テックアカデミー プロンプトエンジニアリング研修導入事例 –沼尻産業株式会社様

沼尻産業株式会社様は、1962年に茨城県つくば市で創業した総合物流企業です。現在では、つくば市を中心に27拠点、6万坪以上の倉庫面積を誇り、取引先企業も850社を超えるまでに成長し、さまざまなお客様のグローバルサプライチェーンを支えています。物流2024年問題の解決に向け、拠点整備や待機時間の削減、物流DX化などの取り組みを日々模索しながら、「新しい物流」の形成に向けて努力を重ねています。

「デジタルツールを活用した業務効率化の実現」を目指し、さらなるITスキル向上につながるプログラムや、研修の導入を検討いただいている最中、弊社の「プロンプトエンジニアリング研修」を受講していただきました。

研修前に描いていた「効率化したい業務」には、どのような変化があったのでしょうか。管理本部 広報・マーケティングチーム岡野様、システム部 半田様 山中様 にお話を伺いました。

実施前の課題

時間の取られるルーチンワークや、調査業務を効率化したいという想いはあったものの、社員のITリテラシーにはバラツキがあり、それらを解消するための教育の機会がなかった。

効果・成果

ChatGPTを多少は使用したことがあっても上手く使いこなせていなかったメンバーが、受講を通じて正しい使い方を理解し、効果的に活用できるようになった。

ChatGPTの活用を通して「まず叩き台を素早く作って、悪くてもPDCAを回しながら100点に近づける」ことの重要性に注目することができた。

 

目次

業務効率化に対して前向きな風土はあったが、学習機会が無かった

岡野さん:広報・マーケティングを担当しています、岡野と申します。現在は、インナーブランディング強化やWebを中心としたマーケティング業務を担当しております。過去にシステム部にも所属していたことがあって、生成 AIは元々すごい興味があったのですが、使いこなすと言うレベルに到達していませんでした。

 

半田さん:システム部の半田と申します。普段の業務については、社内のネットワークインフラとかシステム等の保守対応を行っております。

 

山中さん:半田さんと同じシステム部の山中と申します。主にはアプリの開発を担当しており、システムに関する社内の問い合わせ対応も行っております。よろしくお願いいたします。

 

ーー皆様よろしくお願い致します。まずはじめに、貴社が取り組んでいる社員様への IT スキル教育に対する考え方をお聞かせください。

 

半田さん:これまで行ってきた施策ですと、新卒も含め、入社間もない社員に対してマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)の取得を推奨しており、この勉強会をシステム部主催で毎月行っています。理由としては、日常業務等の改善をスムーズに行うために、エクセルの基本的な操作やスキルは一定レベル以上必要になるため、推奨してます。

 

岡野さん:会社としても、デジタルツールを使って仕事の生産性を高めよう、という姿勢は強いです。物流業界は「労働時間が長い」と言うイメージが定着していますが、今はワークライフバランスを重視している方が増えてきています。これからの会社を引っ張っていくメンバーを採用し、気持ちよく働いていただくためにも、社員の生産性を高めていくために、ChatGPTなどのAIツールの活用は大切だと考えています。

代表の沼尻も、デジタル技術の活用に関して積極的であり、「まずは一度使ってみよう」という姿勢を示してくれます。新しいチャレンジに対してNOとは言わない社風がありますね。

 

山中さん:私の周りでも「生産性を高める」というキーワードには前向きで、施策の目的が「業務効率化だ」ということを説明すると、変化が伴ったとしても「必要な時期にきているよね」とみなさん前向きに受け入れてくれ、協力してくれる文化があります。

岡野さん:ただ、テレビやWebでそのようなAIツールに関する情報を目にしても、実際の業務に活かすためには「具体的にどこから始めればいいのか?」みたいな入り口がわからない社員は多いです。そのため、MOSの勉強会と同様に会社が学びの機会をサポートすることが必要と考え、何かいいきっかけがないかと探していたタイミングでした。

今回の研修を半田や山中が在籍しているシステム部のメンバーに受けてもらったのも、ITの社内推進を担っているメンバーが先陣を切って学び、活用していくことで社内に浸透させていく足がかりにしたいという狙いがありました。

 

「この場面なら生成AIを活用できるんじゃないんか?」 活用できる場面に気付けるようになった

ーーそのようなでデジタル技術の活用に意欲的な姿勢があったからこそ、今回プロンプトエンジニアリング研修にも取り組んでいただいたんですね。受講いただいた皆様は、生成AIを活用して「解決したい課題」は元々お持ちだったのでしょうか。

 

半田さん:システム部で解決したいと感じていることが、ヘルプデスクの効率化ですね。システム部には、社内の各部門からシステムの基本的なことだったり、データやツールに関する問い合わせが集まってきます。その質問を都度確認し、担当者に回答するのですが、無視できない工数がかかっています。

このフローを生成AIを使って、我々の回答までにかかる調査時間の削減、あまりツールに詳しくない方でも伝わりやすい文章に添削して回答できないかと考えていました。

 

山中さん:今はシステムに関するやりとりの例でしたが、現場で作業をしている方々、我々のようなオフィスで業務をしている方々、それぞれ詳しい分野・ニガテな分野は必ずあります。だから根本的には「どんな役割の方でも分かりやすい伝え方」ということが大事だと思うんです。ただ、それを人が考えてしまうと時間がかかってしまうので、生成AIを活用できないかと思っていました。

ーープロンプトエンジニアリング研修を受けていただいた後、早速業務で活用された具体例はありますか?

 

岡野さん:先日お客様への提案書を作る際に、始めの挨拶を盛り込む必要がありまして。決まった型があるわけではないので、毎回意外と時間が取られていたのですが、そこでChatGPTでラリーをしながら仕上げていったら、かなりスムーズに作れましたね。

「もっとこう言うニュアンスを加えたい」「こう言う状況のお客様だからこれくらい謙遜した表現にしたい」と考える瞬間はみなさん良くあると思うのですが、言葉の言い換えや別の伝え方を探すのって意外と時間がかかるんですよね。 それが本当に 10 分ぐらいで終わりました。活用してみると感じるのですが、こういう毎日のちょっとした業務の効率化が、1ヶ月など長いスパンで見ると大きな差となってくるなと感じます。

型が決まっていない、参考にする情報が少なく、イチから自分で組み立てなければいけない文章・資料・設計書に取り掛かる時に、「どこからスタートしていいかわからない」と悩んでしまっている社員を時々見かけるんですよね。「こうかな?どうかな?」みたいな風に悩んで、落とし穴にハマってしまって、叩き台だけで 1 時間ぐらいかけてしまっていた、とか。

だけど生成AIでプロンプトを書ければ、60点くらいのクオリティですぐに叩き台を出してくれるじゃないですか。この叩き台を作れるか作れないかの違いはとても大きいと思います。最終的なアウトプットはそこから磨き込んでいけば良い訳ですから。

半田さん:私は研修の最終課題「業務の課題をプロンプトエンジニアリングで解決しよう」のところがまさに役立ちました。「物流倉庫の定期修繕計画を作成するアプリケーション」を開発していたのですが、アプリケーション内の入力項目を設計する必要がありました。

通常は現場担当者に事前にヒアリングをしてから担当部門に提案するのですが、ただ、今回は設備担当者の人が忙しく、ヒアリングの時間がとれなくて。これまでなら書籍やWebを使い、時間をかけて調査しなければならないところだったのですが、この場面で生成AIを活用しました。

設備担当者という役割をChatGPTに与え、 「物流倉庫の管理に必要な項目について3 名で話し合って決めてください。」というプロンプトを入力して議論させ、必要な管理項目をリストアップさせました。

そこで出してもらった項目を活用し、「修繕計画アプリケーション」開発したところ、非常に好評でした。修正依頼も、半月ほど経ちましたがまだ出てきていません。

山中さん:設備系統など、私たちが手がけるアプリケーションは専門的な知識や情報を理解して作らなきゃいけないことが多いです。 そう言う時はヒアリングが必要になるんですけど、現場が忙しいとヒアリングの工程で止まってしまい、無駄に 1 週間とか 2 週間過ぎてしまう。であれば今半田さんが話したように、こちらでプロトタイプを作ってこちら側から当てることができると、議論が進みやすいと思いました。私は開発環境で使用するコマンドプロンプトの選定にも活用していきたいと考えています。

 

「まずは小さくスタートし、議論しながら精度を上げていく」PDCAが回せる組織へ

半田さん:今日のインタビューには同席できなかったメンバーが、先ほど話したヘルプデスクの効率化にも乗り出してくれています。実際に問い合わせ内容をChatGPTで出力させ、担当部門に返答させるという動きがありまして、オペレーションも少しずつ変わってくるなと言う手応えを感じていますね。

 

ーー研修で身につけたスキルが、早速業務の中で活用され始めているということですね!いきなり大きな結果を求めずに、まずは小さく素早く施策のサイクルを回すことは、生成AIを活用する上でとても大切だと言われています。

 

岡野さん:先ほどのたたき台の話じゃないですけど、仕事の進め方も生成AIの活用アイデアにしても、「まずはこんな方向でどうでしょうか?」と、荒い状態でも一度アウトプットして周囲と擦り合わせることが大切ですよね。

付け加えると、1人で悶々と考える必要もないと思います。「こうした方がいいね。このやり方がいいんじゃない?」みたいな議論をしながら作る方がすごくクリエイティブだし、仕事も楽しいと思うんですよね。その壁打ち相手としても、生成AIはとても有効だと思います。

最初から完璧なものを作ろうと一人で悩みすぎると、もし「180度方向性が違っていました」となった時に、これまで費やした時間が無駄になるかもしれません。それを考えると、部下にとっては残念に思うでしょうし、場合によっては少し傷ついてしまうこともあるかもしれません。

キラメックスさんとこのような取り組みができて、とても満足しています。今回は5名での受講になりましたが、私自身、生成AIの使い方はかなり変わったと感じています。これまでは「その業務にそんなに時間かけなくてもいいのにな」と思う場面が多かったです。「生産性を高める」アクションを推進していくために、ルーチン業務はなるべく効率化して、本来時間をかけるべき仕事に集中していただきたい。なので社員がもっと気軽にツールを活用できる環境にしていきたいですね。もちろん生成AIの教育も必要です。

 

半田さん:僕としては、各部門の業務内容をきちんと把握できている人に研修を受けてもらいたいです。カリキュラムの中にも、実際の業務に当てはめながらプロンプトの考案をする課題があるので、彼らに受けてもらったら、それだけでかなり変化があるんじゃないかなと思っています。各部門に相談役がいるイメージです。

 

岡野さん:私個人的には伊藤忠テクノソリューションズ様とお取り組みされていた、ワークショップ形式の研修をいつか実現できないかと考えています。「社員間で生成AIの活用について自発的に議論が生まれている」そういう姿が理想です。

 

生成AI活用ワークショップのご紹介

テックアカデミーでは、自分たちの業務のどんなシーンで生成AIが活用できるかを同じ職種・同じ部署のメンバーと議論し、具体的な活用例を作りあげる「生成AI活用ワークショップ」をご用意しています。

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既に準備されている生成AIに関するハウツーをただ覚える講座ではなく、プロンプト(生成AIに対する指示文)の原理原則から学習し、研修終了後には「明日からすぐに使える具体的な活用例」を成果として持ち帰っていただけます。その他にも課題感に合わせたコースを複数ご用意しています。ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

テックアカデミー 生成AI研修シリーズ

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