国内大手企業の生成AIビジネス活用事例6選!種類と活用方法も解説
生成AIはアイデア次第で多彩なビジネス活用が可能です。ビジネス活用のイメージをつかむために、具体的な方法や事例を知りたい方も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIの種類や活用方法、国内大手企業の活用事例を解説します。
生成AIはアイデア次第で多彩なビジネス活用が可能です。自社向けにカスタマイズした生成AIサービスを標準的なシステムとして取り入れ、従来の業務プロセスの抜本的な変革に成功した事例もみられます。生成AIのビジネス活用のイメージをつかむために、具体的な方法や事例を知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、生成AIの種類や活用方法、国内大手企業の活用事例を解説します。事例も参考にして自社ならではの活用方法を見いだし、ビジネス課題の解決を目指しましょう。
目次
生成AIの種類とビジネス活用のパターン
生成AIはChatGPTなど汎用的に使えるものの他に、Midjourneyのような特定用途に特化したものもあります。これらはユーザーが都度プロンプト(指示・命令)を与えることを前提としますが、自律的に業務をサポートするAIエージェントを活用する企業事例も増えています。
ChatGPTなど汎用的な生成AIのビジネス活用
生成AIの最も一般的なビジネス活用の方法は、ChatGPTに代表される汎用的な生成AIにプロンプト(指示・命令)を与え、望ましい回答を得ることです。対応できる業務範囲は非常に広く、主に以下のような用途に活用できます。
- コンテンツ作成とマーケティング:ブログ記事・ニュースレター・広告文・キャッチコピーなど各種コンテンツを迅速に作成し、マーケティング活動を支援
- カスタマーサポートの強化:チャットボットやFAQシステムに組み込むことで、24時間365日、迅速かつ的確な顧客対応を支援
- 翻訳とグローバル展開の支援:製品説明書やWebサイトの翻訳、複数言語での顧客対応やメール作成など、多言語対応および国際市場でのビジネス展開を支援
- 業務効率化:ビジネス文書のテンプレートや議事録の作成、タスクの優先順位設定など、日常業務の効率化を支援
- データ分析とインサイトの抽出:大量のデータから要点をまとめたレポートの生成、顧客レビュー・アンケート結果の要約などにより、意思決定を支援
- プロダクト開発の効率化:コード生成・デバッグ・リファクタリングやテストケースの自動生成などにより、ソフトウェアや製品開発プロセスを支援
Midjourneyなど特定用途に特化した生成AIのビジネス活用
画像生成AI・動画生成AI・音声生成AIといった特定分野の機能に特化した生成AIも、さまざまな用途に活用できます。機能特化型の生成AIやビジネス活用の例は以下の通りです。
- 画像生成AI:DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionなど。SNS広告やキャンペーン用のビジュアル制作、ブランドロゴやパッケージデザインのアイデア生成などを支援
- 動画生成AI:Runway、Synthesia、Pictoryなど。オンラインコースや社内トレーニング用の動画作成、動画広告やプロモーション映像の制作などを支援
- 音声生成AI:Amazon Polly、Google Text-to-Speech、Voice.aiなど。多言語対応の音声案内やナビゲーション、広告やプロモーション映像のナレーション作成などを支援
専門領域にカスタマイズしたAIエージェントのビジネス活用
AIエージェントとは、AI技術を活用し、特定のタスクや業務を自律的に遂行するシステムやソフトウェアです。従来型の生成AIやAIアシスタントを一歩進め、特定の目標やタスクの達成に向けて計画を立てて自律的に行動し、ユーザーの介入を最小限に抑えます。
例えば、自社の製品カタログの全てを理解させプレゼン用の製品情報を自動でまとめさせるなど、特定の専門性を持つようにカスタマイズすることが可能です。特定のシステム・アプリと連携させることも、複数の機能特化型エージェントを同時に活用することもできます。日本でも大企業を中心に、さまざまなカスタマイズ型エージェントの運用例が出始めています。
国内大手企業の生成AIビジネス活用事例6選
生成AIはクリエイティブ制作や各種業務の効率化など、さまざまな目的に活用されます。クライアントや社内人材との情報のやりとりを大幅に効率化させるなどし、多様なチャネルから蓄積される情報資産をより有意義に活用することも可能です。ここでは、国内大手企業の生成AI活用事例を6つに厳選して紹介します。
LINEヤフー株式会社
LINEヤフー株式会社は「生成AIを日本で一番活用している会社へ」という目標を掲げています。社内での生成AI活用として、従業員約2万人に独自AIアシスタント「ChatAI」を提供しています。生成AIのリスクを理解した上で活用することを重視し、全従業員受講必須の生成AI利用研修を定期的に実施して、合格者のみにAIアシスタントを提供する仕組みです。ChatAIはアイデアのブレインストーミングのパートナーとして活用されるなど、業務生産性の向上や新サービス創出に貢献しています。
またLINEヤフーは、生成AIを全てのサービスに取り入れることを目指しています。例えば「Yahoo!知恵袋」で生成AIが回答を提示し、「Yahoo!検索」で観光スポットのクチコミを生成AIが要約するなど、各種サービスでの生成AI活用が推進されています。
株式会社パルコ
生成AIをクリエイティブおよび企業ブランディングに活用した事例として著名なものは、株式会社パルコが2023年10月に生成AIを活用して制作した「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」のCMです。実際のモデル撮影を行わず、人物やモチーフを画像生成AIで作成し、ムービー・ナレーション・音楽も含めCM内の全ての要素に生成AIが活用されています。
生成AIを駆使したCMは話題を呼び、PR会社の換算によれば、前年のクリスマス広告媒体換算比で1,000%超にもおよぶメディア露出がありました。本CMはデジタルメディア協会 (AMD)主催の「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23/第29回 AMD Award」にて年間コンテンツ賞「優秀賞」を受賞し、経済産業省が公表する「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」において広告産業の事例としても取り上げられています。
株式会社大林組
株式会社大林組は、米シリコンバレーに拠点を置く研究機関SRI Internationalと共同で、生成AIを活用した設計アシストツール「AiCorb(アイコルブ)」を開発しました。
AiCorbには「デザイナーAI」「モデラーAI」という2種類の機能があります。デザイナーAIは、手描きのスケッチや建物のイメージを表現したテキストを読み込ませることで、複数のファサードデザイン案を素早く生成する機能です。また「モデラーAI」は、提案されたデザイン案を、設計用プラットフォームであるHypar上で3Dモデル化する作業をサポートします。
AiCorbとHyparを連携した新たな設計手法により、発注者との間でイメージをすり合わせるための時間と手間が大幅に削減され、設計初期の迅速な合意形成につながっています。
オムロン株式会社
オムロン株式会社は、生成AIの効果的な活用を企業成長のひとつの鍵と捉え、2023年に全社横断型の生成AI活用推進プロジェクト「AIZAQ(アイザック)」を立ち上げました。
生成AI活用のテーマごとに、部署や職位をまたいで全社横断型でチームを構成し、効果検証およびナレッジシェアの取り組みを続けています。AIZAQの取り組みテーマは「Voice of Customers Analysis Project(顧客アンケートの分析プロジェクト)」をはじめ、「問い合わせ業務の効率化」や「意思決定プロセスの効率化」などさまざまです。
「AIZAQ Canvas」という社内ポータルサイトを立ち上げ、業務シーンを想定して作成した実用的なプロンプト集などのナレッジ共有を通じて、社員一人ひとりが生成AIを活用してDX推進や顧客のさらなる付加価値向上に貢献することを目指しています。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、熟練エンジニアの知見の継承と新車開発のスピード向上のために、生成AIエージェントシステム「O-Beya(大部屋)」を導入しました。トヨタがカイゼン活動の一環として長年採用してきた「大部屋」制度にちなみ、実際のエンジニアたちの設計データを基に、24時間365日いつでも相談できるAIエキスパートたちの「仮想の大部屋」を作り上げる構想です。
O-Beyaシステムにはエンジン・バッテリ・法令規則などさまざまな分野に特化したAIエージェントが実装されており、ユーザーは質問内容に応じて複数のエージェントを同時に活用できます。世界中どこにいても社内で蓄積されたノウハウに開発者がいつでもアクセスでき、開発プロセスの効率化と技術革新の加速につながることが期待されています。
株式会社ベルシステム24
コールセンター業大手の株式会社ベルシステム24は、コールセンター業務の精度向上と自動化を目指し、独自の自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop」の開発を進めています。AIと人間が共同でタスクを遂行する「Human-in-the-Loop(人間参加型の機械学習)」の概念に基づき、回答の自動生成とナレッジの自動生成それぞれに特化した生成AIをプロセスに取り込んだ、AIと人間のハイブリッドによる業務ループプロセスを設計しました。
Hybrid RAG(Retrieval-Augmented Generation)を取り入れ回答精度・検索機能を向上させ、応対の通話データからナレッジベースを自動生成する技術・仕組みを搭載しています。電話自動応答をAI自動応答に対応する検証も進めており、コンタクトセンターの業務効率化やCXの向上につながることが期待されています。
生成AIをビジネス活用する前に
生成AIの活用方法は無数に考えられ、従業員の業務効率化・生産性向上はもちろん、新規サービスの開発にも既存サービスの改善にも活用できます。ただし、ビジネス活用にあたっては、要件定義やリスクの理解が重要です。
要件定義の重要性
生成AIをビジネス活用する前に、「どういった目的で、どういう使い方をすべきなのか」という要件定義が重要です。
事前に要件定義を行っていないと、生成AIに過剰に依存することになったり、生成AIを上手に活用できなかったり、といった事態に陥る可能性があります。
要件定義を行い、目的・使い方を定めた上で活用しましょう。
リスクを学ぶことも重要
生成AIのポテンシャルは「使ってみなければ分からない」という面もありますが、安易に導入するとトラブルを招く恐れがあります。
例えば、生成AIが根拠のないコンテンツを生成する「ハルシネーション」と呼ばれる現象です。プロンプトを介して情報漏えいが起こる恐れや、出力したコンテンツによって権利侵害が生じるリスクもあります。生成AI導入の担当者も実務で活用する従業員も、適切なレベル・内容の生成AI研修を受け、安全に活用するために必須となる知識・スキルを身に付けることが大切です。
AI研修でこんなお悩みはありませんか?
人材育成のご担当者様にお聞きすると、
- そもそもAI研修を導入すべきか迷っている
- AI研修をやりたいが何をしたらいいのか分からない
- AI研修を行っても社内に浸透するかイメージが湧かない・効果が見えない
上記のようなお悩みを抱えている企業様が多くいらっしゃいます。これらの人材育成に関するお悩みを、LINEヤフーテックアカデミーは解決いたします。
AI研修を現状の研修に合わせてカスタマイズし導入いたします
企業によって生成AIを活用すべき箇所は異なります。無闇に導入しても浸透せず、効果が出ないということを防ぐために、どういった目的で、どんなKPIを目標にしているのかなどしっかりお聞きした上で、皆様ですでに導入されている研修に追加できないかなどカスタマイズのご提案をいたします。
1,500名のAI活用人材を生み出したLINEヤフーのノウハウ、テックアカデミーの研修実績による確かなカリキュラム
LINEヤフーでは文系人材を含めて約1,500名のAI活用人材を生み出しています。
さらに、業務ですぐに活用できる独自AIアシスタント「ChatAI」を導入。8か月で、累計で約38万時間(※)を削減することに成功しました。
※LINEヤフー社調べ
テックアカデミーとLINEヤフーが共同運営するLINEヤフーテックアカデミーでは、ChatGPTの業務活用に特化したeラーニング形式の研修も用意しています。現役エンジニアによるメンターサポートや無制限の課題レビューを受けながら、15時間(2週間)程度をかけて業務活用スキルを習得できるコースです。
さらに、非エンジニアを対象とした、生成AIの業務活用方法が学べる「AI活用アカデミア」も展開。全7回のワークショップ形式で、生成AIに関する基礎知識はもちろん、実際の業務を想定した企画立案を通じて、実践的なスキルを磨くことができるカリキュラムです。
受講前後の成果や、生成AIの社内システムへの導入支援まで行います
それぞれの受講生がどのような状況かをマネージャーが管理できるシステムを準備しており、学習効果の見える化が整っています。
また、生成AIを社内に導入するにあたり必要なシステム開発、社内体制の構築までご要望に応じてサポートします。学習して終わり、で済ませません。
まとめ
生成AIはアイデア次第で多彩なビジネス活用が可能です。大手企業の先例も指針としながら、多くの企業が自社ならではのビジネス活用に取り組んでいます。生成AIはビジネス課題の強力なソリューションになり得ますが、導入にあたっては入念な計画やリスクの理解が重要です。
テックアカデミー・LINEヤフーテックアカデミーは、生成AIを社内で浸透させるためのロードマップ、チェックポイントなどがまとまっている資料を無料でお配りしております。
サービスのご説明はもちろん、お悩みの相談会も行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。AI研修を検討しているといった方でも、状況を詳しくお聞かせいただきアドバイスさせていただきます。
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