【レベル別】研修効果測定とは?目的、研修効果を高める4つの方法も解説

「研修効果測定って何?」「研修効果測定は何をするの?」とお考えの人はいませんか。 研修後に効果測定を行うことは、研修の成果を可視化させるために欠かせないことです。本記事では、研修効果測定について、目的や研修効果を高める4つの方法を解説します。

多くの企業がこぞって取り入れいている研修効果測定は、実際に行われた研修の効果を可視化させるためには避けて通れない業務です。

しかし、実際に研修効果測定を行った企業からは「目的に対して適切に研修効果測定ができているか」「研修効果を高める方法にはどのようなものがあるのか」という声が多く聞かれます。

本記事では、研修効果測定について、その目的や研修効果を高める4つの方法を解説します。

目次

 

研修効果測定とは

研修効果測定のイメージ

研修効果測定とは、研修の効果を、4つのレベルで評価する測定方法です。研修効果測定では企業側・社員側の2つの視点を持って考える必要があります。例えば、企業の立場からだと「研修による成果を研修効果測定で図る」と捉えますが、社員の立場からは「研修に対する満足度を研修効果測定で図る」と認識するイメージです。

注意点として、どちらか一方の考え方で研修効果測定を行っても、満足のいく研修効果測定を得ることはできません。そのため、実際に研修効果を測定する際は、2つの視点から考えるという点を意識するとよいでしょう。

研修効果測定のレベル4とは

研修効果測定のレベル4とは「反応」「学習」「行動」「結果」の4つのレベルで研修の効果を測定します。レベル1では「反応」レベル2では「学習」という風に徐々にレベルを上げることで、研修の効果を可視化させられます。

この4つのレベルを「カークパトリックモデル」と言い、カークパトリックモデルとは、1959年にドナルド・パトリック氏によって発表された教育の評価法をまとめたモデルです。

ここでは、4つのレベルそれぞれで測定する内容をさらに詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。

反応

レベル1の反応では、研修へ参加した社員が研修に対してどのような反応を示したかを測定します。例としては「研修に対して、どの程度満足したか」という点もレベル1の反応で測定する内容です。

レベル1の反応を測定する方法は難しくありません。具体的な方法としては、研修の場でアンケートや振り返りによって測定できるでしょう。

学習

レベル2の学習では、研修へ参加した社員に対して、研修によって知識や能力の向上はあったのかを測定します。これは、社員の研修に対する理解度を測定する際にも有効です。

具体的な方法としては、レベル1と同様に研修の場でアンケートや振り返りによって測定します。

行動

レベル3の行動では、研修で学んだ知識やスキルはどの程度活用できているかを測定します。研修はその場で学べば終了ではなく、その後の業務にどう活かせたかが重要です。

レベル1や2と異なり、行動の効果測定を行う際は一定期間を設ける必要があります。そのため、レベルの高さと同様、難易度も高いと考えられるでしょう。

結果

レベル4の結果では、研修に対する結果やビジネス上の成果はあったのかを測定します。研修によって生産性の向上や品質改善など、企業ごとの業務貢献度は向上したのかを測定し、今後の研修内容の改善に繋げられます。
レベル4の結果を測定するためには、成果を表す指標の変化と研究の関連性を見極めなければならないので、レベル1から3までよりも多くの時間が必要になり、難易度はとても高いといえます。

研修効果測定の目的

研修効果測定の目的は「研修の目的として設定されたものは達成できたか」を確認するためです。行われる研修内容によって、目的は異なるので一概にはいえませんが、例を挙げるならば「新入社員に社会人としてのマナーを身につけてほしい」などが目的として挙げられます。

研修効果測定は何に活かされている?

研修効果測定は、これから社員が業務を行っていく中で活かされます。4つのレベルで研修の効果を可視化させることで、それぞれの問題点や改善点を明確にし、効率よく業務を行えるようになるのです。

また、研修効果測定を行うことで「次の研修では、どのような点を改善すればさらによりよりものとできるのか」という企業側の考え方に活かせます。

 

研修効果測定で使用されるアンケート項目

研修効果測定アンケート用紙と鉛筆

実際に研修効果測定で使用されるアンケート項目は、企業によって多少異なるものの、大きく分けて5つの項目となっています。

研修を受けた社員にアンケートを取ることで、研修への満足度や内容に対する質を測定できますし、研修内容や今後企業が改善すべき点を見つけられるでしょう。

アンケート項目の例

ここでは実際に研修効果測定で使用されるアンケート項目を5つご紹介します。ただ、これはあくまで1つの例なので、実際に各企業でアンケート項目を作成する場合は、新たに内容を追加することで、研修効果測定の効果を高められるでしょう。

①研修内容は理解できたか?

実際に研修を受けてみて、内容をしっかり理解できたかを確認する項目です。せっかく研修を受けても、内容が理解できなければ意味がありません。

効果測定の基本として、まずは研修内容に対する理解度をチェックします。

②研修内容は満足のいくものであったか?

研修内容の理解度をチェックしたら、次は研修内容の満足度についてです。実際に研修を受けて気づきや学びを得られたか、得たことに対する満足度はどうかをアンケートで社員に問いかけます。

③講師の説明は理解できたか?わかりやすかったか?

研修の効果を高めるためには、研修内容だけではなく、研修を行う講師も重要です。例えば、一方的に説明をするだけの講師では、社員の理解度や満足度は低下します。

今後、実りのある研修を行うためにも、「講師の説明はしっかり理解できたのか」「わかりやすかったか」を実際に研修を受けた社員にアンケートで確認しましょう。

④研修で得た学びや知識を今後活かそうと思うか?

研修は、ただ受ければ終了ではなくて、得た学びや知識を活かすことが重要です。そのためには、学びや知識を大いに活かせる環境を整えることも企業の役割になります。

⑤この研修を周囲の人に勧めたいと思うか?

これは、顧客満足度調査などでも使用されるアンケート項目です。周囲の人に勧めたいと心から思える研修だったと社員が答えた場合、今回の研修への理解度や満足度は高かったのだとわかります。

一方、周囲の人に勧めたいとまでは思わないという回答結果だった場合、研修内容の改善や、なぜそう思ったのかを明確にして今後に活かす必要があります。

 

研修の効果を高めるための方法

研修の効果を高めるために、研修効果測定の結果をチェックする女性

研修は、企業そして社員の成長を促進させる1つの鍵です。また、研修には費用や人材の負担もかかりますので、気軽に行えるわけではありません。そのため、1度の研修の効果を高める必要があります。

ここでは、研修の効果を高める方法を5つ紹介します。

研修を何のために行うかを明確化する

研修の効果を高めるためには、前提として「何のために研修を行うのか」を明確にします。事前に研修目的を決めておかないと、研修へ参加する社員のニーズに合わない研修になるからです。

そうなると、社員の理解度や満足度は低下し、企業の負担が無駄になってしまいます。研修の効果を高めるためには、まず「研修目的を明確にすること」が大切です。

研修効果測定を利用し、効果を「可視化」する

研修を行う度に、研修効果測定で効果を可視化することにより、企業や社員の成長や、研修に対する改善点を把握できます。

何度も研修を行っている企業でも、必ず完璧な研修が行えるわけではありません。そのため、研修効果測定を利用してよりよい研修を作り上げていくことが大切です。

研修後の振り返り

膨大な量を長期間に学ぶ新入社員研修は、他の研修と比較すると一気にさまざまな知識やスキルついて学ぶので学習内容の定着が難しくなります。

そこで、毎日の振り返りや、研修から一定期間経過した後に行う振り返りによって研修で得た知識や気づき、学びを定着させる効果が期待できるでしょう。

また振り返りによって学習内容を定着させるだけではなく、「今後どのように業務へ活かせるか」といった目標設定ができるようになります。

アンケートや理解度テスト

研修後の振り返りとして、アンケートや理解度テストを行うことで、社員自体の学習内容の定着はもちろん、企業は社員の学習定着度を把握できます。

また、研修後のインタビューに、研修講師や上司などの評価を組み合わせると、さらに研修効果を高められるでしょう。

研修で得たことを最大限に活かせる環境を整える

高い研修効果を得るためには、上司が研修の意義や内容を理解し、社員が研修で得たことを今後の業務で最大限に活かす環境作りも大切です。

そのためには上司の理解や、新入社員をサポートする社員たちの協力も不可欠になります。研修を受けた社員に対して周囲の理解や協力を得ることで、研修効果を高められるのです。

 

研修効果測定の2つの実例

研修効果測定の実例 研修の様子

研修効果測定の事例が見当たらず、「事例が知りたいな」と考える企業も多いかと思います。そこで、実際に企業が行った研修効果測定の実例を以下の2つ紹介します。

  • 実例1 サクセスケースメソッド-Grundfos営業スキル研修
  • 実例2 新4レベル-Emirates Airline コンタクトセンターの対応品質向上研修

実例1 サクセスケースメソッド-Grundfos営業スキル研修

1つめの事例は「サクセスケースメソッド-Grundfos営業スキル研修」です。デンマークの水道事業向けのポンプを製造する会社「Grundfos」では、元々レベル1から2の研修効果測定を実施していた経歴があります。

しかし、この研修効果測定は効果があるのかと考えたとき、自信を持ってYesとはいえない状況だと感じ、改めて研修効果測定の方法を考えなおした結果、以下のような設計にたどり着きました。

  • 学習目標の設定
  • 実務行動の改善
  • 職場での成果
  • 事業目標=売上目標達成

この設計は、研修で学んだことを職場で実際に活用した結果、職場の成果が上がり、事業目標を達成できるという流れです。

また、上の流れの中で社員や上司に対してリサーチやインタビューを行い、その振り返りとともに学習の定着率を上昇させることに成功しています。

実例2 新4レベル-Emirates Airline コンタクトセンターの対応品質向上研修

2つめの事例は 「新4レベル-Emirates Airline コンタクトセンターの対応品質向上」です。Emirates Airlineはドバイやムンバイ、メルボルンなど6拠点でこの対応品質向上研修を行いました。

明確な設計に関しては記載されていませんが、OJT研修の制度化や、パフォーマンス支援ツールの導入で社員全体の学習定着や、パフォーマンスの向上を狙ったことがわかります。

また、Emirates Airlineでは、社員や企業に関する研修内容だけではなく、売上と新しいサービススタイルで顧客対応に関する行動を指標化し、最終的にこの2つの指標はどの程度変化したのかをビフォーアフターで比較しました。

ビフォーアフターを比較することで、研修や新たなサービスによる効果がどれだけ改善されたのかがわかりやすく表れた事例といえるでしょう。

 

まとめ

研修効果測定結果のグラフ

研修効果を測定することは、社員側・企業側ともに成長に繋がります。また、現在研修効果測定を取り入れている企業でも、しっかりと研修効果を高めるために最適な方法で研修効果測定を行っているか、一度見直しをおすすめします。本記事を参考に、適切に研修効果測定を行い、研修効果を高めていきましょう。

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