研修アンケートの目的は?作成のポイントやアンケート項目例を紹介

研修実施後は参加者にアンケートを取り、充実度や改善点を確認することが重要です。しかしアンケートの質問内容や作成方法に迷っている人材育成担当者もいるのではないでしょうか。この記事では、研修アンケートを取る目的や作成時のポイントを解説します。

研修実施後は参加者にアンケートを取り、充実度や改善点を確認することが重要です。しかしアンケートにどのような項目を設ければよいのか、どのようにアンケートを作成すればよいか迷っている人材育成担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、研修アンケートを取る目的や作成時のポイントを解説します。アンケートに含めておきたい項目も紹介しているため、これからアンケート作成に携わる方はぜひご覧ください。

 

目次

 

研修後にアンケートを取る目的

ノートPCや資料などのデータを見ながらミーティングを進める社員たち

研修実施後のアンケートは、参加者の意見や考え方の確認、研修の課題を見付けるための貴重な機会です。アンケートを形式的なものにしないためにも、研修に携わるチーム間でアンケートを取る目的意識を共有しましょう。ここでは研修後にアンケートを取る目的を解説します。

研修を通じてどのような効果があったか確認するため

研修を通じて参加者が何をどの程度身に付けたのか確認する目的があります。

例えば以下のような質問をします。
・具体的に研修がどのような点で役立ったか
・どのような業務に生かせそうか
・自分の中で何がどう変化したのか

研修の効果を調べる背景には、不要な研修を取り除く意図もあります。自社にとって必要な研修だけを実施するためには、参加者からのリアルな声を集めることが重要です。

研修の課題を明確にするため

研修後のアンケートを実施する中で、改善点がないか確認します。アンケートでは参加者の率直な意見を把握しやすいため、課題の明確化が可能です。

例えば以下のような質問をします。
・研修は受講しやすかったか
・講師の説明はわかりやすかったか
・テキストの内容は適切であったか

参加者からの評価が高かったプログラムは次回以降も積極的に取り入れることを検討し、不評な項目があれば次回までに修正・改善します。マイナスの意見こそ貴重な財産と考え、人材育成チームで共有しましょう。

 

研修アンケートを怠った場合のリスク

研修後にアンケートを怠ると次のようなリスクがあります。

・研修の効果を測れなくなる
・研修の課題を明確にできない
・参加者が研修を振り返る機会を作れない

アンケートを実施しなければ研修の効果がわからないだけでなく、課題が明確にならず、参加者自身も研修を振り返れません。これからの研修の質を高めるためには積極的にアンケートを実施します。

研修期間が終わったら、無事に終了したことに少し安堵をしてしまうものです。アンケートは参加者の所感や意見を伺える貴重なタイミングのため、忘れることなく行いましょう。

 

研修アンケートの作成ポイント

紙媒体のアンケート用紙

研修アンケートの作成には、いくつかポイントがあります。評価形式や設問の作り方にこだわることが、回答の質にも影響を与えるためです。ポイントを押さえて回答しやすいアンケート作りに努めましょう。ここでは、研修アンケートの作成ポイントを4つ解説します。

選択式や5段階評価などを活用する

参加者が回答しやすい形式を用意します。回答者が該当するものにチェックを入れるだけで完了する簡易的な設問にすることがポイントです。

例えば研修の満足度を知りたい時は、以下のような5段階式で答えてもらうのもよいでしょう。

1.不満
2.やや不満
3.普通・どちらとも言えない
4.やや満足
5.満足

規定の欄にチェックを入れるだけで終わるため、回答時間も少なく済みます。記述式とは異なり、回答に費やす時間を最小限に抑えたアンケート形式です。まずは回答を得やすい環境を整えましょう。

優先的に聞きたい内容から順番に聞く

アンケートは優先度の高い設問から配置します。回答者の集中力が保たれているときに重要な設問に回答してもらうためです。例えば「研修のカリキュラムに満足できたか」「業務に直結する内容になっていたか」など、最も聞きたいことを最初に質問します。

優先度を気にかけないアンケートの構成にしてしまうと、本当に聞きたい内容への回答が十分に得られないことも考えられます。研修の質を確認する重要な内容から配置し、次回以降の改善用資料として利用しましょう。

複数の解釈ができるような設問にしない

設問文には簡潔かつわかりやすい表現を使いましょう。ポイントは複数の解釈ができる言葉を使わないことです。

例えば「研修で得た知識を生かす機会は最近あったか」というような質問の仕方には要注意です。「最近」の捉え方は人それぞれのため、解釈は回答者に委ねられてしまいます。「今日までの1週間に研修で得た知識を生かす機会は何回あったか」など、期限を明確に絞ります。

誰が回答者であっても解釈が同じになるような設問にするなど、表現には工夫が必要です。

設問は読みやすい文章にまとめる

業界用語や抽象的な表現は極力減らして、具体的でわかりやすい文章にしましょう。読みやすい設問であるほど意味が伝わりやすく、スムーズに回答できるためです。

目安は、中学生や高校生がすぐに回答できるほどのわかりやすい文章です。漢字を使い過ぎず一文を端的にまとめます。アンケート実施前に、参加者以外のメンバーにチェックしてもらうことがおすすめです。

 

研修アンケートの実施方法

横に長いテーブルに複数人が座り、用紙に記入している様子

研修アンケートは、用紙を使って回答する方法とオンラインで実施する方法があります。研修の状況や自社の都合に合わせて、適切なアンケート形式を採用しましょう。ここでは、メリットなどにも触れながら研修アンケートの実施方法を解説します。

アンケート用紙に記載してもらう

紙媒体のアンケート用紙に記載してもらう方法です。研修終了後にその場でアンケートを取ると回答率が高まり、回答の質も良くなる傾向にあります。

スマートフォンやタブレットなどの端末を持ち合わせていない社員でも回答しやすいことがメリットです。一方でアンケート用紙の準備や配布・回収に手間がかかるというデメリットもあります。研修の準備期間が短い場合や参加者が多い場合は、研修担当者に負荷がかかってしまうため、注意が必要です。

オンライン上でアンケートを入力する

オンライン上でアンケートを実施する方法もあります。企業としては紙媒体でアンケートを取るよりも、発生する手間や管理コストが低くなることが利点です。回答者は手軽にアンケートに答えられるため非常に便利です。

オンラインでアンケートを実施した場合は、データ分析も容易であることもポイントです。集めた回答を表やグラフを用いて可視化すれば研修の効果も測りやすくなり、研修の改善につながる貴重な資料になります。

 

研修アンケートで聞いておきたい項目

ビジネス街をバックに黒いバインダーを持ちメモを取る女性

研修アンケートではいくつか聞いておきたい項目があります。講義の時間や内容の分かりやすさに関する情報を集めて、次回以降の研修に役立てるためです。参加者の意見を参考に、研修の質を高めましょう。ここでは研修アンケートで聞いておきたい項目を紹介します。

研修の講義時間について

研修の講義時間が適切であったか確認しましょう。時間が長かったという回答が集まった場合、プログラムの質や内容の密度に問題があった可能性があります。

一方で研修時間が短かったという回答が多かった際は、学習内容の詰め込みすぎや課題が多すぎたというケースが考えられます。研修時間を伸ばすことや、カリキュラムを絞るなど検討が必要です。研修の目的と内容のバランスを見ながら調整しましょう。

研修内容が理解しやすかったか

研修全体を通じて、どの内容が分かりやすかったか確認します。テーマごとに回答をもらうことで次回以降の研修内容を改善できるためです。

イエス・ノーだけの設問ではなく、「どのような点を改善するべきか」といった質問をして、改善案まで回答を得られるとさらに有用なアンケートになります。研修の進め方に問題があったのか、講師の教え方が不十分だったのかなど、受け取った意見を精査することが大切です。

研修内容が業務に役立つかどうか

研修のプログラムが業務に役立つ内容であったか確認します。「実務ですぐに使える」「間接的に役立ちそう」といった回答を得られたのであれば、研修に一定の効果があったと言えるでしょう。

特に中堅社員や知識・スキルが豊富な社員から寄せられる意見は、企業にとって貴重な資料となります。自社の業務効率化や改善のヒントが含まれているため、欠かさずチェックして関係部署間で共有します。

現在の業務や勤続年数

回答者の職種・担当業務や勤続年数を確認することも大切です。回答者がどのような人なのかによって、回答から得られる情報が大きく変わるためです。

実際に新入社員とリーダー社員では、業務に対する視点が違います。例えば「研修が実務に役立つか」といった設問に対して、次の回答例が考えられます。

・「資料作成のヒントになった」(新入社員)
・「チームの進捗管理やフォロー面談時に取り入れたい」(リーダー社員)

立場が異なることで学びが生きるシーンも異なります。誰からの回答なのかにも注目し、研修の方向性などの検討材料にしましょう。

 

研修アンケートを成功させるコツ

アンケートの自由記述欄が空白の様子

研修アンケートを成功に導くには、いくつかコツがあります。具体的には、アンケートとテストを分けて実施する、設問数を調整するなどが挙げられます。回答の質を高めるため、各ポイントを押さえてアンケートを作成しましょう。ここでは研修アンケートを成功させるコツを紹介します。

理解度テストは含めない

アンケートに理解度テストを含めないことがおすすめです。研修の理解度を見るような項目があると、回答者が「評価に直結するかもしれない」と懸念を抱く可能性があるためです。アンケートはテストでも評価のためのものでもない旨を明記するなどの対策を取りましょう。

ただし研修内容を踏まえた設問は対象外です。例えば「研修の〇〇(プログラム名)は企画業務に役立つか」といった内容は、研修の振り返りに使えます。

回答しやすい設問数に調整する

設問は厳選して数が多くならないようにすることがおすすめです。設問数が多いと回答者の集中が続かず、回答の質も下がってしまうためです。

選択式の設問を10個~15個前後、自由回答の設問を5個程度に絞ります。研修アンケートとして最適なバランスを目指しましょう。バランスを確かめるため、アンケート実施前に事前に研修担当者が回答してみるのも方法のひとつです。設問を最適な数に調整しましょう。

匿名でアンケートを実施する

アンケートは匿名で実施します。回答者が誰なのか明確に分かってしまうと、本音の回答を得られない可能性があります。匿名回答にして、目的以外の用途には使わないといった主旨を伝えておくことが重要です。

ただしオンラインでアンケートを実施する際は注意しましょう。ログイン情報や履歴が残っていると、回答者を特定できてしまうためです。匿名性のあるシステムを採用するなど、研修参加者がアンケートに回答しやすいような仕組み作りが大切です。

自由記述欄に意見を書いてもらう

アンケートには自由記述欄を活用しましょう。回答者が自由に意見できる欄を設けることで、正確でより具体的な情報を集めやすくなるためです。しかし明確な意見を求められる設問が多いと回答しづらくなるリスクが高まるため、自由記述の設問数は多すぎても逆効果です。

質問文を「研修内容の問題点はどこか」ではなく、「より良い手法・プログラムはどのようなものだと考えられるか」といったニュアンスに表現を調整するなど、回答のハードルを下げる工夫をしましょう。

 

まとめ

複数のパソコンのモニターに映るデータを見ながら電話をしているビジネスマン

研修終了後にアンケートを取ることで、研修の効果や改善点が明確化します。研修参加者に次のような質問をしましょう。

  • 研修の講義時間について
  • 研修内容が理解しやすかったか
  • 研修内容が業務に役立つかどうか
  • 現在の業務や勤続年数

参加者から精度の高いアンケートを集めるためには、設問数や匿名性にこだわった形式にするなどの工夫が重要です。研修の質の向上を目指して、有用なアンケートを作成しましょう。

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