社内研修とは?研修を行う意味や種類を紹介【人事初心者向け】
人事・研修担当者向けに社内研修の目的、必要性、人が育つ研修とは、OJTとOFF-JTの違いについて解説するハウツー記事です。かみ砕いた説明で人事初心者が経験しがちな研修に関する「わからない」を解決します。
TechAcademy HRマガジンは、TechAcademyが運営するIT業界で働く人事向けのWebメディアです。人材採用支援のTechAcademyキャリアやオンラインで学べるIT・プログラミング研修も提供しています。
「社内研修といっても何をしていいのかわからない。」「本当に必要か?」など、人事になり立ての方だと疑問に思うことがあるかもしれません。
ましてや今の時代、ただ研修をしているだけでは、変化は難しく他社に乗り遅れてしまいます。
社内研修の正しい目的や必要性を認識し、自社の課題を解決できる有効な手段の1つとなるよう、人事初心者の方もなんとなく研修について知っている方も改めて学び直してみましょう。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。

今回は、人材育成に関する内容ですね!

どういう内容でしょうか?

研修を行う目的や重要性、研修の種類について詳しく説明していきますよ!

お願いします!
目次
研修とは
研修とは、知識や技術を習得するための講座を指しますが、ビジネスシーンにおいては業務遂行上必要となる知識や技術等の能力を会得するためのものを言います。
企業における研修は、大きく分けて社内で用意した研修プログラム等を実施する社内研修と、外部の専門家や企業にアウトソースして実施する外部研修に分けられます。
詳しくは以下で紹介しますが、社内研修にもいくつかの種類があります。
また、類似のものとしてセミナーが良く挙げられますが、こちらは自由意志で好きなテーマのものに参加するところに特徴があります。もちろん業務の範囲外の内容でも構いません。
研修の一環としてセミナーを活用する場合もありますが、会社が決めたテーマを習得することが義務付けられている社内研修とは区別されることが多いです。
社内研修の目的
社内研修の目的は、メンバーの能力を向上させることです。
それにより、会社は市場や顧客へ価値を提供することができ、結果的に業績をアップさせます。
まず、そのために会社は、指導者(先輩メンバー)に対して、「なぜ、この研修を行うのか。」ということを理解し、自分の役割を自覚してもらうことが必須です。
指導者自身も、能動的に、理解し、自分の役割を自覚する必要があります。
指導者が、研修の目的を理解し、自分の役割を自覚していなければ、メンバーの能力を向上させるという目的は達成されず、研修の意義はありません。
たとえば、先輩が、研修中のメンバーを単なるアシスタントとして使ってしまい、今できることだけをしてもらうということが起こります。
今できることをしてもらうのは大切ですが、新しいスキルも身につけてもらわなければなりません。
研修の意味は、メンバーを成長させることだからです。
次に、会社は研修を受けるメンバーに対して、「なぜ、研修を受けるのか。」ということを理解し、当事者である自覚をしてもらうことが必須です。
そのメンバー自身も、能動的に、目的を理解し、自覚する必要があります。
適度な緊張感を持ち、研修を受けなければ、「この時間をしのげばいいや」という無駄な時間になってしまいます。
研修を企画する側は、そうさせない工夫をし、研修を企画しなければなりません。
メンバーが、会社のために自分の能力を向上させるということは、会社にそれと同等のものをもらう必要があります。
次に、そのことについて説明します。
社内研修の重要性・必要性
会社は、1人ひとりのメンバーがスキルがアップすることを期待し、人材育成を行います。
メンバーは、スキルを身につけることでパフォーマンスが向上し、様々な価値を提供できる存在となります。
さらに責任ある業務に携わることで報酬が増加すること、昇格できるということ等を期待し、自分の能力を向上させていきます。
会社とメンバーは、win-winな関係でこそ、持続可能な関係を保つことができるのです。
メンバーは、この研修を通して何を身につけ、どのように会社の力になるのか。
会社は、会社のために能力を向上してくれるメンバーに対して、どのような力になれるのかということを考え、行動することが重要です。
会社とメンバーがwin-winであることを前提として、研修の大まかな目標は、2つあります。
- 会社のビジョン・ミッションを理解する
- スキルアップする
会社のビジョン・ミッションを理解することで、よりスキルアップが意味のあるものになります。
人が育つ研修
人が育つ研修とは、
1つ目は、メンバーが能動的に取り組める研修
2つ目は、研修終了後も研修内容を容易に思い出せるように、研修マニュアルを用意した研修です。
1.メンバーが能動的に取り組める研修
メンバーが能動的に取り組める研修にするためには、先輩が普段の業務において、部署の価値や役割をよく考え、理解し、伝えているかどうかが重要です。
先程、スキルアップのためには、会社のビジョン、ミッションを理解することが大切だということを述べました。
普段から先輩メンバーが、部署の価値や役割について考え、理解していなければ、後輩に伝えることはできません。
先輩が理解していないのに、後輩が理解できるはずがないのです。
先輩メンバーも、会社のビジョン、ミッションについて、自分の言葉で語れるまで、理解することが不可欠です。
研修というと、研修を受ける側だけが、当事者であるようなイメージがあります。
しかし、先輩も教える側の当事者です。
教える側は、教えることで、いつもと異なる視点でみることができます。
教える側も、学ぶ意識を忘れないようにしましょう。
その意識は、教わる側に必ず伝わります。
また、先輩社員が「人の価値観を深く理解することができるかどうか。」が重要です。
会社の中だけでなく、人と人との関わり合いでは、お互いの価値観を理解することは大切です。
一緒に働く仲間として、異なる価値観を理解することで気持ちよく働くことができます。
自分を理解してくれていない人に教わっても、いやな気持ちをもってしまいます。
仕事をしてお金をもらっているかぎり、公私混同をしてはいけません。
しかし、昔と比べ、独立や転職という選択肢が増えたため、辞めるという選択はしやすくなりました。
つまり、仕事の業績だけでなく、「どのような関係を築いてくのか。」ということも課題です。
先輩メンバーが自分の価値観を理解してくれていたら、モチベーションにも繋がり、能動的に仕事をすることができます。
その結果、仕事の業績も上がります。
2.研修終了後も研修内容を容易に思い出せるように、マニュアルを用意した研修
マニュアルにチェックリストが付いているものが効果的です。
チェックリストがあることで、自分の進捗状況を確認しやすくなります。
研修マニュアルは、学んだことを一過性のものにしないために役立ちます。
共同で見るマニュアルがありますが、共同のものでは家に帰って復習することができません。
共同ではなく、個人が使えるマニュアルが良いです。
指導者は、研修マニュアルを作り、そのメンバーが今の自身の課題を見えるようにします。
研修の最中・直後は、きちんと理解し、理解から実行へ簡単に移行することができます。
しかし、日常の業務に戻ると、時間が経ち、理解から実行への移行がうまくできない可能性があります。
そこで、研修マニュアルの出番です。
- 自分はなぜ、この研修を受けたのか。
- 何を学んだのか
- 難易度が高かったことは何か
- うまくいったことは何か
を数枚の紙を見るだけで、認識する事ができます。
指導者にとっても、研修マニュアルがあることで、自分が教えたことをどこまで理解しているのか、苦手なことは何か、ということを把握でき、指導の課題を見つけられます。
マニュアルがあることで、課題が見えるということは、道に迷ったときの指針になる重要なものです。
難しい問題も、基本的な問題の集まりです。
「困難は分割せよ」という言葉があります。
できないという問題をより細かく分解し、その中で、できること・できないことに分別します。
そうすることで、案外、難しい問題ではないということが分かり、問題解決のハードルも下がるでしょう。
研修マニュアルにより、メンバー自身の課題が明確になります。
それを1つ1つ解決していくことが重要です。
これはこの研修だけに通じることではありません。
「頭の中でやっていることを見える化し、実行する。」というプロセスは、日常業務でも使えます。思考の必要ないことは、紙(タブレットなどもあります)を見るだけで、迷わず実行できるようにします。
そうすることで、自分の頭の中を整理し、考えるべきことをはっきりさせることができます。
職種によって、どの程度マニュアル化するのかは変わりますが、分かりやすい例があります。
あるドラックストアでは、業務マニュアルで時間単位のto doリストを作成することで、効率的に業務をすることを可能にしました。
単純作業のマニュアル化ですが、やるべきことに迷うことなくできるという所は、参考になるでしょう。
研修を行う上で気をつけたいポイント
ただ漠然と研修を行っても、会社にとってあまりメリットにはなりません。
ここでは、研修を行うにあたって意識しておきたいポイントについて解説します。
適度な厳しさも必要
新入社員研修にて新人に社会の厳しさを教えることは勿論、現任の社員に対する研修において、知った者同士による馴れ合いにならないよう、ある程度厳しさをもって研修を実施することが重要です。
研修は結果に繋げるために行うものであり、レクリエーションではないことを認識しておきましょう。
研修が難しすぎないか?
社員の成長のために行う研修ですが、現在のレベルとあまりにかけ離れた高難易度の研修や、あまりにも高すぎる目標設定はNGです。
理解できないことがあるのはもちろん、社員が尻込みしたりやる気をなくしたりする原因となり、効果が上がらない研修となってしまいます。
少し手を伸ばせば届きそうな、現在のステージに合った難易度の研修プログラムを用意することが大切です。
モチベーションを高める工夫も必要
いくら内容が優れた研修を実施しても、社員のモチベーションが低いと成果に繋がりません。
会社のベネフィットばかりではなく、社員に自分が成長することの喜びやすばらしさ、その後に見えるビジョンなど、研修中は勿論その後も高いモチベーションを保てる工夫が必要です。
研修の種類(OJT、OFF-JT)
一言に研修と言っても、いくつかの種類があります。
目標設定や見出した課題によって、適した研修は違ってきますので、一概にどの手法が良いとは言い切れません。
以下に主な研修手法をご紹介しておりますので、どのような手法があるか把握してみて下さい。
1つ目は、OJT研修(On the jobTraining)職場内訓練のことで、日常業務の中で行います。
2つ目は、OFFJT研修(Off the job Training)職場外訓練のことで、集合研修などが行われます。
外部の講師を招く場合もあります。
OFFJTは、「階層別研修」と「職種別研修」があります。
階層別研修
「階層別研修」は、年齢や役職によって必要な知識・能力を身につける研修です。
例えば、次のようなものです。
新入社員研修
- 会社の経営理念
- 安全衛生、就業規則などのルール
- 職場でのエチケット、ビジネスマナー etc…
中堅社員研修
- 中堅メンバーとしての役割について
- 後輩への指導の考え方や方法 etc…
管理職研修
- 業績管理の考え方や方法
- 職場での就業管理の方法
- 職場でのコミュニケーションの考え方
- 職場でのリーダーシップの考え方 etc…
職種別研修
企業には様々なポジションの人材が勤務しているため、それぞれの職位ごとの職務能力を鍛える研修は、職種別に行われます。
例えば、営業社員に対しては「営業研修」、エンジニアに対しては「技術者向け研修」、事務職・経理職に対しては「バックオフィス向け研修」等です。
ノウハウが確立されていれば自社内製の研修を行いますが、社内には無い新たなノウハウを求める場合は、外部の企業に委任したり、講師を招いたりする場合もあります。
OFF-JTの分類は上記の通りですが、実際の企業においては更に細分化して上記を組み合わせて実施する必要があります。例えば以下のようなイメージです。
営業研修(職種別研修の実施)を行う場合
・新人営業マン育成研修(新入社員対象)
・提案力・信頼関係構築力強化研修(中堅社員対象)
・営業戦略研修(上級社員対象)
また、自己啓発というものもあります。
「OJT」「OFFJT」は、会社が主催する研修であるのに対して、自己啓発は個人が自主的にスキルアップを行うものです。
たとえば、自分のプライベートの時間に自己啓発本を読んだりすることです。
別の企業が開催しているセミナーに参加することも自己啓発です。
通信教育などでは、会社がその費用の一部を負担してくれることもあります。
スキルアップを支援してメンバーのエンプロイアビリティを高めることは、会社のためにもなります。
会社もメンバーも、お互いに支援し合うことが重要です。
研修を実施する流れ
ここでは、研修を行うにあたっての手順を解説します。
効果的な研修を実施するためにも、それぞれのステップを確認してみて下さい。
研修の目的を設定する
営業成績を上げたいのか、コミュニケーション能力を高めたいのか、社員のモチベーションを上げたいのか、特有の技能を向上させたいのか等、まずは具体的な研修の目的を決めることが重要です。
明確であればあるほど、どのような研修を実施すれば望む結果が得られるかが見えてきます。
課題を見つける
目的が決まったら、さらに実務やスタッフを分析して、「何が足りていないか」「何を充足すればもっと良くなるか」「誰に対して研修を実施するか」等、更に細かくチェックしていきます。
これには以下のような考え方をするとわかりやすいと思います。
例
As is(現在の状態)
新入社員がひとりだとどのように営業を行えば良いかわからない
To Be(理想の状態)
ターゲッティングからクロージングまで、セールスプロセスの全体像を教える
上記の間にあるのを「ギャップ」と呼び、これこそが研修の課題となります。現状とゴールを先に設定してみると、自然と見えてきますのでオススメです。
研修プログラムを選定する
ギャップを埋めるための研修プログラムを選定します。自社で蓄積したノウハウがあれば使用できますし、無ければ既存の研修プログラムに改変を加えます。
アウトソースを行った方が効果的である場合もあります。どのような研修を行えば課題を解決できるかをよく精査して、研修プログラムを決定します。
研修の実施と理解度の確認
研修を実施すると同時に行うべきは、参加したメンバーの理解度の確認です。
実施した研修プログラムが適切であったか、理解度不足ならフォローアップ研修の実施も検討します。
研修後の効果測定
研修を実施すれば終わりではありません。実務に活かしてこそ意義があります。参加したメンバーがどの程度研修の成果を出せているかを検証・評価します。
これらを蓄積して自社のノウハウとして、今後の研修内容や実施方法に役立てていきます。
監修してくれた方
田上 敏光
キラメックス株式会社 ビジネス事業部 人材系企業で採用支援・人材育成事業・toB向けクラウドサービス事業に従事。 その後、「弁護士ドットコム株式会社」にて新規事業の企画立案・運用に携わる。 現在は、キラメックス株式会社にてプログラミング教育を通して「個の選択肢、可能性を広げること」「新たなキャリアに伴走すること」をミッションとし法人向けに「IT人材採用支援」および「IT研修」を担当している。 |

内容分かりやすくて良かったです!

田島君も、今日から実践して組織づくりに役立てましょう!

分かりました。ありがとうございます!
TechAcademyでは、従来の講義型研修とは違い、実務を想定したカリキュラムで実践的スキルを短期間で確実に身につけられる法人向けオンラインIT・プログラミング研修を展開しています。
1名〜数百名規模・業界を問わず、500社以上の企業様の研修を実施しています。 受講生一人ひとりに現役エンジニアのメンターが付き、皆様のニーズにあったサポートを行います。学習時の「わからない」を確実に解消いたします。
また、人事、研修担当者向けのセミナーをオンラインで定期的に開催をしています。
最新の実施予定は下記詳細ページからご確認ください!