新人エンジニアの教育プランとは?育成ポイントと研修プログラム例も紹介
新人エンジニア教育は、新人を自社の価値向上に貢献する人材に育て上げ、また早期退職を防止するために重要な取り組みです。自走できるエンジニアの育成にも目を向け、貴重な人材の育成計画を成功に導きましょう。新人ならではの教育の難しさと解決策も解説します。
新人エンジニア教育は、新人を自社の価値向上に貢献する人材に育て上げ、また早期退職を防止するために重要な取り組みです。自社の経営課題を解決するために、新人エンジニアの教育方法について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。
新人エンジニアならではの教育の難しさと解決策を理解することで、自社の目標を達成できる教育が実施できます。「自走できるエンジニア」の育成にも目を向け、育成計画を成功に導きましょう。この記事では、新人エンジニアの教育のポイントや注意点についてご紹介します。
目次
新人エンジニア教育の重要性
ITエンジニアは超売り手市場で、人材獲得は年々難しくなっています。経験者だけに目を向けるのではなく、文系出身のエンジニアリング未経験者を採用する例や、ポテンシャル採用をして新人を一から育てる選択をする企業も増えています。
新人の足並みをそろえるためには、現場配属前にまとまった教育が求められます。また社内教育をすることで、自社の経営理念や事業内容を理解した上で、業務に必要なスキルの習得が可能です。これにより早期からの活躍が期待でき、理想と現実のギャップを抑えて早期退職を防止する効果も見込めます。
新人エンジニア教育の目的
新人エンジニア教育は、企業の要求と新人のギャップを埋めるために必要な取り組みです。また新人のモチベーションを保って早期退職を防ぎ、企業価値の向上にもつながります。ここでは、新人エンジニア教育の重要性を、より詳しく見ていきましょう。
技術の進化に対応するため
IT領域は技術の進歩が早く、数年前の最新技術が今の現場で通用しなくなるケースは珍しくありません。最新技術を取り入れる企業の場合、採用時点である程度のスキルがある新人でも、業務開始時点では現場が求めるスキルセットと合致しないこともありえます。このギャップを埋めるのが新人エンジニア教育です。
技術の進化に対応するためにも、開発現場全体のスキルレベル底上げのためにも、新人エンジニアに十分な教育環境を提供することは重要です。
従業員のモチベーション向上につなげるため
新人エンジニアを教育せずに現場に投入すると、「何が分からないか分からない」など根本的な悩みを抱えがちです。悩みを放置するとモチベーションが低下し続け、早期退職を招く恐れもあります。
現場で取り残されないよう、チームでの開発体制も理解することが求められます。教育担当者による適切なサポートもあれば、モチベーションを維持向上しやすく、仕事にやりがいを見出して積極的に取り組む効果も見込めるでしょう。
企業の成長につながる人材育成のため
新人エンジニアは数年後に独り立ちし、さまざまなプロジェクトで活躍する人材です。戦略的に育成すれば、開発現場の主力になる人材への成長も見込めるでしょう。またクライアントと直接顔を合わせるSEは「企業の顔」です。優秀な人材を育成できれば、クライアントから信用を得やすくなり、評判につながります。
新人エンジニア教育は、企業価値向上を目的とした投資とも考えられるでしょう。経営戦略を人材戦略に落とし込み、中長期スパンで人員計画を立て、将来的に活躍する人材を戦略的に育成することが大切です。
新人エンジニア教育のポイント6選
新人エンジニア教育を成功させるには、いくつかのポイントがあります。例えばマニュアル・チェックシートの活用による指導の効率化、アクティブラーニングやアウトプット重視の教育プログラムを組むことなどです。ここでは、新人エンジニア教育のポイント6選を見ていきましょう。
マニュアルを作成して指導効率を高める
新人エンジニア教育においては、マニュアルやチェックシートを作成して指導効率を高めることがおすすめです。資料を参照して教育を進めることで、教育内容の抜け漏れが発生しにくくなり、教育担当者も新人も目標や到達度を随時チェックできます。
これにより教育担当者間でバラバラになりがちな教育の質を均一化でき、新人は「何をなぜ学ぶのか」が明確になることで学習に取り組みやすくなります。
アクティブラーニングの機会を準備する
新人エンジニア教育ではアクティブラーニングの機会を用意しましょう。一般的な研修は「先生と生徒」のような関係性の座学になることが多く、新人エンジニアは受け身になりがちです。このスタイルに慣れると、与えられたタスクをこなすだけの人材になる恐れがあります。
それを防ぐために主体的な取り組みや対話を重視した、能動的な学習スタイルを取り入れることが重要です。自発的な課題発見や積極的な双方向コミュニケーションを通じ、実践的なスキルを身に付けることで、「自走できるエンジニア」への成長が叶います。
アウトプットの機会を設ける
新人エンジニア教育は、インプットだけでなくアウトプットも取り入れることが大切です。例えばプログラミング言語の知識をインプットしても、概念理解だけではコーディングはできません。特に初心者は実装後の挙動を理解しておらず、エラーが頻発します。この状態で現場に投入しても業務効率は低く、モチベーション低下を招くでしょう。
実装の結果プログラムがどのように動作するかを、アウトプットを重ねる中で実体験し、技術や職務の意味を理解することが重要です。
適切なフィードバックを送る
教育期間中は新人エンジニアに対する適切なフィードバックも求められます。評価できるポイントは積極的に褒め、ときには厳しく指摘することも重要です。
このフィードバックが、プロジェクトメンバーとしての役割を理解させ、タスクをこなす責任感を養うことにつながります。新人の成長が目的であることを念頭に置き、どのような伝え方が最適なのかを考えましょう。
新人エンジニアが相談しやすい関係性を作る
新人エンジニアと教育担当者の間で相談しやすい関係性を作っておくことも大切です。信頼関係ができている状態であれば、小さなトラブルも積極的に共有しようとする意識が働きやすいため、問題の早期発見に役立ちます。活発にコミュニケーションを取り、報告・連絡・相談を習慣づけるように指導しましょう。
長期的な目線で育成する
新人エンジニアを長期的な視点で育成することも求められます。短期間で即戦力となるエンジニアを育成するのは困難です。短期間のハードな育成プログラムは、新人エンジニアにとって心身共に負担となり、技術の習得が逆に遅くなる場合もあります。
厳しい指導が重なり過ぎると、エンジニアが早期退職してしまうリスクもあるため、短期集中の詰め込み型教育は避けるのが得策です。
新人エンジニア育成プランの作り方
新人エンジニアの育成プランは以下のプロセスで作成します。
- 目標を設定する
- 新人のスキルを把握する
- カリキュラムを決める
- 教育担当者を決定する
- スケジュールを調整する
それぞれのステップの概要やポイントを見ていきましょう。
目標を設定する
新人エンジニア育成プランの作成に当たっては、まず目標設定が必要です。「何年後にどのようなスキルセットを持った人材が何人必要なのか」といったビジョンの下、人材戦略の一環として新人エンジニア教育のプランを立てることが重要です。
経営戦略や人材戦略の達成を前提として、○か月後・○年後などの中間目標・最終目標を明確化することで、逆算して教育カリキュラムを考えられます。
新人のスキルを把握する
新人エンジニアのスキルセットを把握しましょう。採用時点で習得済みのスキルの種類やレベルは、人材によって異なります。新人のスキルマップを作成することで、自社が求めるスキルセットとの乖離や、一律的な教育では効果が薄いこともわかります。
習得すべきスキルセットと現状のスキルマップを比較することで、基本となる教育プランの方向性を明確化でき、各新人に応じたアプローチを最適化できます。また各新人の特性に応じた配属先やキャリアパスも考えやすくなり、戦略的な教育プランを立てられるでしょう。
カリキュラムを決める
新人エンジニア教育の目標設定やスキルマップの精査を済ませたら、必要となる研修のカリキュラムを決めます。まず自社の経営理念や事業内容を社内研修で分かりやすく伝え、「何を目指して働くべきか」を理解させることが重要です。
プログラミング言語やチームビルディングなど一般化されたスキル・知識については、社外研修で教育の質を均一化するのが良いでしょう。配属後にはOJTを実施し、先輩エンジニアから実務のノウハウを学びます。
教育担当者を決定する
研修のカリキュラムを決めたら、教育担当者を決定します。社内研修を実施する場合は、チームリーダーや中堅エンジニアを教育担当者とするのが一般的です。しかし教育にかける時間が取りにくい場合もあるでしょう。
外部研修を活用すれば、教育の大部分を委託でき、人的リソースの消費を抑えられます。ただし講師の質には注意が必要です。研修会社が抱える講師の実績やスキルなどを評価した上で、依頼するかどうかを判断しましょう。
スケジュールを調整する
教育担当者を決定したら、新人がどの時点でどの段階に達しているべきか、アサインのタイミングも考慮してスケジュールを調整します。また現場への負担を抑えるために、繁忙期や参加者を集めにくい時期を避けることもポイントです。現場からプロジェクトの進捗状況などをヒアリングし、現実的なスケジュールを組みましょう。
また現場の協力を得やすいように配慮することも大切です。教育に直接関わらない社員に対しても、計画の意図や決定したスケジュールを周知しましょう。
新人エンジニアの教育プログラム例
新人エンジニアの教育プログラムには、テクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルの研修も取り入れることが大切です。将来的な成長を想定し、新人の段階でエンジニアに必要なマインドセットを醸成することも意識しましょう。
プログラミング研修
新人エンジニアの教育課程には、プログラミング研修は必須です。自社のプロジェクトで標準的に使用するプログラミング言語について、構文や実装方法を学びます。実務に対応できるよう、簡単なプログラムを自作させるなど、アウトプットの機会を豊富に取り入れることが大切です。
エンジニアリング未経験の人材の場合、PC・ネットワークの仕組みやプログラムとは何かを理解していないことも多いため、IT基礎研修から受講してもらうことも検討しましょう。
コミュニケーション研修
自社の開発スタイルがウォーターフォール型・アジャイル型どちらかに関わらず、現場配属前にコミュニケーション能力を身に付けることは重要です。
テクニカルスキルだけを身に付けたエンジニアは、個人のタスクに集中しやすく、「プロジェクトメンバーの一員」という意識が薄い場合もあります。グループワークやチームビルディング研修などを通じ、開発現場におけるコミュニケーションとは何かを学んでもらいましょう。
セキュリティ研修
エンジニアは業務の中で多種多様なデータを取り扱うため、情報資産を守るためのセキュリティ研修も重要です。セキュリティ関連のプロジェクトにアサインしないエンジニアも、サイバー攻撃や情報漏えいのリスク、セキュリティポリシーの順守などは基礎知識といえます。
多様化・巧妙化するサイバー攻撃を想定したシステムを構築することは、クライアントが求める品質基準を満たすための必須要素といえます。リリース後の安全性まで考えられるエンジニアになるためにも、新人の段階でセキュリティ意識を高めておくことは大切です。
プレゼンテーション研修
エンジニアにはプレゼンをする機会も多くあります。例えば「チーム内やチーム間での進捗報告やアイデア共有」「SEからプログラマーへの要求指示」「クライアントへの提案」などです。特に自社サービスを開発する企業は、エンジニアによるプレゼンの機会は多いでしょう。
イノベーションや価値創出を重視する企業は、新人の段階でプレゼンのスキルを習得させることも重要です。プレゼン系の研修には、共通のテーマについて各自プレゼンするものや、各自異なるテーマでプレゼンしてディベートするものなどがあります。
新人エンジニア教育における注意点
新人エンジニアならではの教育の注意点も押さえておきましょう。新人教育で陥りがちな一方的な教育は避け、自律的に考え学ぶ人材に育てることが大切です。1on1ミーティングやメンター制度などで、きめ細やかなフォローをしていくことも求められます。
答えを教えすぎない
新人の間はどうしても受け身になりやすく、教育担当者は答えを教えがちです。しかし自走できるエンジニアに育てるためには、「自ら考える癖」を身に付け、問題解決能力を養うことが求められます。
直接的に答えを教えるティーチングではなく課題解決へ導くコーチングをすることで、自力で解決できた成功体験を積ませ、自律的に考え行動できる人材へと成長を促せるでしょう。ただし単に悩ませるだけでは効果が薄いため、問いかけ・質問のタイミングなども留意しましょう。
継続的な学習を推奨する
IT領域は日々新しい技術が生まれ、社会のニーズやクライアントの要求も刻々と変化していきます。デバイスの計算能力・活用方法やネットワーク技術などの変化に応じ、エンジニアリングに求められる技術も変わるため、継続的な学習は不可欠です。
新人エンジニアに対する教育プログラムは、継続的な学習の重要性を伝えるのが命題のひとつといえます。新しい技術やトレンドについて常に学ぶことを促していきましょう。
学習しやすい環境づくりに注力する
新人エンジニアがモチベーションを高く保ち、目標達成に向けて積極的に学習していける環境作りも重要です。新人エンジニアの到達度・課題・悩みを把握するには、日常的なコミュニケーションだけでは不十分なこともあります。
そこで上司や上長との1on1ミーティングや、先輩エンジニアをメンター(指導役)とするなどの取り組みが求められます。定期的な1on1ミーティングで主体的な内省を促したり、業務で直接関わらないメンターが業務やキャリアの悩み相談に乗ったりすることは大切です。
まとめ
新人エンジニア教育は、自社の価値向上に貢献する人材に育て上げ、また早期退職を防止するために重要な取り組みです。アクティブラーニングやアウトプット重視の教育プログラムを組み、「自走できるエンジニア」の育成を目指しましょう。
ただし教育担当者が自身のコア業務で忙しく、新人の成長を促すためのサポート・フォローまで手が回らないこともあるでしょう。第一線で活躍する現役エンジニアによるメンター制度を完備した、自律的なエンジニアの育成に強い研修会社なら、新人エンジニア教育の課題解決を強力にサポートできます。
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