【人材育成の7つの課題】解決策と効果的な人材の育成方法も紹介

人材育成を実施する上でどのような課題があるか、またその解決策について理解を深めたい方もいるでしょう。人材育成でよく起こりがちな課題と、課題を解決するためのポイントを解説します。自社の人材育成に役立ててください。

人材育成とは、企業の経営方針に沿って目標の達成や成長に寄与できる社員を育てることです。人材育成は企業価値向上や「人材から選ばれる企業」になるために重要な活動ですが、実施に当たってさまざまな課題を抱えることが多いです。人材育成を円滑に進めるために、課題と解決策について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。

人材育成で起こりがちな課題と解決策を把握することで、より効果的な育成が実施できるようになります。この記事では、人材育成の課題と重要性、解決策・育成手法や指導者に対する育成についてご紹介します。

 

目次

 

人材育成で企業が抱えがちな7つの課題

ノートPCに向かって一様に顎に手を当て思い悩む3人の男女

技術進歩が目覚ましい現代では、学ぶことに積極的で変化にも柔軟に対応できる人材が求められています。企業にとって自社の成長・発展に貢献できる社員を育てるための人材育成は重要ですが、実施に当たりさまざまな壁にぶつかることは珍しくありません。どのような課題が多いのでしょうか。人材育成で企業が抱えがちな7つの課題を紹介します。

人材育成に取り組む時間がない

人材育成は長期的な取り組みとなりますが、人事部門には採用活動などの業務もあるため、人材育成だけにリソースを割くことはできません。そのため人材育成にしっかりと向き合う時間を確保できない場合があります。

コミットできないことで結果として中途半端な人材戦略しか立案・実行できず、投げやりな教育になることもあるでしょう。

人材育成にコストをかけられない

人材育成に必要な施策を打ちたくても、予算や人手を確保できない場合もあります。教材として使用する学習システムの導入にはコストがかかり、まとまった研修を実施する場合には受講費・会場レンタル費や宿泊費なども必要です

人材育成に必要なコストがかけられず、現場にすべて丸投げしてしまうケースもよく見られます。現場の負担が増え、その場しのぎの対応で効果的な育成ができないなどの問題も発生します。

社内に十分な育成スキルがない

育成担当者には、マネジメント能力やコミュニケーション能力・指導力なども求められます。採用する人材育成手法によっては、ヒアリングやメンタリングの能力も必要です。現場で優秀な社員も後進の育成には向かない場合もあり、社内に適切な人材育成者がいないという悩みを抱える企業もあります。

人材育成に対する意識が低い

人材育成には目指すべき人物像や将来的な人員構成といった達成目標があります。しかし、なぜ人材育成が必要で、何につながるのかを育成に関わる当事者が理解しておらず、育成プログラムを消化するだけになってしまうことが多々あります。

人事部門や育成担当者自身の社内育成に関する意識が低ければ、想定した効果は望めないでしょう。企業努力を怠ると、指導を受ける側も意識高く取り組めません。

社内に協力体制が築けていない

社内に協力体制が築けていないことで、人材育成が進まない場合もあります。例えば「育成担当者のコア業務の穴埋めをする社員がいない」「育成に取り組んでも経営層・マネージャー層からの評価につながらない」といった状況です。

育成担当者が積極的に取り組むほど損をする状況だと、熱の入った教育を施せない可能性が高いため、注意が必要です。

計画的に実施できていない

人材育成は経営戦略・人材戦略にのっとって長いスパンで実施されるものです。育成自体は新人だけでなく、全社員が対象です。新人育成と中堅社員育成、管理職の育成は内容を分ける必要があり、中長期的に計画・実施が必要です。計画性がなければ場当たり的な教育を施すだけになってしまい、自社で求める人材に成長する可能性は低いでしょう。

人材育成自体が目的になっている

育成のための研修の実施自体が目的となってしまっているケースもあります。これは「研修は実施するものの具体的な達成目標がない」「効果測定やフォローも行わない」「改善に向けた見直しもしない」という場合です。

育成担当者側が機械的にタスクをこなすように施策を実施するだけだと、人材育成の効果は望めないばかりか、かえって育成対象者のモチベーションを下げる結果になってしまいます。

 

課題解決の前に!人材育成はなぜ重要?

多くの業界・企業で人材不足が深刻化しており、貴重な人材をいかに活用し生産性を向上させるかが課題となっています。人材を投資対象として捉え、経営戦略・人材戦略に基づく長期的な育成計画を推進し、企業価値向上・競争力強化などの経営課題の解決につなげる取り組みが重視されています。

人材獲得競争が過熱する中、「仕事内容や成長機会に満足できない」という理由で見切りをつけ離職・転職するなど、自己実現を重視する人材が増えています。企業がスキルアップの機会を設け、成長にフォーカスした評価制度を整備し、より高いレベルの仕事にチャレンジしやすい環境を整えることは重要です。人材育成の取り組みにより「人材から選ばれる企業」となることで、貴重な人材の離職を防止すると共に、求職者にとっても魅力的な企業へ成長することが期待できます。

 

人材育成の課題への解決策

資料を並べたデスクに寄りかかり、笑顔で会話する3人の男女

人材育成は企業価値向上や「人材から選ばれる企業になる」という意味で重要な取り組みです。実施に当たって抱えがちな課題は、適切な計画性に基づくことで解決できます。ここでは。人材育成の課題にどのように対処すべきかを見ていきましょう。

現状を把握して課題を洗い出す

まずは自社の現状を把握するために、人材育成における課題を洗い出します。経営層・マネージャー層・現場など各階層にヒアリングを行い、現実的に改善が必要な点や隠れた問題意識を分析しましょう。育成する側・される側両方のスキルマップを作成し、優先度の高い課題や、自社リソースで対応可能な範囲の見込みをつけておくこともポイントです。

目標や方向性を定める

現状把握と課題の洗い出しができたら、人材育成の目標や方向性を定めます。短期・中期・長期といったスパンで実現可能な目標を設定し、最終的なゴールと中間点を明確化しましょう。目標や方向性を明確にすることで、育成担当者と対象者の両方が育成の意図を理解し、企業が望む方向に行動するようになります。

社内で協力体制を敷く

人材育成計画を進めやすい環境整備のために、社内で協力体制を敷くことも大切です。人材育成に直接関わらない社員にも理解を求め、育成担当者に対する評価制度も整えましょう。人材育成の必要性・方向性や社内制度の変更計画などを周知することで、「人材育成で自社が変わる」という全社を巻き込んだ意識改革ができ、計画の各段階で協力を得られやすくなります。

教育システムを導入する

人材育成を効率化するために、教育システムの導入を検討しましょう。よく活用されるのは、LMS(学習管理システム)と呼ばれるタイプのツールです。LMSはeラーニング・学習進捗管理・習熟度テスト・目標管理のほか、アンケート調査やストレスチェックもでき、長期的な人材育成の効率化に役立ちます。

育成者の教育も行う

人材育成は育成担当者と育成対象者の継続的な関わりの中で進行します。人材育成の効果を高めるには、育成する側となるマネージャーやリーダーに対する教育も重要です。仕事に関する知識・スキルを育成担当者が持ち合わせていないと、育成対象者の成長を阻害する結果につながりかねません。

育成担当者はマネジメント能力・コミュニケーション能力・指導力などのスキルアップが求められます。担当者がそれらのスキルを持ち合わせていない場合は、研修などを活用して身につけてもらいましょう。

人材育成にかけられるリソースを確保する

人材育成にかけられる予算や人員と時間を確保することも必要です。人材育成の投資効果を決裁者に説明し、スキルマップも加味して育成担当者を選出し、LMSや研修マニュアルなどのツール整備などに時間を捻出しましょう。

リソースを確保すると同時に、育成担当者には育成に関する評価・手当も検討します。社内に育成にかけられる人的リソースがなければ、外部の研修サービスを活用するのもおすすめです。

最適な育成手法を選ぶ

育成方法には多くの種類があります。座学で知識をインプットするものから、実務能力や自主性・マネジメント能力を伸ばすもの、精神面のサポートを重視するものなどさまざまです。それぞれの手法に向き不向きがあり、相乗効果を期待しやすい組み合わせもあるため、目的に合った最適な育成方法を取り入れましょう。

 

人材の育成方法として効果的な主な手法は?

椅子に腰掛けノートPCを手に相談する、2組の男女

人材の育成方法には確立されたメソッドがあります。基本となるOJTやOFF-JTのほかに、自己啓発支援やチームビルディングなども効果的です。また人材育成に関する各種制度の創設・改善も検討しましょう。ここでは、企業が取り入れたい7種類の人材育成手法を解説します。

OJT

OJTとは、職場の上司や先輩社員が指導役となり、実務を通じて後進を育成する実践型の職業訓練です。多くの企業が新入社員の育成に採用しており、即戦力の育成を目指せます。

ただし、育成効果は育成担当者のスキル依存となってしまう点に注意が必要です。育成担当者の肉体的・精神的負担も大きく、コア業務の遅延・停滞を避けようとして育成対象者が放置されるケースも珍しくありません。

OFF-JT

OFF-JTとは、現場を離れて知識・スキルを習得する育成方法です。集合研修による座学の他、eラーニングによる自己学習や合宿形式のフィールドワーク、経営シミュレーションゲームなどさまざまな手法が用いられます。現場からは得られにくい知識・スキルを効率的に学び、経験を補完することが可能です。

自己啓発支援

自己啓発支援とは、社員が自発的に業務に必要な知識や教養を身につけることを、金銭的・時間的に支援する制度です。書籍や外部教育機関などでの自学自習や学び直しを支援することで、企業主導のOJTやOFF-JTでは足りない知識・教養を補います。

ただし、育成の方向や期間をコントロールできないデメリットもあるので、明確に欲しい人物像が決まっている場合は別の方法が好ましいでしょう。

チームビルディング

チームビルディングとは、各メンバーの知識・スキル・経験を最大限に発揮し、目標達成できるチームを構築するための取り組みです。ブレインストーミングや体験型ゲームなどを通じ、チームのパフォーマンス・関係性向上や適切な人材配置、マインドセット形成やチームビジョンの浸透を目指します。イノベーション創出の基盤形成にも役立つでしょう。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度(MBO)とは、組織のリーダーがアドバイザーやサポート役に徹し、業務における具体的な目標を社員自身が設定・管理する制度です。社員の当事者意識や主体性を高めつつ組織目標達成が狙え、また人事考課にも反映できます。

1on1ミーティングやメンター制度で、定期的に目標の進捗度や育成対象者のケアを行う手法がオーソドックスです。

人事評価制度

人材育成計画の目的・目標・方向性に合わせた人事評価制度も効果的です。例えば上司・同僚・部下などさまざまな立場の人が評価する360度評価、業績の良い社員の行動特性を基準として評価するコンピテンシーなどです。

評価の項目が具体的でない場合や、評価項目が多すぎて形骸化してしまっているケースなども見受けられるので、評価制度の内容が自社にとって適切な評価であるかを定期的に確認し、アップデートを行いましょう。

メンター制度

メンター制度とは、業務で直接関わらない先輩社員などをメンターとし、経験の浅い社員(メンティ)を精神的にサポートする制度です。社員の働きやすさを改善でき、社員間のコミュニケーションが活発になる効果も期待できます。

メンター制度はメンター側の育成も兼ねられるのがメリットですが、メンターのスキルに依存する点や、メンターとメンティの相性が悪い場合などは逆効果になる点にも注意が必要です。

 

指導者に必要な人材育成のスキルとは?

テーブルに並んで着座し、ペンを手に前を見つめる5人男女

人材育成は育成対象者にフォーカスしがちですが、前提として指導者の人材育成関連スキルが重要です。指導者がスキル不足だと、育成対象者のポテンシャルを引き出せず、人材育成計画を円滑に進行できません。ここでは、指導者に必要となる人材育成関連スキルを4つに分けて解説します。

OJTトレーナーとしてのスキル

OJTは指導者のスキルによって成果に差が生じるため、階層別研修にOJT関連の学習プログラムを組み込むなどして、OJTトレーナーを育成することが必須です。

指導対象者の性格・スキル・理解度などに合わせ、「どう説明すれば理解してもらえるか」「どのような業務を担当させるべきか」を柔軟に考え、最適な育成方針を立案・実践することが求められます。

メンターとしてのスキル

メンターはメンティの悩みに寄り添い、社会人としての姿勢や仕事の意味を伝えたり、キャリアに関する希望や目標を引き出したりします。メンタリングにより進むべき方向を示すには、観察力・ヒアリング能力・共感力など、総合的なコミュニケーション能力についての研修・説明会が必要です。

企業側にはメンター・メンティの適切なマッチングや、守秘義務など運用上のガイドライン策定も求められます。

ティーチングやコーチングのスキル

指導者にはティーチングやコーチングのスキルも重要です。ティーチングは「教師と生徒」のような関係で、育成対象者に対して明確な回答を示します。コーチングは傾聴と質問によって、育成対象者の中にある答えを引き出したり問題解決のための気付きを与えたりし、目指すべきビジョンについて主体性と能力を引き出す活動です。

マネジメントスキル

指導者には人材育成計画のビジョンを実現するためのマネジメントスキルも重要です。人材管理に関するスキルとして、育成対象者の知識・スキル・経験値・資質・才能の情報管理やモチベーション維持、仕事ぶりの分析・評価などが挙げられます。また育成に充てる時間を捻出するためのタイムマネジメントも必要です。

 

まとめ

ファイルを抱えカメラ目線で微笑む2人の男女

人材育成は貴重な人材の成長・離職防止や企業価値向上のために重要な取り組みです。しかし時間や人員・コストが不足しているケースや、人材育成のノウハウが蓄積されていないケースもあります。育成を成功させるには、環境を整え、目標と期間、育成する意義を設定することが重要です。

社内での育成がどうしても難しい場合、人材育成に豊富なノウハウのある研修会社が強い味方となります。外部リソースも活用し、無理なく効果的な人材育成計画を推進しましょう。

 

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