新入社員研修の目的とは?必要なカリキュラムと効果を高めるポイントを解説
「新入社員研修」は新入社員にとって社会人生活のスタートとなる研修です。研修の目的設計を誤ってしまうと、配属後に新入社員がキャズムを感じてしまい、早期退職リスクを高めてしまう可能性があります。このようなことが起きないよう、研修の目的設計の方法と必要なカリキュラムの例、新入社員研修の効果を高めるポイントをご紹介します。
新入社員研修は、新入社員の社会人生活のスタートとなる研修です。新入社員研修の目的設計や研修内容の企画、実施内容・運営方法がミスマッチなものであった場合、新入社員に違和感を与えてしまい早期退職のリスクを高めてしまう可能性があります。
そのようなことが起きないよう、この記事では、新入社員研修の目的と必要なカリキュラム、新入社員研修の効果を高めるためのポイントを紹介するとともに、研修を実施する流れや効果検証の方法についても解説します。
目次
- 新入社員研修を実施する目的
- 新入社員研修とフォローアップ研修の違いは?
- 新入社員研修のカリキュラム例
- デザイナーやエンジニアの場合は?新入社員研修カリキュラム例
- 新入社員研修で取り入れたい6つのプログラム
- 新入社員研修カリキュラムで重視したい点
- 新入社員研修を実施する流れ
- 新入社員研修の効果検証方法
- 新入社員研修を成功させるポイント
- 新入社員研修を外部に依頼したほうがいいケース
- まとめ
新入社員研修を実施する目的
新入社員研修は、事業理解やビジネスマナーなどの社会人として必須の知識を学ぶだけではなく、会社への帰属意識を高めたり、情報漏洩リスクを低下させるといった役割も持ちます。ここでは、これらの新入社員研修の目的を7つ解説します。せっかく研修の場を設けるのであれば、1つの目的に向けた研修ではなく、2~3つの目的を据えた研修を企画することがお奨めです。
自社の事業を理解する
自社がどのような事業を行っているのか理解してもらうことは重要です。多くの企業で入社前に事業内容の説明を行いますが、自社がどのような理念・ビジョンに基づいてサービスを提供しているのかなどを改めて学んでもらうことが望ましいです。
特に自社の理念・ビジョンの共有は欠かせません。理念・ビジョンの認識がそろっていないと社内文化になじめず、新入社員が孤立してしまうリスクが高くなります。
そのため、理念・ビジョンは入社後に改めてインプットしてもらい、スムーズに社内文化に溶け込めるようにするとともに、それを通じて自社の事業についての理解を深めてもらいましょう。
社会人としてのマナーを身につける
社会人としての立ち振る舞い・マナーのインプットは多くの企業で新入社員研修の目的の1つとして据えられる事柄です。社会人としての基本的な作法を知っておかないと、お客様をはじめとした社外の人に不快感を与えてしまうリスクが高まります。
特に、社外での立ち振る舞い・マナーはしっかりとインプットしてもらうことがお奨めです。
例えば、飲食店などで自社やお客様の社名を出して愚痴などを言ってしまうと、それを聞いた人がSNSに投稿してしまうリスクがあります。
仮に自社の社員が、自社の愚痴を言っていたことをSNSで投稿されてしまうと、翌年の採用応募者数が減ってしまうといったことにつながりかねません。
そのため、社会人としての最低限の立ち振る舞い・マナーは入社後すぐに身に着けてもらうことが望ましいです。
実務で必要なスキルを習得する
業務で求められる知識やスキルの習得を目的に据えるケースもあります。特に、エンジニアやデザイナーなど、専門性の高い業務に従事してもらう場合は実践的な知識・スキルが必須になります。早期に戦力化するために、新入社員研修で実務能力をインプットしてもらいましょう。
また、実践的なスキルの習得は、実務に入る前の精神的なハードルを下げる効果もあります。実践的なスキルの習得を通じて、どのような業務の・どの水準のアウトプットが期待されているのかが事前に把握できるため、新入社員自身が配属後の業務を具体的にイメージできるようになります。
社内の人脈を形成する
新入社員同士はもちろん、先輩社員や上司と交流する場を設けて社内の人脈形成を促進することを新入社員研修の目的として据えるケースもあります。 例えば、各支社・各部署に配属する前に本社で一斉に新入社員研修を行うことで、同期間で仲間意識が芽生え、帰属意識が芽生えやすくなります。
また、先輩社員や上司と交流する場を設けて仕事の悩みを相談できる相手を見つけてもらうことで、仕事に躓いてしまった場合にサポートできる体制を構築できます。
業務に必要な連絡を徹底する
業務に関係する連絡は細かく取る必要があります。仕事はひとりで完結するものばかりではなく、連携を取りながら進める場合が多いためです。細かな連絡は、ミスやトラブルを避ける上で欠かせません。
例えば商品の発注時に連絡ミスが生じることで、在庫の大幅な余りや不要なコストの発生が懸念されます。業務を適切に進めるためにも報連相の大切さを伝え、実行してもらえるように促しましょう。
情報漏えいのトラブルを防止する
新入社員研修では、情報漏えい事故を未然に防止するための教育も重要です。実務では企業の重要な資産である機密情報・個人情報を取り扱いますが、フィッシングやマルウェア感染といったさまざまな情報セキュリティ上のリスクにさらされており、情報資産の管理は全ての企業にとって必須といえます。
新人が公私混同しがちな学生の感覚のままデバイスやクラウドを利用すると、人的要因による情報漏えいを起こし、損害賠償や風評被害につながりかねません。社会人としての情報の取り扱いを学ばせて、シャドーITやSNSでの機密情報の開示を防止する必要があります。
早期戦力化を促す
多くの企業にとって人材不足の解消は喫緊の課題で、新入社員を早期戦力化して経営上または現場の課題を解決することが重要です。しかし、実務で使用するシステムやワークフローは企業によってさまざまで、学生時代に学んだ内容が実務に直結するとは限りません。現場のチームワークに慣れて、機材やスキルを使いこなし、ポテンシャルを発揮するための教育が必要です。
また、配属先で仕事についていけないと、「この企業は自分に合わない」と感じる恐れもあります。新入社員研修で実践的なスキルやマナー、マインドセットを習得することで、早い段階で成功体験を積みやすくなり、早期離職を防止する効果も期待できるでしょう。
新入社員研修とフォローアップ研修の違いは?
企業によっては新入社員研修に加えて、新入社員フォローアップ研修も実施します。新入社員研修だけで全てを伝えるのは難しい場合、一定期間後のフォローアップ研修を含めて、段階的・長期的な研修計画を立てるのが効果的です。ここでは、フォローアップ研修について解説します。
新入社員フォローアップ研修とは?
新入社員フォローアップ研修とは、新入社員研修から一定期間後に、学んだ内容の整理や課題・改善点の確認を行う研修です。フォローアップ研修には若手社員向けや中堅社員向けなど、年次に応じた内容のものがありますが、フォローアップ研修は新入社員研修とセットで計画します。
最初の研修で学んだ知識・スキルを現場でどのように活かせているか、成功体験や失敗体験を振り返り、これから獲得したい知識・スキルや具体的な行動目標を設定する内容です。同期がお互いの成長を確認することで向上心につながるのはもちろん、悩みやストレスを共有することでメンタルフォローにもなります。また、PDCAサイクルを身につける研修という側面もあります。
新入社員研修との違い
新入社員研修は、新入社員が自社の事業理解を深め、実務に必要な知識・スキルを習得するための研修です。入社してすぐに実施するのが一般的ですが、企業によっては入社前の準備として実施することもあります。採用面接で読み取れなかった新入社員の能力や適性をより詳細に把握し、キャリアプランの大筋や配属先を判断するという意味でも重要な研修です。
新入社員研修は「スタートラインに立つための研修」、新入社員フォローアップ研修は「次のステップに進むための研修」といえます。新入社員研修で3か月後・半年後・1年後の目標を立てて、新入社員フォローアップ研修で目標達成度を振り返ることで、より現実的なキャリアプランを描けるでしょう。
新入社員研修のカリキュラム例
新入社員研修には、ビジネスマナー研修やビジネス文書を作成する研修など、さまざまなカリキュラムがあります。新入社員に身につけてほしい知識やスキルが定まれば、選ぶべきカリキュラムも絞れてくるでしょう。ここでは新入社員研修のカリキュラム例を紹介します。
ビジネスマナー研修
新入社員が最初に受ける研修のひとつに、ビジネスマナー研修があります。学生と社会人のギャップを埋める最初の一歩として受ける研修で、ビジネスシーンで求められる常識を早い段階で身につけてもらうことが目的です。
あいさつや名刺の渡し方、電話の取次ぎの仕方などを中心に作法の基礎を学びます。会社の一員であるという意識を持ってもらえるよう、丁寧な指導を心がけましょう。
コンプライアンス研修
コンプライアンス研修とは、法律・倫理観などの社会規範や経営理念・就業規則といった社内ルールに反することなく、社員一人ひとりが公正・公平に業務遂行するための研修です。
社員のコンプライアンス意識が欠如していると、品質基準を満たさないことを知りながら隠ぺいするといった不正な業務遂行が生じ、後々大きな問題に発展する恐れがあります。粉飾決算やハラスメント、情報漏えいのような経営リスクを下げるには、新入社員研修の段階で正しいコンプライアンス意識を浸透させることが重要です。
ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修を通じて、課題解決力を養います。物事を論理的に考える練習を積むことで、業務の優先度付けができるようになったり、プレゼンなどの場で話に説得力を持たせることができたりします。
例えば営業職に就き取引先に提案する際、論理的な提案ができれば成約率の向上が期待できます。商品購入のベネフィットやサービスを導入すべき理由などを順序立てて説明することで、顧客により理解をしてもらえる可能性があります。
ビジネス文書研修
資料作成のスキルを磨くため、ビジネス文書研修を導入する場合があります。新入社員には「学生のレポートとビジネスレポートは異なる」という観点で指導することが重要です。
具体的には読み手に意図を伝えるための論理的な文章の書き方や、適切な言葉の選び方を学びます。社内外問わず、誰が読んでも誤解のない資料を作るスキルの習得が目標です。
ビジネスプレゼン研修
企画やコンサルタントなど、職種によってはプレゼンテーションを実施する機会が多くあります。ビジネスプレゼン研修を通じて、伝え方だけでなく、相手に与える印象など、プレゼンテーションの基礎を学習します。
すぐに身につくスキルではありませんが、長期的に見ると企業にとって利益となるため、投資的な目線で研修を実施するのも選択肢のひとつです。
デザイナーやエンジニアの場合は?新入社員研修カリキュラム例
WebデザイナーやITエンジニアの場合、ヒューマンスキルだけでなく、専門分野に応じたテクニカルスキルを学べる導入研修も重要です。新入社員向けの基礎的なIT研修として、Web制作研修やWordPress運用研修、ITリテラシー研修が挙げられます。
Web制作研修
Web制作研修は、Webサイトの企画・設計・デザインやコーディングを学べる研修です。バナー・LP(ランディングページ)・オリジナルサイトの作成や、既存Webサイトの更新・運用に対応できるデザイナーの育成に活用できます。カリキュラム例は以下の通りです。
- レイアウトや配色といったデザインの基礎
- 画像加工やバナー・Webサイトのデザイン
- UI/UXデザインやプロトタイプ作成
- HTML・CSSやJavaScriptによるWebサイトのコーディング
研修会社によってカリキュラムは異なりますが、基本的に実習を通じて実践力を身につけ、自社Webサイトの内製化に対応できることを目指します。
WordPress運用研修
WebサイトをWordPressで運用している企業の場合、WordPress運用研修もおすすめです。WordPressに特化した研修で、WordPressによるWebサイトの構築・運用を幅広く学べます。カリキュラム例は以下の通りです。
- WordPressの開発環境の準備
- ブロックエディターでの編集といった基本操作
- オリジナルテーマの作成やCSSカスタマイズ
- プラグインの導入方法
- PHPの基礎
ITリテラシー研修
ITリテラシー研修は、ネットワークやプログラムなど、ITに関する基礎知識を幅広く学ぶための研修です。WebデザイナーやITエンジニアの必須知識として、以下の内容を学習できます。
- Webサイトやインターネットの仕組み
- OS・アプリ・アルゴリズムといったプログラムの基礎知識
- データベースやサーバの仕組み
- クラウド・IoT・AIのような最新テクノロジー
- インターネットビジネスの開発フローや業種
カリキュラムによってはHTML・CSSやPHP、SQLを使い、簡単なコーディングを通じて学習を進めます。
新入社員研修で取り入れたい6つのプログラム
研修スタイルには、社内で実施するOJTや外部で開催するOFF-JTなど多種多様なプログラムがあります。社員の育成方針や自社の状況に応じて、適切なプログラムを選択しましょう。ここでは新入社員研修で取り入れたい5つのプログラムを紹介します。
OJT
OJTは社内で実施する研修形態です。自社社員による指導が中心のため、新入社員にとって精神面で負担が少ないといったメリットがあります。自社での業務に直結する内容を指導できるため、自由度の高い育成が実現するのも特徴のひとつです。
一方で、育成担当者に負担がかかる点には注意しましょう。通常業務に加えて、研修カリキュラムの作成やスケジュール調整といった業務が追加されます。社内の状況を加味して、実施を検討するのがおすすめです。
OFF-JT
社外で実施する研修にOFF-JTがあります。研修を外部に委託することで研修担当者の負荷を減らせるだけでなく、ビジネスマナーやパソコンの基礎知識などを効率的に学べるのが特徴です。
ただし研修を依頼する企業や講師は、十分な調査の上で決定しましょう。過去の実績などを参考に信頼できる企業・講師を見つける必要があります。研修効果を最大化するためにも、入念なリサーチが欠かせません。
ケーススタディ
ケーススタディは、実務を想定した研修です。実際の業務ではさまざまなトラブルや緊急の対応が求められ、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。
ケーススタディで一度経験を積んでおけば、実務で同様の場面に遭遇しても冷静に対処できます。その時々の最善策を講じる練習に適しているため、積極的に導入するのがおすすめです。
グループワーク
グループワークは、複数人でディスカッションや共同制作の課題に挑みます。適切なコミュニケーションやチームワークなど、ひとりでは身につけられないスキルの習得が目的です。
実務においてもチームで仕事に取り組むケースは多くあります。メンバーのリソースや作業状況も把握しつつ、自分がどのように立ち回るのがベストか考える機会としても役立つプログラムです。
実践
WebデザイナーやITエンジニアのような専門職の場合、実務さながらの演習で業務を体系的に学習する研修も重要です。例えば、経験の浅いインフラエンジニア向けに、顧客への提案から環境構築、トラブル対応まで実務の流れに沿って演習を行う研修があります。演習の流れは以下の通りです。
- 顧客要件に対するシステム提案
- 要件定義書・設計書・構成図など各種ドキュメントの読み込み
- サーバやネットワークの設計と構築
- トラブルシューティング
現役エンジニアやエンジニア経験者が講師としてレクチャーしつつ、開発現場で求められる実践的なスキルと業務作法を学びます。
メンターのサポート
研修中に先輩社員が新入社員のパートナーとして学びをサポートする制度があります。研修で発生する質疑対応はもちろん、悩みを相談する相手としてもメンターの存在は非常に重要です。
特に新入社員の時期には不安や疑問を多く抱えています。解消されないまま研修を終えてしまうと、その後の業務に支障をきたすかもしれません。研修後も安定したパフォーマンスを発揮するためには、メンターによる精神面のサポートが不可欠です。
新入社員研修カリキュラムで重視したい点
新入社員研修のカリキュラムでは「読み・書き・話す・考える」の4技能を養うことが重要です。自社の新入社員に求めるスキルを明確にすることで、最適なカリキュラムが組めます。
例えばコミュニケーションが苦手な社員の場合、スピーチやディベートといったプログラムを組み込むことがおすすめです。メンバーと議論を交わすなど、積極的にコミュニケーションを取る練習を積めば実務にも生かせます。社員の性格を理解する中で、4技能のうち特にどのスキルを磨くのが最適解か検討しましょう。
WebデザイナーやITエンジニアは、専門分野のスキルセットも学ぶ必要があります。ただし、新入社員のスキルや理解度にはバラつきがあるため、画一的な研修内容では配属先から納得されないこともあるでしょう。一人ひとりのレベルや理解度に合わせた研修を行うことが大切です。
新入社員研修を実施する流れ
新入社員研修を実施する際は、企画の立案や研修内容の策定、概要の案内が必要です。研修を実施すること自体が目的になると失敗する恐れがあるため、研修後の振り返りや課題抽出、フォローについてもよく検討しましょう。ここでは、研修実施の流れを6ステップで解説します。
1.企画の立案
新入社員研修は、人的資本経営の方針といった経営判断に基づき、長期的な人材育成計画のスタートラインとして実施します。経営層の考えや現場のニーズをヒアリングし、どのような人材を育成したいかを明らかにした上で、企業の成長につながる企画を立案することが重要です。
現場で使用するツールや新人に期待するレベルのミスマッチがないように、今後の事業展開も踏まえて実務に必要な知識・スキルを洗い出しましょう。こういった基礎的な情報をもとに、方向性や規模、期間の大枠を企画します。
2.内容の策定
企画に基づいて研修形態や手法を決め、研修項目を策定します。事業内容や教育する知識・スキルによって、最適な研修スタイルはOJTかOFF-JTか、e-ラーニングを採用したほうがよいかといった判断は変わるでしょう。
内容が高度過ぎると、新入社員は入社早々に「研修についていけない」といったネガティブな体験をし、早期退職を選ぶ恐れがあります。受講者の知識・スキルを事前にできる限り把握し、個々のレベルに合わせて無理なく受講できるカリキュラムを策定しましょう。
3.研修の案内
研修の予定が固まったら、新入社員に研修の案内を送付しましょう。研修日時・会場・講師・内容と併せて、事前準備が必要な項目をメールや社内ポータルを通じて伝えます。
新入社員が自発的に取り組まないと高い研修効果は期待できないため、研修の目的や実務・キャリアパスとの関わりを伝え、意欲を刺激することも大切です。なお、現場のエンジニアが講師や教育担当者になる場合、業務進捗に影響が出ることも考えられます。受講者だけでなく現場の理解も得ておきましょう。
4.研修の実施
策定した内容に沿って研修を実施しましょう。淡々とスケジュール通りに進めると、一部の受講者のつまずきや疑問に気付かず、理解度にバラつきが出ることがあります。受講者の反応を注意深く観察し、必要に応じて個別フォローやペース調整を行いましょう。
つまずきや疑問を解消するために、質疑応答の時間を設けることもポイントです。研修中の雰囲気や進行状況を記録すると、研修後の効果測定や改善計画に役立ちます。講師や教育担当者は研修をスムーズに実施できるように、フォロー方法も含めて事前準備をしておきましょう。
5.研修の振り返り
研修直後の振り返りは、学習内容の定着率に影響します。アンケート調査やグループディスカッション、個別インタビューを行い、研修内容を復習させて定着率を上げると同時に、理解度を測りましょう。
研修の満足度が低ければ、次回は改善する必要があります。振り返りの内容から研修の成果や受講者の反応、講師・研修の評価や改善点をまとめ、報告書を作成しましょう。社内ポータルで情報共有し、他の社員の学習意欲を刺激するのもおすすめです。
6.課題の抽出とフォロー
研修後は受講者自身が今後の課題を抽出し、学んだ内容を生かして何を達成するかといったアクションプランを作成します。
研修効果が実務に反映されるかどうかは、配属後の継続的な観察・評価がなければ把握できません。受講者自身で目標達成度を随時確認するとともに、教育担当者が経過観察することも求められます。
成功体験や失敗体験を蓄積して課題が浮き彫りになる半年後や1年後のタイミングで、フォローアップ研修を実施するのもひとつの方法です。
新入社員研修の効果検証方法
新入社員研修は、実施後に効果を測定する必要があります。研修でどれほどの知識が身についたのか、どのように業務に生かされているのかを判定するためです。アンケートや定着度テスト、面談などを通じて研修の効果を確認し、振り返りを行いましょう。ここでは新入社員研修の効果検証方法を解説します。
研修後のアンケート
研修後にアンケートを取ることで、研修の効果を測定します。受講した社員の満足度や研修の難易度、講師の指導方法やカリキュラムの質などを評価してもらい、次回以降の参考資料にするためです。
効果の高い研修が実施できれば自社での人材育成のフローが確立でき、中長期で見れば人事コストにも良い影響となります。参加者から率直な意見・感想をもらえるようにアンケートの取り方などにも工夫や配慮をしましょう。
定着度測定テスト
研修の進捗に応じて、定着度を測るテストを実施しましょう。特に英語や簿記などを学ぶ研修では有用な手段です。
効果を一過性のものにしないためにも、研修終了後2か月~3か月を目安に再度定着度を測定しましょう。学習したその時は記憶が新しいため覚えていることでも、少し時間が経てば忘れてしまうものです。本当に身についているのか知るためには、定期的な定着度測定テストの実施が欠かせません。
日々の実務を通じて効果を確認
配属先での業務状況を見る中で、研修効果を確認する方法もあります。定期的なヒアリングを重ねつつ、学びの定着度を確認します。
評価のポイントは、数字を使って定量的に実績を示すことです。成約数や開発状況の進捗などを視覚化することで、研修前後の違いを比べられます。グラフや表で変化を見やすくしておけば、研修参加者のモチベーション向上にもつながるでしょう。
業務実績や勤務態度などを参考に判断
研修後の業務実績や勤務態度などでも研修の成果を判断できます。長期的な研修の効果測定に適しており、半年〜1年程度の期間でどれほど実績を残せたのかなどを確認します。
長期間に及ぶ調査によって、必要な研修と不要な研修の精査が可能です。勤務態度やノルマ達成率などを項目別に確認することで、研修実施との相関関係を可視化できます。効果の高い研修を実施できたのか調べる際に役立つ方法です。
新入社員研修を成功させる5つのポイント
企画する側が満足するだけの研修や漫然と繰り返すだけの研修は避けましょう。経営判断や現場のニーズに即した「その年度に必要な新入社員研修」を企画し、受講者一人ひとりの成長を促すことが求められます。そのためには、ここで解説する5つのポイントを押さえることが大切です。
研修で得たい成果を明確にする
「誰に」「何のために」「何の」研修をするのかを明確にし、研修で得たい成果をはっきりとさせるのがポイントです。
ビジネスを取り巻く環境は変化し続けるため、過去に実施した新入社員研修の繰り返しが最適解とは限りません。著名な研修会社が提供する人気の研修カリキュラムでも、自社の目的には応えられないこともあります。
事業展開の方向性や現場の課題をすり合わせ、どのようなインプットをさせるべきなのかを明確にし、そこに向けた研修を毎年新たに企画/実施することが大切です。
最適な研修形式を選ぶ
研修の目的や内容に応じて最適な研修形式を選ぶこともポイントです。例えば、社内人脈形成やグループワークを重視したい場合は、オフライン(対面)が向いているでしょう。
一方、オンライン研修は繰り返し学習に対応しやすく、デザインやプログラミングの基本知識・スキルの習得に向いています。学習の進捗や理解度をデータ化でき、研修の成果や課題を客観的に把握しやすいことも利点です。
フルリモート勤務者が多い場合、オンラインで情報をやりとりする感覚をつかむために、実際の開発体制と同じ研修形式を選ぶのもよいでしょう。
タイミングや優先度を考慮する
効果的な新入社員研修を企画しようとすると、内容が際限なく増えることもあるでしょう。しかし、研修にかけられる時間は有限で、新入社員のキャパシティにも限界があります。内容を詰め込み過ぎると脱落者が出る恐れがあり、断片的な理解にとどまると実務に反映されません。
インプットしてほしい事柄の優先度を決め、どのタイミングで学習してもらうかを考慮することが大切です。例えば、導入研修でネットワークやプログラムの基礎知識を教え、要素技術はe-ラーニングで継続的に学習を進めます。ある程度実務に慣れたタイミングでフォローアップ研修を行うことで、次のステップに進むための知識・スキルを獲得しやすくするという流れが挙げられます。
インプットだけで終わらせない
インプットだけの研修は知識・スキルの定着率が低く、概念の理解にとどまると、実務と直接関係ある知識かどうか分かりにくいでしょう。
特に、ITエンジニアやWebデザイナーは学んだことを実践し、アプリやWebサイトといった形にする仕事です。アウトプットも兼ねた研修なら手を動かしながら学べるため、効率的な処理のコツやミスしがちな部分、理解が浅い点に研修中に気付けます。
実務を開始してからトライアンドエラーを繰り返すのではなく、研修の時点で実務を想定した演習を取り入れ、実践的な方法論を学ばせるとよいでしょう。
フォローできる体制を整える
研修後のフォロー体制も重要です。一度の研修では知識・スキルの定着率が低く、そのまま実務に入ると「よくあるミス」を頻発する恐れがあります。また、新入社員は新しい環境の中でさまざまな悩みを抱えるため、適切な対処ができないと早期退職のリスクが高まります。
定期的な振り返りの機会を設ける他、メンター制度を取り入れるといったフォロー体制の構築が重要です。職務上の指導だけでなく、社内の人間関係やキャリアプランも相談できる気兼ねなく頼れる存在を配置することを検討しましょう。
新入社員研修を外部に依頼したほうがいいケース
研修の目的や社内の状況によっては、外部への依頼も検討しましょう。人的リソースに制限がある場合や即効性のある研修を望む場合、外部の研修プログラムを利用するのも方法のひとつです。ここでは新入社員研修を外部に依頼したほうがいいケースを紹介します。
講師を担当する社員や担当者の負担を減らしたい
社内で研修を実施する場合、自社社員が講師を務めるケースが多いです。そのため、通常業務と並行して研修実施に向けた準備にも多くの時間を割く必要があります。
担当者の業務量が多くなりすぎる場合は、チームで役割分担をするなどの協力体制を構築するのも大切ですが、外部から講師を招くことや研修企業のプログラムを活用することも一案です。
効果のある研修を行いたい
自社で研修を実施する際、研修内容の質や講師担当の社員の指導力に不安を覚える場合があります。高い指導力のもとで学習の機会を提供したい場合は、外部に研修を依頼するのが最適です。
研修企業を選ぶ際は実績を確認し、自社の育成方針に適したプログラムから実施する研修を選びましょう。事業内容やビジョンと親和性のある研修ほど、高い効果が望めます。
専門的な知識を必要とする研修を行いたい
WebデザイナーやITエンジニアなど、専門的な知識が必要な人材に向けた研修の場合、IT研修に強みのある研修会社に依頼することをおすすめします。
新入社員にIT分野のスキルセットを学ばせるには、テックアカデミーの研修が効果的です。ニーズに合わせたオーダーメイド研修を設計し、研修後の効果測定まで一貫してサポートします。
現役のエンジニアとして最新のスキルをインプットし続けている講師がマンツーマンでサポートし、一人ひとりのレベルに合わせてITスキルとヒューマンスキルを習得できます。配属先の担当部署も納得する「自走できるエンジニア」を育成できるのが魅力です。
まとめ
新入社員研修は、人材育成計画のスタートラインに立つことを目的とした研修です。学ばせたい内容は多岐にわたりますが、研修設計を誤ると現場のニーズに応えられないだけでなく、新人の早期退職リスクを高める恐れがあります。
一人ひとりに最適化した研修を行い、メンター制度を取り入れるなど、フォロー体制を整えることも大切です。特に、自社人材で対応しにくいデザイン領域やプログラミング領域の研修の場合、IT研修に強みのある研修会社の利用も検討しましょう。
テックアカデミーIT研修のご紹介
テックアカデミー(TechAcademy)は、日本e-Learning大賞プログラミング教育特別部門賞を受賞している、オンラインIT研修です。
技術スキルのみ学ぶのではなく、「主体的に考える力」「質問力」と言った学びに向かう姿勢の獲得を大切にしており、「未経験者でも自走できるエンジニアへ」成長させることを目指します。
研修でこんなお悩みはありませんか?
人材育成のご担当者様にお聞きすると、
- 研修設計時に関するお悩み
- 研修運営中に関するお悩み
- 研修後の振り返りに関するお悩み
上記のような悩みを抱えている企業様が多くいらっしゃいます。
これらの人材育成に関するお悩みを、テックアカデミーは解決いたします。
離脱者を出さない!マンツーマンによる徹底サポート
受講生一人一人にメンターが付き、その方の理解度に合わせたサポートを行います。
集合型研修では拾いきれない、未経験者が学習時に感じる「不安」や「挫折」を確実に解消いたします。
進捗の速い受講生には、配属後の活躍を見据えた指導も行います。
研修効果の可視化が難しく、配属先と振り返りができない
研修を実施した結果、スキル・性格面がどのように成長したのか?振り返りに必要な情報を、受講評価レポートと、スキルチェックツールで一人一人を可視化いたします。
受講中の進捗や、担当メンターとのメンタリング内容を確認できるマネジメントシステムもございますので、研修中の様子もモニタリングすることが可能です。
配属先が求めるエンジニアを育てるなら、テックアカデミー
テックアカデミーではこれまで900社以上でエンジニア・IT人材の育成をサポートして参りました。
資料請求はもちろん、IT人材の育成に関するお悩みの相談会も行っておりますので、まずはお気軽にホームページをご覧くださいませ。
テックアカデミーIT研修
お電話でのお問い合わせ 03-6822-9093 (平日10:00~18:00)