エンジニア採用が難しい理由とは?苦戦の原因と成功のコツを紹介

優秀なエンジニアは大手・中小企業を問わずニーズが高く、「エンジニア採用は難しい」と悩む採用担当者は多いです。採用が難しい原因や成功の秘訣を理解し、自社の課題解決につながるエンジニアを採用しましょう。未経験者採用と入社後の育成も解説します。

優秀なエンジニアは大手・中小企業を問わずニーズが高く、「エンジニア採用は難しい」と悩む採用担当者は多いです。エンジニア採用を難しくさせている原因や採用成功のポイントを理解することで、自社の課題解決につながるエンジニアを採用できます。未経験者採用と入社後の育成にも目を向け、戦略目標の達成を目指しましょう。

この記事では、エンジニア採用が難しい理由と採用の成功のコツをご紹介します。

目次

 

エンジニア採用が難しい6つの理由

会議用テーブルに手をつき、ひとつのノートPCに向かって悩む4人の男女

エンジニア採用が難しい原因は複合的です。主な原因には、競争率の高さや人材の流動性の低さ、働き方の多様化などが挙げられます。マッチングの難しさに悩む企業も多いのが現状です。まずは「エンジニア採用がなぜ難しいのか」を整理しましょう。

競争率が高くなっている

エンジニアを求める多くの企業は、人材不足に悩みを抱えています。エンジニアは超売り手市場で、エンジニアが企業を選ぶ状況は今後も続く見通しです。そのため大手・中小企業を問わず、優秀なエンジニアの獲得競争は過熱しています。

教育機関は技術がトレンド化してからカリキュラムを構築するため、まとまった知識・スキル・経験のある人材の市場供給は常に遅れます。AI・クラウドなど先端領域に対応できる人材は希少で、市場価値の高い人材の確保は困難な状況です。

エンジニア人材の流動性が低下している

業種で比較すると、IT業界の離職率はそれほど高くありません。優秀なエンジニアが貴重であることは多くの企業が痛感しているため、採用に成功した企業は貴重な人材を逃さないために策を講じます。例えば給与面の待遇や職場環境の改善に取り組むことが一般的です。「1社で働き続けられる環境」を整備する努力などにより、優秀なエンジニアは採用市場に出にくい傾向にあります。

働き方の多様化が影響している

フリーランスなど雇用体系に縛られない働き方が人気となっているのも、エンジニアの採用が難しい原因のひとつです。待遇が魅力的であっても雇用契約が前提の場合、フリーランス志向のエンジニアからすれば対象外です。エンジニアの副業を推奨する企業も増えています。転職することなくスキル獲得・キャリア形成・収入アップが実現できることで、所属企業を変える必要がないエンジニアもいるでしょう。

自社と求職者の条件が合わない

教育体制が整っていない企業は、経験豊富なエンジニアの採用ニーズが高い傾向にあります。しかし求職者側の条件と合わないケースも多いです。

優秀な人材ほど多数のアプローチを受けており、給与面などの条件について目が肥えています。またワークライフバランスや自己実現、将来的なキャリアパスなど、エンジニアの求める条件はさまざまです。求職者が求める待遇やポジションを用意できない場合、転職先候補から外されてしまいます。

スキルの見極めが難しい

エンジニアに必要なスキルは多種多様です。求職者のスキルの見極めが難しいことも、採用を困難にさせています。例えばWeb領域に特化したエンジニアにとって、IoT機器の組み込み系システムは未知の領域です。エンジニアとして一括りにすることはできません。

実績から詳細なスキルマップを判断するのも難しく、また判断する側もそれ相応の知識がないと区別も判断もできません。

採用手法が多様化している

ネットワーク技術の発達により、求職者は簡単に求人情報を比較できます。求人広告や人材紹介のサービスも多様化しており、Web上の求人媒体だけでも無数にある状況です。

自社がアプローチしていないチャネルをメインで利用するエンジニアには、自社の存在にすら気付いてもらえません。採用手法の多様化により、エンジニア採用がより複雑になっています。

 

エンジニア採用が上手くいかない原因

ノートPCを前に肩肘をつき、遠い目をする女性

エンジニア採用が上手くいかない原因は、社内にもあります。例えば、採用担当者のエンジニアに関する知識不足、要求の高さや採用手法の見直しをしていないことなどです。ここでは、エンジニア採用がなぜ難しいのかを、より詳しく見ていきましょう。

採用担当者のエンジニアに関する知識が不足している

採用担当者が「開発現場で求められるスキル要件を理解していない」などの場合、採否の判断や適切な条件の提示ができていないケースもあります。プログラミング言語をどの程度扱えるか、システム・開発環境・開発プロセス・チームワークを十分に理解しているかなどは、採用担当者に知識がなければ判断できません。

またエンジニアを取り巻く採用環境の変化を理解していないこともあります。年収・キャリアパス・自己実現・ワークライフバランスなどは、経験豊富なエンジニアであるほど重視する点です。

エンジニアに求める経験やスキルが高い

経営層や現場の要求をそのまま採用条件に反映すると、「○○規模のプロジェクトで実務経験○年以上のクラウドエンジニア」など、非現実的で希少性の高過ぎる人物像になりがちです。非常に市場価値が高いエンジニアを求めるなら、相応の報酬を提示しなければ見向きもされません。

またエンジニア1人が持ち得るスキルには限度もあります。例えば募集要項に「AI・クラウド・IoT……」などと列挙するようなケースです。全てのスキルを実務レベルで持ち合わせた人材を見つけることは困難でしょう。

採用手法の見直しをしていない

採用手法の見直しをしていないことで、応募者数の増加を図れていないケースもあります。多くの企業はWeb広告やSNSの活用などにより、あの手この手で自社が求めるエンジニアにアピールします。そうしなければ人材獲得競争に勝てないからです。

まずエンジニアに自社の存在を知ってもらい、比較検討のテーブルに乗せてもらうことが大切です。採用チャネルの見直しはもちろん、「ターゲットに刺さる訴求」をすることも必要です。

 

企業がエンジニア採用を成功させる7つのコツ

ローテーブルを囲み、ノートPCやスケジュール帳を手に、楽しそうにミーティングする男女4人

難しいエンジニア採用を成功させるにはコツがあります。まず採用基準の具体化は必須です。適切なターゲティングや「エンジニア目線で考える」こと、採用手法の改善などが求められます。また未経験者採用と入社後の育成に目を向けることもポイントです。

採用基準を具体的にする

求人情報に不明瞭な部分があると求職者は応募を避ける可能性が高いため、具体的な採用基準を提示することがポイントです。NG例は「○○の開発ができる○○エンジニア」などです。これでは求められるスキルレベルや特定ポジションでの開発経験などが伝わらず、自身のスキルや経験が生かせるのか、報酬が適切なのかも判断できません。

そこで「○○プロジェクトで○○のスキルを活用して○○ができる、○領域/○ポジションで経験○年以上のエンジニア」などと具体化することが重要です。これにより求職者側の判断が容易になり、ミスマッチの防止にもつながります。

ターゲットに合わせた雇用条件を提示する

求める人材やターゲットに合わせた適切な雇用条件を提示することもポイントです。採用基準を設定すれば、求めるエンジニア像を具体化できます。そのエンジニアが何を求めているか、同ターゲット層に他社がどのようにアピールしているかを分析しましょう。

まず、要求するスキルレベルや経験に見合った報酬は必須です。ターゲットのライフステージやキャリアプランなどを想定し、育休・家賃補助などの福利厚生や学習支援・資格取得支援などの制度も、提示できるものは具体的に記載しましょう。

自社エンジニアの意見を参考にする

採用の基準や可否は人事担当者だけで判断するのではなく、自社に在籍しているエンジニアの意見を参考にしましょう。人事担当者だけで判断すると、経営層のビジョンを重視しがちです。現場の意見も尊重しなければ、エンジニアの実態とかけ離れた判断になり、採用後のミスマッチも起こりやすくなります。

エンジニアにはテクニカルスキルだけでなく、チームワークに順応できるコミュニケーションスキルも重要です。現場の人材がどのようなエンジニアと一緒に働きたいかも協議しましょう。またチームリーダーなどの技術責任者には、面接官として参加してもらうことも大切です。

自社の強みをアピールする

自社の強みを効果的にアピールし、エンジニアが働きたいと思えるような工夫をすることもポイントです。求めるターゲット層が被る他社を分析して、採用条件をそろえることは基本といえます。ただし横並びになっただけでは「比較検討の対象に入っただけ」です。求職者に自社を選んでもらうためには、プラスアルファの要素が求められます。

アピールポイントの例は、「社内で柔軟にキャリアチェンジができるキャリアパスの独自性」「テレワークなど柔軟な働き方の実例」などです。期待感が持てるように、具体的に記載しましょう。

多くの採用手法を取り入れる

多くの採用手法を取り入れ、機会損失をしないようにすることもポイントです。エンジニアによって、日常的に触れるメディアやメインで利用する採用チャネルは異なります。ターゲット層に合わせ、適切な採用手法を複数組み合わせることが大切です。例えば以下のような方法があります。

  • IT系求人サイトへのポジション別求人掲載
  • 転職エージェントへのマッチング委託
  • 求職者のSNSに表示するフィード広告
  • 自社運営のSNSやブログでの求人紹介
  • メールマガジンでのプロモーション
  • 自社Webサイトでの働き方の紹介と求人

未経験者向けに入社後の教育体制を整える

ポテンシャル採用を重視し、未経験者を育成する企業も増えています。未経験者を採用する場合、入社後の教育体制を整えることが成功の秘訣です。未経験者採用は「採用すること」がゴールではなく、採用した人材を戦力化し、企業目標の達成につながってこそ成功といえます。

未経験者だからといって単調な作業ばかりを任せず、学べる機会を提供することが大切です。教育期間中に挫折させないためには、主体的な学びができる研修を充実させたり、メンター制度を取り入れて精神面をサポートしたりすることが求められます。

採用後の働きやすい環境を整えておく

採用までの対策だけではなく、採用後もエンジニアが働きやすいと感じられるような環境を整えることもポイントです。未経験者でも経験者でも、入社後は新しい環境に戸惑います。新人がスムーズに自社に馴染めるように、以下のような準備をしておくことが大切です。

  • 上司や技術責任者との食事会を用意する
  • あらかじめ教育担当者や教育プランを決める
  • 育成目標を落とし込んだマニュアルやチェックシートを用意する
  • チームメンバーにどのような意図で新人が入社するか周知する
  • eラーニングなどの自発的な学習機会を用意し、推奨する

 

優秀なエンジニアを採用するための手段は?

男性に向かってバインダーを手に語りかける女性と、ヒューマンネットワークのイメージ

優秀なエンジニアを採用するためには、採用手法の改善は重要です。求人サイトや広告の他、エージェントサービスを利用する企業も増えています。またリファラル採用やダイレクトリクルーティングも注目度が上がっている状況です。

求人サイトや広告を利用する

最も一般的な採用方法として、求人媒体や広告の利用が挙げられます。例えば、IT系求人サイトに求人情報を掲載したり、Google検索やSNSに広告を出稿・表示したりする方法です。

露出を増やすことで、自社の求人情報が多数の求職者の目に留まるため、応募者数の増加に役立ちます。ただし不特定多数に向けたアプローチとなるため、スキルのミスマッチが起こりやすいことも懸念されます。

人材紹介を利用する

IT業界でよく利用されるサービスに、転職エージェントが挙げられます。人材紹介サイトに企業は募集要項を掲載し、求職者は自身のスキル・経験や希望条件などを登録し、エージェントが企業・求職者のマッチングを仲介する仕組みです。

希望条件がマッチすると企業・求職者双方に通知され、採用に向けたコミュニケーションが取れます。IT系に強い人材紹介サービスなら業界やエンジニアの実態を熟知しているため、認識にズレなどが発生しにくいでしょう。

リファラル採用を行う

リファラル採用は古くからある採用方法ですが、エンジニアの人材不足を解消する方法としても注目が高まっています。社内の人間に人材を紹介してもらうことで実績や性格などがよく分かり、候補者にも事前に情報を伝えやすいことがメリットです。

入社前から特別な関係性を築けるため、「誰も知らない人材」を採用する一般的な採用チャネルよりミスマッチも防止しやすくなります。また「紹介を受けて入社した」という意識から、早期退職を防止しやすいことも利点です。

ダイレクトリクルーティングをする

ダイレクトリクルーティングを活用することも考えられます。ダイレクトリクルーティングとは、求人サイトや人材紹介会社などを介さず、企業の採用担当者が直接求職者にアプローチする採用手法です。

求職者からの応募を待つのではなく、企業側から積極的にスカウトをすることで、採用市場ではマッチングが難しい人材にもアプローチできるでしょう。エンジニアに「見つけてもらえた」というインパクトを与え、スムーズに採用できる場合もあります。

フリーランスエンジニアを起用する

採用が難しい場合の手段として、フリーランスエンジニアを起用する方法もあります。一般的な方法は、フリーランスエンジニアのエージェントサービスを通じ、希望するスキルを持った人材を紹介してもらうものです。

業務委託契約となるため、案件の成果や特定期間の業務従事などを条件として契約を締結します。ハイレベルな人材も多数フリーランスエンジニアとして働いているため、マッチングさえうまく運べば、スポット的な戦力強化に役立つでしょう。

 

まとめ

テーブルを挟んで立ち上がり、固く握手する男女と、ノートPCを前に笑顔で拍手する男性

大手・中小企業を問わず優秀なエンジニアはニーズが高く、人材獲得競争は過熱しています。優秀であるほど高い報酬を提示できる企業を選ぶ傾向があるため、自社のターゲットを明確化して採用方法を改善していくことが必要です。経験者採用が難しい場合、未経験者を育成することも検討しましょう。

未経験者採用は、入社後の教育で育成し、戦略目標の達成につなげることがゴールといえます。早期退職を防止することも重要です。研修制度の充実やメンター制度の採用を通じ、自律的に考え行動できるエンジニアの育成を目指しましょう。

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