人はたくさんいるので。僕も会社で若くて優秀なテックリードがいますが、純粋にリスペクトしています。結局は同じ会社やチームなので、自分が得意なことや他の人が得意な部分をそれぞれ組み合わせていけばいいと思います。

未来を信じて技術を勉強してほしい

未来を信じて技術を勉強してほしい

ー 小中学校でプログラミングを学ぶことについてどう思いますか?

藤川:カリキュラムがあるとどうしても成績がついてまわるので、プログラムを嫌いにならないような指導を期待しますね。あとは、プログラミングは道具でしかないので、それを使ってどうやって社会に生かしていくか、みたいな応用力も培われると良いと思います。

ー これからエンジニアになりたい人にメッセージをお願いします。

藤川:何か勉強したいとか情報を集めていると、この技術が使えないだめだとか、こういうトレンドをフォローしてないとだめだとか目の前のことに流されがちなんですけど、それはわりと表面的なことだと思っています。

あらゆる技術は時代のレールのなかで徐々に徐々に発展していて、その技術がなぜ存在するかに意味があります。今後の未来もそういう流れが存在していて、そういう視点でプログラムを学んで、抽象的に概念として理解するのは大事です。

結局のところ、どこかで学んだプログラミングの技術が本質的なものとして理解されていればたぶん一生使えます。具体的なスキルだけでなく、抽象的な考え方や理解も同様にです。

ただ、最初は具体的なものを学ばないと抽象的なものは分からないので、とりあえず何も考えずにプログラムを学ぶべきですね。未来を信じて技術を勉強してほしいです。

BASE株式会社 上級執行役員 SVP of Development

藤川 真一

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経験し、2006年、GMOペパボ株式会社入社。2007年、『モバツイ』を個人で開発・運営。2012年、株式会社想創社設立。2014年、BASE株式会社のCTOに就任。2019年、同社EVP of Developmentに就任。2021年、同社SVP of Developmentに就任。