新人社員を育成する方法は?やってはいけない指導と教育のコツ
新人社員が仕事を覚え自立するためには、その人に合った教育が必要です。しかし、育成の経験が少ない場合、どのように指導したらよいのか悩んでしまうのではないでしょうか。この記事では、新人社員を育成するためのポイントについて解説します。
新人社員が仕事を覚えて自立するためには、その人に合った教育が必要です。しかし、どのように新人社員を指導したらよいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。指導方法を誤ると新人社員のモチベーションを低下させてしまう恐れがあるため注意が必要です。
この記事では、新人社員を育成するために必要な知識やポイントについて解説します。やってはいけない指導方法や新人社員がぶつかりやすい問題についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 新人社員と新入社員の違いは?
- 現代の新人社員の傾向や特徴
- 新人社員がぶつかりやすい問題
- 新人社員にやってはいけない指導方法
- 現代の新人社員への適切な教育のポイント
- 新人社員に効果的な人材育成の研修や教育手法
- まとめ
新人社員と新入社員の違いは?
一般的に、新人社員は「社会人経験のない社員」または「経験のない部署や職種に配属された社員」「組織に新たに加わった人」という意味で使われます。一方、新入社員は「新たにその企業に入社した社員」を指す言葉です。
両者は同じ意味で使われることが多く、厳密な違いはありませんが、新人社員は「新人」「新米」など、先輩や上司が親しみを込めて使うことが多いようです。
現代の新人社員の傾向や特徴
新人社員を育成するためには、現代の新人社員の傾向や特徴について知っておくことが大切です。時代とともに考え方や価値観は変わってくるため、古い考えを新人社員に押し付けると成長を妨げてしまう可能性があるほか、退職の原因になる恐れもあります。ここでは最近の新人社員の傾向や特徴について解説します。
主体性がない
新人社員は誰かの指示がないと行動できない傾向があります。主体性のなさは、自ら仕事を進めて怒られることを恐れたり、組織や風土になじめず上司に遠慮したりすることが原因のひとつです。また主体性が発揮できないのは新人社員だけに問題があるのではなく、企業側の業務・役割の説明不足や、上司・先輩のサポート不足が原因の可能性もあります。
ひとりで問題を抱え込む
新人社員は新しい組織・環境になじめず、仕事や人間関係などにおいてさまざまな不安を抱くものです。しかし自分の立場や役割が定まっておらず、周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから報連相をためらってしまう人がいます。
新人社員は自分の仕事を十分に理解できていないことがあるため、「質問や相談をすると怒られるのではないか」「間違いを指摘されるのではないか」といった考えから、ひとりで問題を抱え込む場合もあります。
プレッシャーに弱い
プレッシャーに弱く、間違いや失敗を恐れて挑戦できない新人社員もいます。プレッシャーに弱いのはその人の性格が原因の場合もありますが、過去に失敗した経験がトラウマになっている可能性もあります。新人社員がプレッシャーに弱いのは仕方がないことかもしれません。新人社員の精神的な負荷や緊張を企業側がうまくフォローできる体制を整える必要があります。
承認欲求が高い
現代はSNSが普及していることもあり、若者は承認要求が高い傾向にあります。自分の仕事ぶりを「評価されたい」という気持ちが仕事のモチベーションになっていることも少なくありません。それゆえ適切な評価をされないとモチベーションが低下し、最悪の場合は退職につながる恐れもあります。
新人社員がぶつかりやすい問題
新人社員はさまざまな問題にぶつかる可能性があります。その際に先輩や上司が適切にフォローできないと、その壁を乗り越えられず仕事に対する意欲が低下してしまうことも考えられます。ここでは新人社員がぶつかりやすい問題について解説します。新人社員がどのような問題に直面しやすいのか事前に知っておくことで、適切なフォローやケアができるでしょう。
ビジネスマナーの問題
ビジネスマナーは社会人として働く上で最低限身につけておくべきものとされています。ビジネスマナーが身についていないと、取引先から信用・信頼を得られず、成果を出すことは難しいでしょう。問い合わせ対応でも、ビジネスマナーが備わっていないと「失礼な対応を取られた」とクレームを受ける恐れがあります。
しかし社会人経験のない新人社員は、ビジネスマナーの難しさに直面しがちです。名刺交換や電話対応など、慣れない敬語や動きを覚えるのに時間がかかるものです。
業務や社会常識に関する知識の問題
新人社員であるため、業務や社会常識に関する知識が不足しているのは仕方がありません。しかし、責任感の強い人や成長意欲の高い人ほど、自身の知識不足を嘆いてしまう傾向にあります。新人社員に対しては、「どのくらいの期間が経つと何が身につけられるのか」を具体的に教えてあげることをおすすめします。少しずつ学べるよう、周囲のフォローも大切です。
コミュニケーションの問題
「悩みがあっても先輩に相談できない」「職場になじめない」など、コミュニケーションにおいて壁を感じる場合があります。はじめから積極的にコミュニケーションを取れる新人社員もいますが、ほとんどの新人社員は何かしらの不安を抱えているかもしれません。
気軽にコミュニケーションが取れるよう、先輩や上司から積極的に話しかけることが大切です。また新人社員から質問された際には、丁寧に優しく教えてあげることで、「次も質問・相談したい」と思われるでしょう。
新人社員にやってはいけない指導方法
新人社員は右も左も分からず、さまざまな不安を抱えています。それゆえに指導方法を誤れば不安を加速させてしまったり、恐縮させてしまったりすることも少なくありません。ここでは新人社員の指導で避けたほうがよいことを3つ紹介します。
作業内容のみを伝える
説明が面倒だからといって、作業内容のみを伝えるのは適切ではありません。新人社員は作業の目的や意義が分からないまま仕事をすることとなり、仕事を体系的に覚えられなくなってしまいます。それだけでなく仕事の面白さも理解できないため、モチベーションの低下にもつながります。一から十まで説明するのは大変ですが、長期的なキャリア形成の観点において丁寧に指導することは大切です。
できていない部分だけを指摘する
成長していること、頑張っている部分に触れずに、できていない部分だけを指摘していませんか。自信を喪失し挑戦することを恐れてしまい、指示を待つだけや報連相をしないといった事態になりかねません。新人社員はできないことが多くても当然だと思い、できる部分や成長している部分は積極的に伝えましょう。そうすることで、「先輩や上司はきちんと見てくれている」と思ってもらえます。
改善につながるフォローをしない
悪い部分をただ指摘するだけでなく、次からどのように改善すべきか具体的にアドバイスしてあげることも大切です。できていない部分や間違いだけを指摘されると、どうすべきだったかを理解できずに同じミスを繰り返す可能性もあります。
「答えをすべて教える」という指導方法が正しいとは一概に言えませんが、新人社員が挫折しないようにヒントや突破口となるアドバイスを送るなどのフォローをするとよいでしょう。
現代の新人社員への適切な教育のポイント
新人社員が優秀な人材に育つかどうかは教育方法で大きく変わります。また時代が変われば新人社員の価値観や考え方も異なるため、これまで正しいと思っていた指導方法は適切ではない可能性もあります。ここでは、新人社員を教育する際のポイントを4つ紹介します。
目的や理由をはっきりと伝える
指導するにあたり、「なぜその業務をする必要があるのか」と目的や理由まで伝えることが大切です。目的や理由が分からないまま仕事をしてもやりがいを感じられず、モチベーションも低下してしまう恐れがあります。
作業内容の目的や理由が分かれば納得して仕事を進められ、体系的に仕事を覚えられます。結果的に成長も早くなり、自社への貢献度が高い人材に育つでしょう。
自発的に動く機会を設ける
新人社員が自らの意思で行動できるような環境や機会作りが大切です。例えば「ヒントを出して自分で答えを導き出してもらう」「スケジュールに空きを作って自分で何をすべきか考えてもらう」などが挙げられます。
自分で考えない癖がついてしまうと「指示待ち人間」になり、与えられた仕事しかしない人材になってしまいます。先輩や上司が新人社員に答えを与えたり、指示したりするのは簡単です。しかし、組織を引っ張っていく人材に成長させるためには、主体性を持たせる指導方法を試行錯誤しましょう。
承認でモチベーション維持に努める
承認欲求が高い傾向にある新人社員にとって、褒められ認められることはモチベーションの向上に効果的です。新人の教育において、ミスや悪い部分につい目がいってしまいがちですが、成長している部分はきちんと評価しましょう。
ベテランからすると「これぐらいはできて当たり前」と思うことはあるかもしれませんが、「これがそんなに早く習得できたのか」と考え方を変えてみるとよいでしょう。褒めて伸ばすという指導方法も頭に入れることが大切です。
研修を実施する
新人の教育には多様な方法があります。しかし、「どのように育成したらよいのか分からない」「しっかり教えられる環境が整っていない」といった場合は、研修を実施するのがおすすめです。新人の教育研修にもさまざまな種類がありますが、自社の規模や目的に合った研修を実施してみてください。
新人社員に効果的な人材育成の研修や教育手法
具体的にどのような研修や教育手法を取り入れたらよいか分からないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、新人社員に効果的な人材育成の研修や教育手法を6つ紹介します。自社の目的に合った研修を取捨選択するのもよいですし、複数組み合わせるのもよいでしょう。
OJT
OJTは「On-the-Job Training」の略語で、直訳すると「職場での訓練」です。つまり、実際の業務をとおして仕事に必要な知識やスキルを身につける教育方法を意味します。OJTは理論的な研修とは異なり、実践的かつ効果的な教育方法であることから、多くの企業が採用しています。
OFF-JT
「OFF-JT」は「Off-the-Job Training」の略語で、職場外で行う教育・研修のことです。セミナーやワークショップ、オンライン学習などはOFF-JTに該当します。OFF-JTは業務と直接関係がないビジネススキルやコミュニケーションスキル、マネジメントスキルなどの向上に焦点を当てることがほとんどです。
職場で行われるOJTとは対照的であるため、OJTとOFF-JTの両方を組み合わせることが効果的とされています。
フォローアップ研修
フォローアップ研修は、前回の研修を振り返ることで学んだことの定着を図ることが目的です。研修後の効果に加え、課題や悩みを確認して解決策を導き出します。現状のスキルや知識を把握したら今後の目標設定も行います。フォローアップ研修は新人社員の能力向上やモチベーションアップに効果的です。
グループワーク・レクリエーション
グループワークとは複数人で共同の作業をすることです。チームワークや協調性、コミュニケーションスキルの向上に効果的な研修といえます。レクリエーションは楽しむことやリラックスすることを目的とします。グループワークやレクリエーションを組み合わせることで、楽しみながらチームワークや協調性を養い、メンバー同士の交流を深め、信頼関係構築のきっかけになります。
ロールプレイ
ロールプレイとは、現実に起こりうる場面を想定し、複数の人が役割を演じることです。例えば営業マンと顧客、上司と部下や同僚とのやり取りをシミュレーションし、動きや対処法を確認します。ロールプレイを通じて、実際の状況に近い形で教育できるのがメリットです。ロールプレイしたことが現場で起こった場合は、スムーズな対応が期待できるでしょう。
ケーススタディ
ケーススタディは実際に起きた問題や事例を調査・分析し、解決方法を考える学習方法です。ケーススタディは課題解決のプロセスや意思決定など、実践的なスキルを習得するのに役立ちます。また複数人がひとつのケースについて意見を交換することで、違った視点から考えることの大切さや、他者への理解を深めることにも役立ちます。
まとめ
新人社員は右も左も分からず、多くの不安を抱えています。しかし悩みや問題があっても、先輩や上司に相談しにくいものです。最近の新人社員の特徴を知って気持ちに寄り添う育成を心がけることで、充実感を持って働いてもらえます。
新人社員を教育する際は、主体性を持って行動できるように工夫するとよいでしょう。フォローアップ研修やOJTなど、新人社員が同期とともに学べる研修の場を設けてみてはいかがでしょうか。