内定者研修を実施する目的や内容は?成功のポイントを解説!
内定者研修は多くの場合、正社員として働いた経験のない学生に対して実施されるため、その生活や気持ちに寄り添ったアプローチが重要です。内定辞退とならないためにも、内定という特殊な期間における研修の理解を深め、慎重に実施計画を立てましょう。
内定者研修は多くの場合、正社員として働いた経験のない学生に対して実施されるため、内定者の生活や気持ちに寄り添ったアプローチが重要です。内定者研修の実施を検討しているものの、なぜ実施すべきなのかという目的を知りたい人もいるのではないでしょうか。
この記事では、内定者研修の特徴や重要性、注意点や成功のポイントをご紹介します。
目次
- 内定者研修を実施する目的
- 内定者研修は違法ではない?実施しても問題ないのか
- 内定者研修で果たすべき目標とは?
- 内定者研修で実施する内容や時期は?
- 内定者研修で効果を発揮する手法
- 内定者研修のスケジュールを組む手順
- 内定者研修を成功させるポイント
- まとめ
内定者研修を実施する目的
内定者研修は多くの場合、新卒の内定者に対して入社前に実施します。内定という特殊な時期に実施される研修は、単にビジネススキルを習得させるものではありません。まずは内定者研修がなぜ実施されるのか、その目的を見ていきましょう。
目指してほしい人物像を理解してもらうため
内定者は企業研究をした上で、それぞれの目的やビジョンを持って企業に応募し、選考を突破したはずです。しかし企業は自社の経営目標や人材戦略に基づいて採用活動をするため、「このように活躍してほしい」という人物像が内定者のイメージと食い違う場合もあります。
実際に活躍している社員など目指すべき人物像を分かりやすく伝えることで、入社前に正しい方向に成長していく下地を形成できるでしょう。
早い段階で戦力化するため
仕事をする上で誰にでも最低限必要となる知識やスキルがあります。選考段階である程度学習した内定者もいると考えられますが達成度はさまざまです。
入社後の基礎的な部分でのつまずきをなくし、現場の負担を減らすとともに、新入社員を早い段階で戦力化するための準備が求められます。社会人としてのマインドセットやビジネススキルを身に付けてもらうことも、内定者研修を実施する目的です。
内定者の不安を解消してもらうため
正社員として働いた経験がない内定者は、企業で働くということが学生生活やアルバイトと異なることはイメージできても、「社会に出る」ことに対して不安があります。
内定後に企業側からの適切なアクションがなければ、入社式までに不安が募ることもあるでしょう。この不安を払拭(ふっしょく)するための心理的なフォローをすることも、内定者研修の重要な実施目的です。精神面の支えは内定辞退を防止することにもつながります。
入社までの間の内定者のモチベーション維持・向上には、企業側の努力が必要です。メンタル面・スキル面で適切なサポートをして、内定辞退を防ぎましょう。
人間関係を構築するため
どのような仕事でも「人対人」の付き合いがあり、社内でのチームワークに慣れることも重要です。内定者研修では、仕事の現場で一緒になる予定のチームメンバーとのグループワーク、あるいは上司や社長なども交えたフランクな親睦会など、入社前に人間関係を構築することができます。
新入社員を現場になじみやすくすることで、自然に帰属意識を育めるでしょう。仕事への期待感や、実際に働くイメージを持たせるという効果も狙えます。
内定者研修は違法ではない?実施しても問題ないのか
内定者研修は、実施方法によっては違法となるケースもあります。合法か違法かの判断基準は、内定者自身がWebで検索することも可能です。結果的に内定者が「研修は違法では」と疑ってしまい、入社を辞退する恐れもあります。法的な判断に注意し、合法的に実施することが重要です。
内定者研修で違法になるケース
内定者研修は「入社前研修」と言い換えられます。「内定」という特殊な期間に以下のような目的で入社前研修を実施した場合、違法と判断されるケースもあります。
・入社前に研修への参加を強要する
・無給で業務をさせる
・就職活動を妨害する
・研修に出席しなかった内定者の内定を取り消す
上記に該当する際は注意が必要です。
内定者研修が違法になる可能性がある理由
内定者と企業との間には、入社前でも雇用契約は締結していると考えられます。とはいえ内定者は実際に就労を開始しておらず、入社前の期間に就労を前提とした業務命令に従う義務はありません。
入社前研修が結果的にでも企業による強制という形になってしまうと、内定者に対して許容される業務命令権の範ちゅうを逸脱し、違法と判断される場合があります。「内定者が自発的に入社前研修に参加している」ことが確実視できるなら合法です。
内定者研修で果たすべき目標とは?
内定者研修は、目指すべきビジネスパーソン像の理解や不安解消などを目的に実施します。一方、実施を通して達成すべき目標には正社員として働く意識の明確化や、ビジネスにおけるチームワークの理解などがあります。ここでは、内定者研修で達成すべき3つの目標を見ていきましょう。
社会人としての意識を持ってもらう
内定者研修の実施目標のひとつは、正社員として働くことは学生生活やアルバイトとは異なるということを内定者に明確に理解してもらうことです。
社会人に最低限必要な素養として、入社前にあらかじめビジネスマインドを身に付けてもらうことを目指します。また単に「この会社」で働きたいという漠然とした意識から、「どのようなビジネスパーソン像を目指すのか」という意識に変えるための研修も重要です。
最低限の必須スキルを習得してもらう
新入社員が入社後に円滑に業務を開始するため、最低限の必須スキルを身に付けた状態でスタートラインに立つことも、内定者研修で達成したい目標のひとつです。
必須スキルには言葉遣いや報告・連絡・相談といったビジネスマナー、ビジネスにおける端的で分かりやすい文書の作成能力、Word・Excel・PowerPointなどのOAスキルが挙げられます。スキルを身に付ける過程で、入社後に必要な教育プログラムも見通しが付きやすくなるでしょう。
チームワークを意識してもらう
ビジネスにおけるチームワークがどのようなものかを学び取ることも研修で達成したい目標です。ひとりのビジネスパーソンとしての仕事の進め方だけではなく、チームとしてプロジェクトの達成を目指すあり方を学びます。
内定者研修で活発にコミュニケーションを取り、実際に業務を進める中でチームワークを肌感覚で理解することが大切です。ビジネスマインドや必須スキルの習得と組み合わせ、新入社員が現場に即応しやすくなることを目指しましょう。
内定者研修で実施する内容や時期は?
内定者研修では正社員として最低限の知識・スキル・マインドを学ぶための基礎的な内容が一般的です。また内定者は多くの場合まだ学生であるため、実施する時期も慎重に選ぶ必要があります。実施内容や期間に対する考え方も把握しておきましょう。
内定者研修で実施する内容
新卒者向け内定者研修の教育プログラムは、以下のような内容の習得を目指すのが一般的です。
・企業のミッションやビジョン
・社会人としてのマインド
・ビジネスマナー
・ビジネスにおけるチームワーク
・ビジネス文書の書き方
・プレゼンテーション
・PCの操作方法
・Word・Excel・PowerPointなどの基本操作
その他、簿記や英語能力など、自社の業務に最低限必要となるスキルも含めるとよいでしょう。
内定者研修を実施する時期
多くの企業は、内定者研修を10月以降に実施します。これは内定式を10月1日に行うことが一般的だからです。
入社式前の10月~3月のうち、内定式後まもなく実施する場合もあれば、学生への負担を避けるという意味で冬休み・春休みの期間中にスケジュールを組む場合もあります。段階的な教育プログラムを組む場合、実施頻度は月に1回程度が望ましいでしょう。
内定者研修で効果を発揮する手法
内定者研修の主な実施形態は、対面型なら公開講座や講師派遣型研修、非対面型ならeラーニングです。これらは並行して実施することもできます。またビジネスで想定される状況をゲームに置き換えた「遊び」を通して学ぶ体験型の研修も人気です。
公開講座・講師派遣型研修
公開講座や講師派遣型研修ではビジネスにおけるマナーなどを学び、学生から社会人への意識改革が可能です。公開講座は、全国各地で定期的に開催される講座を利用します。時間や場所の都合が付きやすい一方、内定者が分散するとチームワークを育めない場合もあります。
講師派遣型研修は、自社や外部の会場に内定者研修の専門家を招くものです。内定者を集められる一方、遠方からの参加が難しいとの課題もあります。
eラーニング
Word・Excel・PowerPointの操作方法など、基礎的なビジネススキルを習得するにはeラーニングが向いています。
eラーニングとは、専用のWebアプリやWeb会議システムを通じて学習を進めるものです。内定者自身のPCやタブレットなどを活用して効率的に学習できます。研修の成果を定量的に把握・分析しやすく、入社後の教育プログラムに生かしやすいことも利点です。
ビジネスゲーム研修
ビジネスゲーム研修とは、ビジネスで想定される状況を何らかのゲームに置き換え、多人数で協力して楽しめる「遊び」から、ビジネスに応用できるスキルの習得を目指します。
例えば情報伝達ゲームなどから、ヒアリング能力やコミュニケーション能力を磨く仕組みです。また企業経営をボードゲームに置き換えた「ビズストーム」から、ビジネスマインドを総合的に学べます。
内定者研修のスケジュールを組む手順
内定者研修の実施に当たっては、まず内定者のスキルや特性を把握することが重要です。得られた知見を元に研修を実施する目的や目標を決め、現場の意見を反映して実施内容を調整し、具体的なスケジュールを決めます。ここでは、内定者研修のスケジューリングを4つのプロセスに分けて見ていきましょう。
1.内定者のスキルや特性を把握する
内定者研修のスケジュールを組むに当たっては、まず各内定者のスキルや特性を把握することが重要です。テクニカルスキル・ヒューマンスキルの両面で得意・不得意な部分を把握することで、実務のスタートラインに立つために不足している部分へのアプローチが考えやすくなります。
また性格やキャリア観を把握すれば、配属先のチームやキャリアパスを想定しやすくなり、入社後の教育プログラムの最適化にもつながるでしょう。
2.研修を実施する目的や目標を決める
内定者のスキルや特性を把握したら、内定者研修の実施目的と目標を明確化します。目的があいまいなら合理的なゴールを設定できず、効果も正確に判断できません。
例えばチームへのスムーズな配属が目的なら、チームワークの理解や基礎的なプレゼンテーション能力の習得などが目標になるでしょう。内定者研修を実施すること自体が目的にならないよう、自社が求める人材に焦点を当て目的と目標を設定することが重要です。
3.現場の意見を反映する
人事担当者や経営層と現場が求めるスキルとは異なる場合もあります。入社後の教育や働く現場にいるのは配属先の上司などです。
研修プログラムの内容が実務環境とマッチせず、現場が求めるスキルの提供につながらなければ、社内の誰にとっても意味のない内定者研修となるでしょう。こういった失敗をしないために、現場の声を反映した研修プログラムを設定することが重要です。
4.具体的なスケジュールを決める
続いて内定者研修の具体的なスケジュールを決めます。まずは親睦会や簡単なレクリエーションを通じ、企業文化やビジョンを伝えつつ、同期や社内人材との交流を図るのがおすすめです。内定辞退防止のため内定式前の8月あたりから開始することもあります。
内定式以降はeラーニングも並行して実施すればスキルや特性の把握も進むでしょう。11月以降は公開講座や講師派遣型研修を活用して意識改革を目指します。2月~3月はeラーニングの進捗を踏まえてスキル習得の達成度を測ります。
内定者研修を成功させるポイント
内定者研修を成功させるためには、内定者の立場で考え、自主的に受けたくなる内容を設定することが大切です。課題量が多過ぎたり押し付けがましい内容になったりすると、学習効果が上がらず、入社を敬遠される原因にもなり得ます。ここでは、内定者研修を成功させる5つのポイントを解説します。
自主的に取り組んでもらえるようにする
内定者が研修の意味を理解していない場合、「内定を辞退させないために研修への参加を強制しているのでは」という不安を覚える恐れがあります。合法な研修を行うという意味でも、内定者の自主的な参加を促すフォローが重要です。内定者には研修の目的やゴール、なぜ入社前に学ぶ必要があるのかをしっかりと伝えましょう。
先輩社員の実績などを分かりやすく紹介すれば、「早く仕事を覚えて貢献したい」と思わせることや、そのためには足りないスキルがあると自覚させる効果を期待できます。
内定者が求める内容も盛り込む
人間関係がうまくいかないとの理由で早期退職する新人は珍しくありません。社会に出る前の内定という特殊な時期に、「同期や先輩とうまくやっていけるだろうか」という不安を払拭することも重要です。
単にビジネススキルを詰め込むような研修ではなく、同期や先輩社員と楽しく交流できる機会を設けるなど、内定者の気持ちに寄り添った研修内容を心がけましょう。社歴の浅い社員の意見を取り入れることも効果的です。
負担がかからない課題量にする
内定者研修は内定者にとって学生時代最後の重要な期間に実施されます。卒業論文や思い出作りの卒業旅行に時間を使いたい内定者も多いでしょう。
研修の課題が多過ぎると身体的・精神的ストレスの原因となり、自信を喪失してしまったり、企業や職場環境についてネガティブなイメージを持ってしまったりする恐れもあります。研修の課題量は、内定者の状況を見て適度に調整が必要です。
研修の成果を確認する
内定者研修は基礎的な内容のため、「教えたことはできるはず」という意識になる場合があります。しかし内定者の理解度や達成度はさまざまです。
課題やレポートのチェックはもちろん、面談による不安のヒアリングも実施しましょう。研修成果を分析し、必要ならフォローアップ研修も実施します。社内にリソースやノウハウがない場合、内定者研修に強みのある研修会社を利用することも効果的です。
参加者が受け身にならないようにする
内定者研修はインプットを重視しがちですが、内定者にとっては「押し付けがましい研修」と嫌がられやすく、高い学習定着率も期待できません。
内定者の満足度を高め、また深い学びを得るには、アウトプットが重要です。内定者が能動的に動きたくなるような研修という意味では、ビジネスゲームなどの体験型研修が効果を発揮します。学びのプロセスが楽しく、達成感や成長の実感も得られるような研修内容を心がけましょう。
まとめ
内定者研修は多くの場合、正社員として働いた経験のない学生に対して実施します。入社前に最低限のスキルやマインドを身に付ける上で重要ですが、内定者の生活や気持ちに寄り添わければ、実施したことが裏目に出る恐れもあります。
内定辞退を防ぎつつ実施目標を達成するには、細心の注意が求められます。内定者研修を実施した経験のない企業には、ややハードルが高いかもしれません。自社にリソースやノウハウが足りない場合、充実したマンツーマンサポートも取り入れた、内定者研修に豊富な実績のある研修会社に相談するのがおすすめです。
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