組織開発を成功に導く4つの手法と、組織開発を成功に導くフレームワーク
組織開発は、組織の成長と発展に欠かせないものの、具体的な手法やフレームワークはあまり知られていないのが現状です。本記事では、組織開発の基本的な概念から具体的な手法や実践的なフレームワークまでを詳しく解説します。
組織の成長と発展に欠かせない「組織開発」ですが、具体的な手法やフレームワークはあまり知られていないのが現状です。「組織開発とは一体何なのか」「どのような手法があるのか」「実践するためのフレームワークとは」といった疑問を抱く方もいるでしょう。
本記事では、組織開発の基本的な概念から具体的な手法や実践的なフレームワークまでを詳しく解説します。組織の課題解決や目標達成に向けて組織開発に取り組みたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
組織開発とは何か
組織開発は明確な定義はないものの、本記事では「従業員間の相互作用を通じて組織の健全性や革新力を向上させる取り組み」と定義します。この章では、組織開発の目的と意義、人材開発との違い、組織開発が必要とされる背景について解説します。組織開発の取り組みを通じて従業員のエンゲージメントを高め、生産性向上や離職防止につなげましょう。
組織開発の目的と意義
組織開発の目的は、組織の健全性や革新力を向上させることです。従業員が自分たちで課題解決する力を育て、従業員同士の相乗効果が生まれる組織風土を醸成することが重要です。組織開発の対象は人と人の「関係性」や「相互作用」で、人材開発とは異なります。
背景には、従業員の帰属意識の希薄化や価値観の多様化といった課題があります。組織開発に取り組むことで、従業員のエンゲージメントを高め、生産性の向上や離職率の低下といった効果が期待できるでしょう。
組織開発と人材開発の違い
人材開発は個人のスキルアップに重点を置きますが、組織開発が着目するのは「人と人の関係性」です。例えば、部署間の連携が取れていない場合、組織開発では各部署の役割や責任を見直してコミュニケーションを活性化させる施策を打ち出します。
つまり、人材開発が「個人の能力」を伸ばすことに注力するのに対し、「人と人のつながり」を強化して組織全体のパフォーマンス向上を目指すのが組織開発です。組織開発に取り組むことで、従業員一人ひとりが能動的に働き、チームワークを発揮できる環境が生まれるでしょう。
組織開発が必要とされる背景
組織開発が必要とされる背景には、従業員の帰属意識の希薄化や価値観の多様化があります。会社に愛着を持てず、すぐに転職する従業員が増えている昨今、多様な価値観を持つメンバーをまとめ一丸となって目標に向かうのは容易ではありません。
そういった状況の中、優秀な人材の確保や定着は企業の生命線です。組織開発に取り組み、従業員のエンゲージメントを高めることが急務となりつつあります。一人ひとりが生き生きと働ける組織風土を醸成し、生産性向上や離職防止につなげましょう。
組織開発の具体的手法
組織開発を成功に導くには、現場の課題解決力を高めて組織の強みを伸ばし、全社的な変革の機運を醸成することが重要です。ここでは、実践的な手法として、アクションリサーチ、アプリシエイティブ・インクワイアリー、ラージグループ・インターベンション、チェンジマネジメントの4つを紹介します。それぞれの特徴と効果を見ていきましょう。
アクションリサーチ
アクションリサーチは、組織開発の中でも最も実践的なアプローチのひとつです。現場の従業員が主体となって自らの職場の問題を発見し、解決策を考えて実行に移すというサイクルを繰り返すことで、組織の課題解決力を高めます。
例えば、ある製造業の現場では、不良品の発生率が高いという問題がありました。現場の従業員たちが集まり、問題の原因を分析して対策を立案・実行したところ、不良品率が大幅に減少しました。
アクションリサーチは、従業員の主体性を引き出し、組織の自己変革能力を高める効果的な手法です。組織開発を進める上で、ぜひ取り入れたいアプローチといえるでしょう。
アプリシエイティブ・インクワイアリー
アプリシエイティブ・インクワイアリーは、組織の強みや成功体験に着目し、それを伸ばすことで組織変革を促す手法です。過去の成功事例から学び、組織の可能性を最大限に引き出すことを目指します。
例えば、ある企業では、社員同士のコミュニケーション不足が課題でした。普段から活発にコミュニケーションを取っている部署にインタビューして成功要因を分析すると、「お互いを認め合う風土がある」「気軽に相談できる雰囲気がある」など、ポジティブな点が浮かび上がりました。
これらを他部署にも展開し、組織全体のコミュニケーションを活性化させます。アプリシエイティブ・インクワイアリーは、組織の良い部分に光を当て、それを伸ばすことで前向きな変革を生み出す手法といえるでしょう。
ラージグループ・インターベンション
ラージグループ・インターベンションは、組織全体を巻き込んだ大規模な対話の場を設けることで、変革への機運を高める手法です。社員全員が一堂に会して組織の未来像を語り合うことで、一体感が生まれ、変革への主体的な参画を促します。
ある企業では、経営ビジョンの浸透が課題でした。全社員が参加するビジョン共有会議を開催することで、グループディスカッションを通じて一人ひとりがビジョンを自分ごと化し、実現に向けて何をすればよいかを考えます。この取り組みにより、社員のビジョンへの理解と共感が深まり、組織全体で目標に向かって進む原動力が生まれました。
変革を成功させるには、社員の巻き込みが不可欠です。ラージグループ・インターベンションは、そのための有効な手段といえるでしょう。
チェンジマネジメント
チェンジマネジメントは、組織変革を計画的に進めるための手法です。変革の必要性を明確にし、関係者の理解と協力を得ながら、段階的に変革を実行します。
例えば、ある企業がDXを推進するために、チェンジマネジメントを活用しました。まずは経営層が変革のビジョンを示し、社員に丁寧に説明します。さらに、変革推進チームを立ち上げ、現場の意見を取り入れながら新しい働き方を設計しました。
変革には抵抗が付き物です。しかし、チェンジマネジメントにより社員の不安を払拭し、前向きな参画を引き出せました。組織開発で変革をスムーズに進めるには、チェンジマネジメントの考え方が欠かせません。
組織開発のフレームワーク
組織開発を成功に導くには、実践的なフレームワークの活用が重要です。ここでは、組織開発の具体的な手法として、マッキンゼーの7Sモデル、リーダーシップ開発、チームビルディング、組織文化の変革の4つを紹介します。これらのフレームワークを効果的に組み合わせることで、組織の課題解決と持続的な成長を実現できるでしょう。
マッキンゼーの7Sモデル
マッキンゼーの7Sモデルは、組織開発の実践的フレームワークのひとつです。このモデルでは組織を7つの要素(戦略、組織構造、システム、価値観、スキル、人材、スタイル)に分解し、それぞれの要素の整合性を図ることで、組織の効果的な変革を目指します。
新しい戦略を立てる際は、戦略の実行に必要な構造やシステム、人材、スキルを同時に見直し、調整することが重要です。7Sモデルを活用することで、組織開発の取り組みをより体系的かつ効果的に進められるでしょう。
リーダーシップ開発
リーダーシップ開発は、組織開発の重要な柱のひとつです。リーダーは組織の方向性を示し、メンバーのモチベーションを高める存在であるため、リーダーの育成は組織の成長に直結します。
例えば、リーダーシップ研修では、コミュニケーションスキルやコンフリクト解決能力が身につきます。また、リーダーのコーチングスキルが向上することで、部下の能力を最大限に引き出せるでしょう。リーダーシップ開発は、単にリーダー個人の成長だけでなく、組織全体のパフォーマンス向上につながる重要な取り組みです。
チームビルディング
チームビルディングは、組織開発の中でも特に重要な要素です。組織の成果は個人の力だけでなく、チームの協力と相乗効果によって生み出されるためです。
チームビルディング研修では、メンバー間の信頼関係を築き、お互いの強みを理解します。また、チームの目標設定やコミュニケーションのルール作りを通じて、一体感のあるチームを形成できるでしょう。
効果的なチームビルディングを実現するには、リーダーがチームの多様性を尊重し、メンバーの意見に耳を傾けることが大切です。組織開発の観点からチームビルディングに積極的に取り組むことで、組織全体のパフォーマンスが大きく向上します。
組織文化の変革
組織文化の変革は、組織開発の中でも特に難しい課題ですが、同時に大きな効果が期待できる取り組みです。組織文化は従業員の行動や意思決定に大きな影響を与えるためです。
イノベーションを促進する文化を醸成するために、失敗を許容する風土を作ったり、従業員の自主性を尊重したりすることが重要です。また、変革に向けて経営陣がビジョンを明確に示し、従業員との対話を重ねていき、組織全体で文化変革の必要性を共有することが求められます。
組織文化の変革には時間がかかりますが、その過程で従業員のエンゲージメントを高め、組織の一体感を醸成できるでしょう。組織開発の視点から組織文化の変革に戦略的に取り組むことが、持続的な成長につながります。
組織開発の効果測定と継続的に推進する体制づくり
組織開発の取り組みを成功に導くには、効果測定と継続的な改善が欠かせません。ここでは、組織開発の評価指標や効果測定方法、失敗事例への対処法、継続的な推進体制づくりについて解説します。これらの知見を活かし、貴社の組織開発を着実に前進させましょう。
組織開発の評価指標と効果測定方法
組織開発の効果を測定するには、定量的・定性的な評価指標の設定が重要です。例えば、従業員満足度調査や360度評価で組織風土の変化を数値化できます。また、生産性の向上や離職率の低下も組織開発の成果を示す指標となるでしょう。
一方、定性的な評価も欠かせません。従業員インタビューを通じて、組織開発によるマインドセットの変化やコミュニケーションの活性化を確認します。これらの評価を組み合わせてPDCAサイクルを回すことで、組織開発の効果が継続的に高まります。
組織開発の目標設定を行う
組織開発の失敗を避けるには、明確な目標設定が欠かせません。曖昧な目的では、取り組みが迷走するでしょう。また、トップダウンの押し付けでは、現場の反発を招きかねません。従業員を巻き込み、主体的な参画を促すことが大切です。
さらに、一過性のイベントで終わらないように、継続的な改善活動につなげる必要があります。定期的な振り返りとPDCAサイクルを回す仕組みづくりが求められるでしょう。失敗を恐れず、試行錯誤を重ねながら、組織開発を進化させることが成功の鍵を握ります。
組織開発を継続的に推進するための体制づくり
組織開発を継続的に推進するには、専門部署の設置や担当者の任命が有効です。社内の組織開発の旗振り役となり、各部門との調整を行いながら、全社的な取り組みを牽引します。
加えて、組織開発のスキルを持った社内リーダーの育成も重要です。外部研修を活用し、組織開発の知見を持つ人材を計画的に育てることが求められます。
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まとめ
組織開発とは、組織や人の関係性に働きかけ、組織力を高めるアプローチです。従業員の主体性を引き出し、相乗効果が生まれる風土づくりを目指します。目的の明確化、現状分析、課題設定、試行、効果検証、展開というプロセスを踏むのが一般的です。
現在、人材不足や価値観の多様化といった課題を背景に組織開発への注目が高まっています。効果測定や継続的な取り組みの仕組みづくりが、組織開発を実践する上でのポイントといえるでしょう。
組織開発では、アクションリサーチやアプリシエイティブ・インクワイアリーといった手法を用いて、従業員の問題解決力を高め、組織風土を改善します。マッキンゼーの7Sモデルなどの実践的フレームワークも活用できます。効果測定や継続的な取り組みが重要ですが、専門的な知識やスキルが必要です。
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